コロナ対応で見えた日本政府のチグハグさ。自助できる体制づくりを

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◆「自助・共助・公助」は政府の責任放棄か

 菅義偉総理大臣は昨年の所信表明演説で、目指す社会像として「自助・共助・公助」を掲げました。「自分でできることは、まず、自分でやってみる。そして、家族、地域で互いに助け合う。そのうえで、政府がセーフティネットでお守りする。そうした国民から信頼される政府を目指します」と意図を語っています。

 個人的にはそのとおりだなとしか思わないのですが、「それは政府の責任放棄ではないか」などとマスコミや左派勢力からは批判も見られました。

 しかし自助の精神を持つ自立した人々が多くいないと、共助も公助もないでしょう。依存心よりまず大事なのが独立心ですし、その気概がなければ弱者救済もできません。ただコロナ禍においては自助自体が難しくなっているのも事実です。

◆「自助」できるような体制を目指してほしい

 数回の緊急事態宣言で人の移動が制限され、まさに自助の精神で事業のためにリスクを取って投資していた人ほど厳しい状況に立たされています。業態を変えるにしたって、事業規模が大きければ大きいほど難しいのです。

 飲食店は時短営業や酒類提供を自粛するように指導されますが、協力金で運営や雇用が守れない場合、無視して営業を続けるのもある意味自助努力と言えます。非難はされますが、自分がその立場だったらと考えると咎められません。

 自助したくても難しいからこそ公助の出番ですが、日本政府は即断即決できません。そもそも自助の精神をいうのであれば、もっと自助できるような体制を目指してほしいものです。自助の精神が大事なら、優先すべきはバラマキよりも減税でしょう。集めて配るという煩雑なことをやるより、そもそも集めなければ、国民は各々の判断でお金を使えるのです。“公助”と称して業者の中抜き控除はやめましょう。自助なら国民が自由に使えるお金を増やしていくべきなのに、菅政権からはまったくその気配が感じられません。言行不一致です。

◆言い訳ばかりの“会見派”

 新型コロナ蔓延という異常事態下においては、給付&減税のセットでいくべきだったのではないでしょうか。自民党にも減税するフリをする議員はいます。昨年3月には「減税勢力結集」と称して記者会見で消費税減税は欠かせないと訴えましたが、こんなのはただのガス抜きです。何しろその後1年以上たっても、具体的な行動を起こしていないのですから……。

 メンバーの中には安倍政権が終わったことを言い訳にする者もいます。しかしそれで変わるような連中は「減税勢力」とはいえないでしょう。会見だけやって法案すら作らない彼らは、ただの〝会見派〞です。

 コロナ関連でいえば、減税は使う人が限られるGoToキャンペーンよりよほど公平です。僕もGoToキャンペーンが健在のときに使わせてもらいましたが、正直大盤振る舞いしすぎだろうと感じます。それにコロナで苦しいのは旅行・観光・飲食だけではありません。あらゆる産業に影響を与えているわけですから、批判も当然の話です。

◆経済が伸びるビジョンがない

 正直言って、僕はあまり日本政府には期待していません。もちろん、この状況下でできることをやっているとは思うのですが、イマイチ明るい展望が見えないと言いますか……。それは僕が生まれてこの方、ずーっとです。物心ついたらバブルは崩壊していましたし、そこからは〝失われた20年〞に突入です。少子高齢化で今後は負担が上がると刷り込まれ、それでいて経済も成長せず賃金水準も据え置きの状態が続けば、そりゃ「最近の若者」は消費もしなくなるわなという感じです。

 コロナ以前は盛んにやってきた中国人観光客は、向こうでいう中間層が多いといいますが、彼らは爆買いをしていきます。それは日本の物価が相対的に安くなったというのもありますし、彼らは経済が伸びるというビジョンがあるので、今使っても後で取り戻せるだろうと考えられるのです。

◆有権者が参加しなければ政治は変わらない

 令和の御代も3年目ですが、今も平成をすっ飛ばして昭和的価値観がはびこる日本です。そろそろいろいろ転換していく必要があるでしょう。

 現代はよりさまざまなことを考えなければ難しい社会です。寿命は伸びているのに年金は少ないから働き続けるのか、それまでに資産をつくっておくのか。昔は銀行に置いておくだけで、利息の高さからからけっこうお金が増えたという伝説を聞いたことがあります。

 しかし今はほぼ利息がつかないような状態なので、増やすには運用するしかありません。

 僕も不安定な仕事をしているので、リスクを取って運用するという自助努力を行っています。つみたてNISAやiDeCoなど、国が用意した優遇制度を利用しつつ、地味に毎月積立投資を行っています(けっこう増えてますよ)。

 現代の政治は改革すべき点が多くありますが、政治家にだけ文句をいっても仕方のない部分があります。何しろ政治家を選んでいるのは我々国民なのですから。今の政治がおかしいというのであれば、我々有権者がしっかり政治に参加しなければいけないのです。

 今年は確実に衆院選があります。既存政党を見ると選択肢が乏しいのは間違いないですが、そのなかで選択することすら放棄することのないよう、あなたの一票を使っていただきたいと思います。

◆今週の一言

政府には期待していない。政治家を選んでいるのは我々国民。しっかり政治に参加しなければいけない。

<文/KAZUYA>

―[ライトなライト論]―

【KAZUYA】

動画配信者、作家。1988年、北海道帯広市生まれ。2012年より、YouTubeとニコニコ動画にて「KAZUYACHANNEL」を開設し、政治や歴史、社会問題などのニュースをほぼ毎日配信する。YouTubeのチャンネル登録者数は70万人超、ツイッターのフォロワーは11万人超。『日本人が知っておくべき「戦争」の話』など著書多数

2021/5/29 15:45

この記事のみんなのコメント

1
  • 観音寺六角

    5/29 20:27

    自助?ポンコツ日本政府よく見ろってな😩

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