ポイ捨てされた「不織布マスク」が“海ごみ”になるケースも…海の未来を守るために、私たちができること

青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの新番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。5月23日(日)の放送では、環境省 海洋環境室長の山下信(やました・まこと)さんに「海ごみゼロ」をテーマに話を伺いました。

(左から)青木源太、山下信さん、足立梨花

◆世界中で問題になっている「海ごみ」の現状は…

海に浮かんでいたり、海底に沈んでいたり、海岸に漂着したりする、いわゆる「海ごみ」。世界中で問題になっている海ごみの量は、今なお増え続けており、2050年には海に生息する魚の量を超えるとも言われています。

海の近くに住んでいる人や海で働く人、マリンスポーツを楽しむ人など、海と接点のある人は、海ごみに高い意識を持っている人が多いようです。一方で、日常生活であまり海と接点のない人のなかには、“自分とは関係ない”と関心が低い人も。山下さんは「これが、海ごみ問題が改善に向かいにくい理由の1つになっている」と指摘します。

2018年度に回収された日本の海岸に漂着した海ごみの量は、約3.2万トン。海ごみは、船の航行への障害をはじめ、観光業や漁業などの仕事、沿岸地域に住んでいる方々の生活、さらには生態系を含めた海の環境など、「各方面にさまざまな影響を及ぼしている」と山下さん。海ごみのなかでも特に多いのは、ペットボトルのキャップやボトル、プラスチック製の食品容器などの“プラスチックごみ”です。

プラスチックは、軽くて丈夫でリサイクルにも適しており、本来は環境にやさしい素材。しかし、適切に処理されなければごみとなり、環境に悪影響を及ぼしてしまう側面も。近年、特に問題視されているのが「マイクロプラスチック」です。5ミリ以下の微細なプラスチックごみのことで、海のプラスチックごみが、紫外線や波などの影響で細かく砕けて発生します。このマイクロプラスチックを魚などが食べてしまい、体内に蓄積することも懸念されています。

◆日常生活での“意図しない散乱”も大きく影響

山下さんによると、世界における海のプラスチックごみの約8割は、人々が暮らす町から出ているそうです。その発生源は、不法投棄やポイ捨てだけでなく、私たちが意識しないうちにまき散らしてしまっている“意図しない散乱”が影響することも。海のプラスチックごみが発生する要因には、「私たちが普段の生活でプラスチック製品を使っているうちに意図せず散乱させてしまうケースと、ごみとして捨てる際に散乱させてしまうケースがある」と言います。

ポリエステルやナイロン、アクリルなどはプラスチックと同じ原料からできているため、合成繊維の衣服を洗濯するときなどにも“細かい繊維くず”が発生します。これが海に流れ着き、マイクロプラスチックとして海に浮遊してしまいます。

私たちが日常生活をするうえで海ごみを減らすには、「まずプラスチック製品を適切に扱っていただくことが大切」と山下さん。多くのプラスチック製品はリサイクルできるので、「お住まいの自治体で決められた通り、きちんと分別して捨てるようにしてほしい」と訴えます。

ちなみに、2018年に実施された調査によると、飲料の自動販売機の横などに置かれている「空容器専用のリサイクルBOX」に、「異物」が混入している率は、なんと31%! 異物のなかで最も多いのは、タバコの吸い殻やライター、空の弁当箱やレジ袋などが捨てられていることも。こうした異物が多く混入することで、本来入れるべきペットボトルなどが入れられず、リサイクルボックスの横に置かれてしまい、散乱の原因になってしまうケースも多く見られます。また、コロナ禍でマスクを着用する機会が格段に増えたこともあり、道端に捨てられた不織布マスクが海ごみとなってしまうことも。

◆「海ごみゼロウィーク」とは?

“意図しない散乱”をはじめとする海ごみの問題を、より多くの人に身近に感じてもらうべく、毎年、「海ごみゼロウィーク」と題した全国一斉の清掃キャンペーンを実施しています。このキャンペーンは、きれいな海のイメージカラー“青色”のアイテムを身につけて、海や川などでごみを拾う活動のこと。

2021年度は、春と秋に2回実施します。春の海ごみゼロウィークは、“ごみゼロの日”の5月30日(日)から、“世界海洋デー”の6月8日(火)までの10日間。2019年は、全国およそ1,500ヵ所で約43万人が参加し、約20万6,000袋ものごみが回収されました。これは、1袋の高さを30cmとした場合、62kmに達し、東京タワー186本分にもなるそうです。

環境省では、コロナ感染予防対策を徹底したうえで、個人、団体、企業、自治体などに向けてキャンペーンへの参加を呼びかけています。山下さんは「ぜひ『海ごみゼロウィーク』のWebサイトをご覧いただければと思います。一人ひとりの行動が、海の未来を守ることにつながります。今こそ行動を起こし、日本から世界へ海の未来を変える挑戦を実現させていきましょう!」と呼びかけます。

パーソナリティの足立は、海に面する地元・三重で、海ごみを減らす活動に参加した経験があると言い、「(活動を通して)なかなか減っていかない現状を実感したので、これを機にみなさんにも『海ごみゼロウィーク』を知ってもらいたいです」と話します。

一方、今回、青木が印象に残ったワードは「意図しない散乱」。「普通に生活をしているなかでも、もしかしたら海ごみを発生させてしまっているかもしれないということを、意識したい」と自らに言い聞かせていました。

青木源太、足立梨花

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聴取期限 2021年5月31日(月) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection

放送日時:毎週日曜 7:30~7:55

パーソナリティ:青木源太、足立梨花

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/

2021/5/27 11:00

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