「ズボンがはけない」「嫌いなサラダが食卓に」…緊急事態でないのに911コールした子供たち

まずは2016年に911に電話をかけてニュースとして取り上げられた米サウスカロライナ州に暮らす当時2歳の女の子、アリーヤちゃんの例だ。保安官代理のマーサ・ローンズさんがこの通報を受けたが、赤ちゃんのような声が聞こえたものの電話はすぐに切れてしまったため、マーサさんは発信元の住居を訪問することにした。

マーサさんがドアベルを鳴らすと、玄関からアリーヤちゃんが元気に飛び出してきたという。アリーヤちゃんのズボンが膝までしかはけていないことに気づいたマーサさんは、アリーヤちゃんがズボンをはくのを手伝ってあげた。今回の通報についてマーサさんは「アリーヤちゃんがズボンをはけなくて助けを求めてきたようです」と話しているが、その証拠にズボンをはき終えたアリーヤちゃんは笑顔でマーサさんにハグしてきたそうだ。

アリーヤちゃんの母親ペブルス・ライアンさんは「アリーヤはYouTubeを見たり、電話をかけたりと携帯電話をよく使っています。911コールについても話をしたことがありますが、実際にナンバーを覚えていて保安官に助けを求めたことに驚いています」と語っている。今回の件を受けて、アリーヤちゃんはひとりで簡単に着脱できるズボンを買ってもらったという。

また2018年には米コロラド州で当時10歳の少年が「あの、緊急事態ではないんだけど…」とためらいがちに通報してきたという。「今、算数の宿題をしているんですが、71を3052で割るとどうなるのか分からなくて…」と言う少年に、オペレーターのクリス・クロウさんは少年を叱ることなく「わかった、手伝ってあげるよ。今すぐに答えが浮かばないからちょっと待って」と対応した。いくつかのやり取りをしたところ、少年は3052を71で割った答えを求めていることにクリスさんは気付き、丁寧に計算機で答えを確認して「計算すると42.98と出るね。切り上げると答えは43になるかな」と伝えたそうだ。少年はクリスさんに礼を述べ通話は終了となった。

同じく学校で出された宿題の答えが分からないと911コールした例は他にもある。2019年には米インディアナ州で少年が「ものすごい量の宿題があるんだけど…」と911に緊急通報してきたという。通報を受けた女性オペレーター、アントニア・バンディさんは、宿題の内容とつまずいている問題を聞き出すと、算数の分数の問題を一緒に解いてあげた。最後まで少年の対応をしたアントニアさんには「これは微笑ましい。アントニアさんありがとう」「なんて素晴らしいの。少年の一日を良い日にしてくれてありがとう」といった称賛の声が集まった。

他にも2018年にカナダで当時12歳の少年が「親が僕の嫌いなサラダを出した」、そして当時7歳の少年がクリスマスプレゼントが気に入らないと911に緊急通報した。サラダ嫌いの少年から通報を受けたノヴァスコシア州王立カナダ騎馬警察(RCMP:Royal Canadian Mounted Police)の警察官はこの時、少年に緊急ダイヤルの適正な使い方を指導するための良い機会だと判断し出動することにした。ところが少年とその両親に対して緊急ダイヤルは非常事態の時にだけ利用するものだと懇々と説明した警察官に向かって、少年の両親は「なんて大袈裟な…」と悪びれる様子がなかったという。

RCMPのダル・ハッチンソン巡査によると、緊急コールの悪用には罰金が科せられるが、このサラダ嫌いの少年には罰金を科すことは無いそうだ。巡査はRCMPの公式Facebookに「911の不適切な利用は子供だけでなく全ての年齢層に当てはまります。それは本当に必要な時の通報に対しての足かせとなってしまいます。本当の緊急事態を最優先できるように不適切な通報を排除しなければなりません」と綴っている。

画像は『WSPA 2016年3月3日付「Toddler calls Greenville 911 with “pants emergency”」』『abc7chicago.com 2019年1月26日付「911 dispatcher assists young boy with homework emergency」(Lafayette Police Department)』『Royal Canadian Mounted Police in Nova Scotia 2018年6月14日付Facebook「Dislike for salad results in 911 call.」』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 関原りあん)

2021/5/30 18:57

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