【福山雅治×役所広司×広瀬すず】是枝裕和の新境地の映画『三度目の殺人』ネタバレあらすじ・配信情報
イントロダクション
あらすじ
勝利にこだわる弁護士・重盛(福山雅治)はやむを得ず、30年前にも殺人の前科がある三隅(役所広司)の弁護を担当することになる。解雇された工場の社長を殺し、死体に火をつけた容疑で起訴された三隅は犯行を自供しており、このままだと死刑は免れない。重盛は、どうにか無期懲役に持ち込もうと調査を開始する。三隅は会う度に供述を変え、動機が希薄なことに重盛は違和感を覚える。やがて重盛が三隅と被害者の娘・咲江(広瀬すず)の接点にたどりつくと、それまでと異なる事実が浮かび上がっていく。
キャスト
重盛 役:福山雅治

VENICE, ITALY - SEPTEMBER 05: Fukuyama Masaharu attends the 'The Third Murder (Sandome No Satsujin)' photocall during the 74th Venice Film Festival on September 5, 2017 in Venice, Italy. (Photo by Stefania D'Alessandro/WireImage)
福山雅治が演じたのは、弁護士の重盛。
重盛は、真実よりも「依頼人の利益」になることを第一に考える弁護士。
前科持ちの三隅の弁護を担当することになり、はじめはいつものように減刑を落としどころとして戦略を立てきますが、次第に三隅に翻弄され、事件にのめりこんでいきます。
三隅 役:役所広司

VENICE, ITALY - SEPTEMBER 05: Koji Yakusho attends the 'The Third Murder (Sandome No Satsujin)' photocall during the 74th Venice Film Festival on September 5, 2017 in Venice, Italy. (Photo by Dominique Charriau/WireImage)
役所広司が演じたのは、殺人の罪で逮捕された男・三隅。
三隅は以前にも事件を起こしており、長い間刑務所で生活をしていました。
服役後に働いていた工場の社長を殺害し財布を奪った罪に問われますが、どこか掴みどころのない振る舞いと二転三転する証言で、重盛らを翻弄していきます。
咲江 役:広瀬すず

VENICE, ITALY - SEPTEMBER 05: Hirose Suzu attends the 'The Third Murder (Sandome No Satsujin)' photocall during the 74th Venice Film Festival on September 5, 2017 in Venice, Italy. (Photo by Stefania D'Alessandro/WireImage)
広瀬すずが演じたのは、殺害された社長の娘・咲江。
どこか陰を感じさせる雰囲気の咲江。
咲江は事件後、現場となった河川敷に姿を見せ、事件の鍵を握るキーパーソンとなっていきます。
本作の見どころ
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— 映画『三度目の殺人』 (@SandomeMovie) August 1, 2017
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是枝監督の新境地
本作の見どころは何といっても、是枝作品には珍しいミステリー作品であるということ。
本作は是枝裕和のオリジナル脚本ではありますが、『そして父になる』『万引き家族』など、「家族」について真っ向から描いてきたこれまでの作品とは違ったテイストの作品となっています。
一方で、細かな心理描写や事件の背後にある「家族」の在り方、鑑賞後に心に残る余韻という点では、是枝作品ならではの魅力もしっかりと味わえる一作と言えます。
観客に解釈をゆだねるストーリー
全体を通して「観客に答えをゆだねる」部分が多い本作。
事件の描写や登場人物が抱える背景などの説明が決して多くはなく、観客それぞれによって大きく受け取り方が異なる作品と言えそうです。
結末においてもそれは同様で、答えを用意するのではなく、観る側に答えを問いかけるような終わり方になっています。
キャスト陣の凄みを感じさせる熱演
そんな本作の魅力を語る上で欠かせないのが、やはりキャスト陣の熱演。
福山雅治は、知らず知らずのうちに事件にのめりこんでいく弁護士を鬼気迫る表情で演じ、広瀬すずはどこか陰がありながらも内に強い芯を感じさせる少女を見事に体現しました。
その中でも、特に目を見張るのが殺人事件の容疑者・三隅を演じた役所広司。
いまひとつ真相が見えない事件を表すかのように、劇中で様々な表情を見せる三隅。
三隅は、なぜ殺害をしたのか、そもそも果たして犯人なのか。
あたたかさと狂気が共存する役所広司の熱演は、福山雅治演じる重盛だけでなく観客をも翻弄するものとなっています。
司法への問題提起
人の人生、ひいては命をも左右する「司法」。
本作では、1つの裁判を通じてその司法が抱える矛盾が描かれています。
本来「人の人生を左右する」重責を負う弁護士や検察官、そして裁判官。
ただ、彼らにとってはあくまで「仕事」でもあり、本作では「1つ1つの裁判に丁寧に向き合うこと」と「仕事としてこなしていく必要性」の矛盾と葛藤が描かれています。
あらすじ(ネタバレあり)
はじまり
夜の河川敷。
三隅(役所広司)はとある男性を背後から襲い、殺害。
遺体にガソリンを撒いて火をつけた三隅は、返り血を浴びたまま遺体が燃え上がる様子をじっと見つめ続けます。
弁護士の重盛(福山雅治)は、司法修習時代の同期・摂津(吉田鋼太郎)の頼みで、ある事件を担当することに。
それは三隅が起こした強盗殺人事件。
三隅が事件を起こしたのは二度目であり自白もしていると聞いた重盛は「死刑」は免れないだろうと推測。
摂津曰く、三隅は会うたびに証言が変わるといいます。
摂津と部下の川島(満島真之介)とともに三隅の面会に訪れた重盛は、三隅の口からも「殺したことは間違いがない、ギャンブルするお金が欲しかった」との証言を聞きます。
「殺そうと思ったのはお酒を飲む前か後か」と問う重盛に三隅は「飲んでヤケになって殺そうと思った」と答えますが、それを聞いていた摂津は「前回は、お酒を飲む前から殺そうと思っていたと証言していた」と指摘。
摂津の言っていた通り、三隅の証言には一貫性が欠けるものがありました。
その後「やはり検察側の求刑は死刑となるだろう」と予想する重盛たち。
「強盗殺人ということは覆せないだろう」という摂津の言葉に、重盛は「事実関係を争って強盗殺人を否認しなければ勝負できない」と返します。
そして重盛たちは、無期懲役を目標に弁護をすることに。
「三隅には北海道に娘がいる」との情報がありましたが、重盛も摂津もわざわざ北海道まで行くのは気が進まず「30年も刑務所に入っていた三隅とはおそらく疎遠だっただろう」と、会いに行くことに乗り気にはなれません。
その様子を見て川島は「三隅を理解するために一度は行っておいた方が」と提案しますが、重盛は「弁護するのに理解や共感はいらない。」と一蹴します。
遺族
ある日、調査のため殺害現場の河川敷を訪れた重盛と川島は、そこで立ちつくす少女を見かけます。
しかし少女は重盛たちの姿を見ると、足を引きずりながらその場を立ち去ってしまいます。
まだガソリンの匂いが残る現場で、遺体の焼き跡を見た重盛は、それが十字架の形になっていることに気がつきます。
事件当日に三隅を乗せたタクシー会社のもとを訪れる重盛と川島。
ドライブレコーダーを見た重盛は、窓を開けたり胸から財布を出す三隅の様子から、財布にガソリンがついたのではと推測します。
証拠品を確認すると、財布には確かにガソリンのシミがついていました。
重盛は、三隅が「ガソリンをかけてから財布を盗もうと思い立った」と考え、強盗殺人ではなく殺人と窃盗の線で攻めることに。
「遺族感情のケア」のため、殺された山中の家族のもとを訪れた重盛。
するとそこには河川敷にいた少女・咲江(広瀬すず)がいました。
実は、山中の娘であった咲江。
重盛は、山中の妻であり咲江の母である美津江(斉藤由貴)に三隅から預かった手紙を渡しますが、美津江は涙を浮かべながら「こんな手紙1つで許せっていうの」と手紙を破ってしまいます。
その頃、工場の社員に三隅と山中について聞いていた川島。
その工場には前科持ちが多いと聞き、川島は「いい人だったんですね、社長さん」と言いますが、従業員は「安く使えて弱みを握れば逆らえないからだ」と返します。
その後、重盛らは打ち合わせをし、金銭目的より怨恨の方が罪が軽くなるため、事実はともかく「盗もうと思って殺した」ではなく「殺した後に盗もうと思った」という弁護方針にすることを決めます。
メール
ある日、重盛のもとに一本の電話がかかってきます。
それは重盛の娘・結花(蒔田彩珠)が万引きをしたというものでした。
急いで駆け付けた重盛は、自分が弁護士であること、そして現在重大事件を扱っていることを匂わせつつ、頭を下げます。
そんな重盛の隣で涙を流す結花。
その後「どうしてママに連絡しなかったんだ」という重盛に、結花はあっけらかんとした様子で「こういう時弁護士の方が使えるから」と答えます。
「さっき何で泣いたのか」と重盛が尋ねると、結花は「こういうのうまいんだ、みんな結構騙されるよ」とウソ泣きだったことを明かします。
驚く重盛でしたが、そこに摂津から呼び出しが。
なんでも、勝手に週刊誌に独占告白をしてしまったという三隅。
しかもその内容とは「山中の妻である美津江に頼まれて保険金目的で殺害をした」というものでした。
早速、内容について確かめる重盛と摂津でしたが、どこか煮え切らない返事の三隅。
重盛が「三隅の預金通帳にあった振込が、美津江からの殺害の前金ではないか」という推測をぶつけると、三隅はそれを認め、美津江からメールで殺害を依頼され、犯行後も「私のことは黙っていてくれ、悪いようにしないから」と言われたと説明。
実際、メール履歴には「例の件」と書かれたやりとりが。
重盛たちはそのメールを証拠として申請することに。
それに対し、この事件の検察官・篠原(市川実日子)は「メールは証拠にならないのでは」と半ばあきれた様子を見せます。
そして篠原は「重盛たちのようなとにかく減刑ありきの弁護士が、犯罪者が罪と向き合うのを邪魔する」と言い放ちます。
アパート
三隅の住んでいた古いアパートを訪れ、大家に「美津江が訪ねてこなかったか」を聞く重盛。
しかし大家は「見かけなかった」と言い、「その代わりに足の悪い女の子が来ていた」と証言。
それが咲江のことだと思い当たった重盛。
三隅のアパートの部屋で空になった鳥かごと小さな墓を見つけた重盛は、その墓に石が十字で並べられていることに気づきます。
三隅のもとを訪れた重盛が、三隅の部屋にもあったピーナッツクリームを差し入れると、三隅は「大好物だ」と喜びます。
重盛がいくつか質問をするものの、いつものようにどこか掴みどころのない三隅。
そんな三隅でしたが、重盛に「手を見せてくれ」と言い、刑務所のガラス越しに重盛と自分の手を重ね合わせます。
三隅は「直接話すよりも手を重ねる方が相手のことがよく伝わる」と言い、重盛の娘のことを尋ねます。
その後、摂津と会った重盛は「三隅にどれくらい重盛のことを話したか」尋ねますが、摂津が話したのは「司法修習で同期だった」ことくらいで、重盛の娘のことなどもちろん話していませんでした。
獣
ある時、重盛が事務所に帰ると父・彰久(橋爪功)が来ていました。
実は彰久は、三隅が30年前に起こした「留萌強盗殺人事件」の裁判長で、重盛から頼まれた資料を届けに来たのでした。
彰久に「仮出所して食品加工工場で働きだした」「かつて娘の誕生日に雪でケーキを作った」という、近況を報告するはがきを送っていた三隅。
しかし彰久は、そんな三隅のことを「ただ殺したかったんだあいつは」「楽しむように殺して燃やした」「まるで獣のようだった」と話します。
当時の判決では情状酌量があったものの、「その判決のせいで三隅がまた人を殺すことになった」と呟く彰久。
加えて彰久は、重盛に「殺すやつと殺さないやつの間には深い溝がある、それを越えるかどうかは生まれたときに決まっている」と告げるのでした。