不安なことがあると、なぜ人は人を好きになるのか!?

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 人は誰も「誰かに頼りたい」という気持ちを持つことがありますよね。また、誰かと何かを一緒にやりたいとか、自分にしっくりくる居場所を求める気持ちもあります。これらの欲求を、心理学では【親和欲求】といいます。人が誰かに恋をする気持ち、それもまた親和欲求の一つです。

 この親和欲求、不安なときほど高まるといわれていて、つまりは不安なときのほうが誰かを好きになりやすいといえます。なので、健康でとても幸せな状態のときよりも、例えば風邪をひいていて体調が悪い、仕事でちょっと失敗した、友だち関係でいざこざがあった……といった状態のときのほうが恋愛をしやすいのです。

 では、なぜ不安なときには親和欲求が高まるのでしょうか? それを導き出したのが、アメリカの心理学者スタンレー・シャクターです。彼は「人は不安になると、知人だけではなく偶然一緒にいることになった知らない人に対しても親和欲求が増加する」と提唱しました。そして、次のような理由から、人は不安なときに親和欲求が高まるのだそうです。

■不安から逃避できる

 誰かに話しかけることによって、不安の中の苦しい気持ちは緩和される。また、不安時の緊張感からも解き放たれることができるため。

■不安の見通しを立てられる

 誰かと話しているうちに、自分の身に何が起きるかの見通しを立てられる。不安の原因の解決法も考えやすくなるため。この状況を心理学では【状況の認知的明確化】という。

■不安を解消するような言葉をもらえる

 自分の話を聞いてもらい、慰めてくれる人がいるという状態になれる。不安を解消してもらえるような状況になれるため。

■自己評価しやすくなる

 他の人の行動を参考にして自分の行動を決められる。自分1人だけよりも、他の人がいるということで自己評価しやすくなるため。

 これらシャクターの意見について感じるのは、私たちは過去の体験を重要視しているのだということです。私たちは、過去の体験の中で「他人と一緒にいると、こういういいことがある」ということを実感として知っているからこそ、不安が高まっているときには、自然と誰かと一緒にいる状態を求めがちなのかもしれません。

 とはいえ、同じくシャクターによれば、不安のレベルがあまりに高く、困難で見通しの立たない問題で苦しむ人の場合には、親和欲求は高まらないそうです。それは、誰かと一緒にいても、自分の問題が解決することにはつながらないと考えるからです。

 人の心って面白いですね。さまざまな不安、困難な状況の中でも、自分が誰かを頼ると得をするのかしないのかを無意識のうちに選択し、無意識のうちに恋愛をしてしまうわけなのですから。

(恋愛カウンセラー・安藤房子)

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