コロナで増える万引き被害。防犯タグ解除の動画は数十万回再生、転売目的も
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◆アウトドア人気の裏で…
コロナ下にあってもアウトドア需要は大盛況。
屋外なら感染の心配が無いという声も多く、GWにはキャンプ場やバーベキュー広場など様々なアウトドア施設で規制がかかるほどの需要でした。
その余波はアウトドアショップだけでなく、ホームセンターからスーパーや100円ショップと関連商品が販売されるあらゆる店舗で影響が出ています。
そんなアウトドア需要ですが、裏で起きているのがコロナ不況によるアウトドアギアの窃盗。
フリマやオークションサイトでは特需ということも有り中古から新品まで、様々なアイテムが取引されています。
実際に使う目的か、あるいは転売かそこまでは万引きをした当の本人にしか判りませんが、話を伺ったホームセンターによると昨年から特に万引きが増えているという。万引き増加の背景にはレジ袋有料化やコロナによる賃金カットなど様々な理由が言われています。
◆従来の防犯対策とは違う方法で
すべての商品に防犯タグ等を取り付けて徹底した盗難対策を行えば、万引き被害は減るかもしれませんが、店舗運営側としては販売上商品のディスプレイが必要だったり、すべての商品に防犯対策を行うのは難しい様です。
そんな防犯、万引き対策で従来とは違った方法でセキュリティーを展開しているという情報が入ってきたので、メーカーに話を伺ってみました。
今回取材に応じてくれたのは、日本万引防止システム協会・正会員の(株)杏林社。
日本万引防止システム協会は、万引防止システムをサポートする企業団体の集まりで、犯罪防止や防犯システムの実態調査等を行政や関連団体と連携し、活動している団体です。
現在大抵の店舗で採用されている万引防止システムは、自鳴式タグや防犯ゲート等を利用した見た目にもいかにも防犯対策をしているぞと言った物々しい設備が必要です。
ここに、防犯カメラ等を組み合わせ犯罪者に一定の心理的影響を与え、万引きを防止しているのが現状です。
◆ネット上で解説される防犯タグの外し方
ですが現在の万引き防犯システムはショップ側からは対策にはなるけど、誤作動や設置の手間といったマイナスの意見も多く出ています。特に、アパレル界隈では防犯タグにはインクタグと呼ばれる、無理やり外すとインクが飛び散り商品を盗んでも役に立たない状態にするシステムが多く採用されています。
このインクタグだけでなく様々な防犯タグの外し方が、ネット上では動画付きで解説されていると言うことも有り、軽い気持ちで万引きを行う人もいるようです。
◆完全ワイヤレス防犯システムも
防犯ゲートは見た目にも万引き防止対策として非常に有効ですが、店舗のレイアウト上どうしても設置できないと言った事も。そんな店舗には埋込み型の防犯ゲートを勧めている。ショッピングモールのテナントショップなど、あらゆる方向が通路に面している店舗などでは効果的に設置できるという。
さらに小型のテナントやアパレルなど試着が必須な店舗向けには、完全ワイヤレスによる防犯システム「S-Guard」を提供。
防犯ゲートを設置せず、キューブ状のユニットを中心に、ドーム状に広がった磁界内がセキュリティエリアとなる。磁界から出れば、防犯装置は作動する仕組みとなっており、店舗イメージを崩すことなくレイアウトが作れる仕組みというわけだ。
万引きという呼び方により、犯罪イメージが少なく感じる人も多いようだが、立派な窃盗罪となる。昨今では青少年よりも高齢者による万引きも多くなっていると言う統計もある。刑罰は「10年以下の懲役もしくは、50万円以下の罰金」と重い罪に問われるので安易な気持ちで万引きに手を染める事はしないでいただきたい。
<文/板倉正道>
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【板倉正道】
テクニカルライター。三才ブックスのマニア誌『ラジオライフ』にてガジェットや分解記事を執筆。買ったら使用前に分解するのがライフワーク