出世を見限った3人の会社員が「嫉妬も未練もゼロ」と語る理由

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がむしゃらに走ってきた会社員人生もふと立ち止まってみると、先が見え「このままでいいのか」と思うもの。人が会社を見限るのはどんな瞬間なのか? 異動、ワンマン社長、出世レース、さまざまな理由から実際に会社を見限った中高年サラリーマン3人に経験を語ってもらった。

・遠藤 慶さん(仮名・44歳 メーカー)
アーリーリタイアを目指し、米国株投資に励むことでなんとかモチベーションを保っている
・岡田貴弘さん(仮名・53歳 大手インフラ)
長年培ってきた社内コネクションを生かし、現場のトラブルシューターとしての立場を確立
・杉本裕太郎さん(仮名・40歳 スタートアップ)
転職は7回目。スタートアップの会社に転職する際は、社長との相性が大事だと痛感

◆それぞれの会社を見限った理由

遠藤:ありきたりですが、僕が会社を見限ったきっかけは、吐くほどツラい人事異動で精神的に参ったことでした。コミュニケーションが苦手でSEになったのに、クレーム対応が多い部署に行かされて出社のたびに吐き気を感じる。

 異動をお願いしても取り合ってくれず、嫌がらせかとも思ったけど、その上司はシステムも組めるしコミュ力もある万能型だったので、天才は凡人の気持ちをわかってくれないんだな……と絶望したのを今でも覚えてます。

岡田:あー、その気持ち、わかります。僕は高卒でなんとか大企業に潜り込んだぶん、周りが高学歴で頭が良い人ばかりでした。後輩がどんどん出世していくのを横目に30代後半あたりから出世は無理だろうとほぼ諦めてましたね。杉本さんはどうですか?

◆ビジョンは壮大でも中期経営計画すらない“会社ごっこ”

杉本:僕の場合は、スタートアップブームに乗って幹部候補として転職したのはよかったんですけど、社長とソリが合わなかったんです。

 規模拡大のタイミングだったので、それまで社長の独断だったシステムを組織化していくという話だったのに、いつまでたっても評価制度がないまま社長の好き嫌いで「あいつは最近頑張ってる/イマイチ」などと評価されるのが納得できなくて……。

遠藤:それは不満が溜まりますね。

杉本:ビジョンは壮大だけど中期経営計画すらない、ゴールとスケジュール設定もないまま残業が続くのはまるで“会社ごっこ”。苦痛でしたね。

遠藤:スタートアップは異動で逃げることもできないのがキツいですね。僕は幸い4年でシステム開発の部署に戻れたんですが、いつまたコミュ力重視の部署に異動させられるのか……。40代で年収アップの転職も難しく、会社にとどまり貯金するしかないと腹をくくりました。

 いつか5000万円貯まったらスパッと辞めて投資で稼ぐ生活をしたいと思ってます。今は4000万円未満なので先は長いけど、希望があるのでなんとか頑張れてますね。

◆早々に出世を諦め、ほどほどに暮らす

岡田:異動の恐怖はさておき、ほどほどに暮らすのも案外いいものですよ。僕はマネジメントが苦手で30代から「出世はせずに現場にいたい」と上司に伝えてました。周りが出世していっても「会社と自分の生活を支えてくれる人」だと思うので嫉妬もしません(笑)。

 若い頃に社会の基盤をつくる大きなプロジェクトで充実感も味わったし、バブル時期に入社したおかげで給料もさほど下がらず、家族と十分暮らせますし、ほどほどに仕事をして、19時以降は趣味の日本酒を飲んで日々楽しんでます。

杉本:「会社と自分の生活を支えてくれる人」っていいですね(笑)。そこそこの仕事でいいというのも同意です。同僚と協力して社長のやり方を変えようと頑張ったんですけど、僕より後に入社した元有名企業の役員ですら説得できなかったのを見て、あ~これ以上は時間の無駄だと悟りました。

 結局、子供がまだ小さいこともあって、やりがいも見えなくなって評価もされない残業を続けるより、子育てに理解があってリモート中心で働ける会社に転職したんです。

◆アーリーリタイアを目指して粛々と働く

岡田:出世という鼻の先のニンジンに人生を振り回されるのは疲れるし、管理職になってギスギスした生活もしたくない。

 今の生活はプレッシャーもないので、目の前の仕事に集中すると決めて出世を見限ったのは、我ながら良い判断だったと思います。

遠藤:わかります。僕はコミュ力がないので、出世して人間関係が増えるのも嫌ですし、出世への未練は同じくゼロですね。

 でも異動願を塩漬けにされた恨みは忘れられないから、会社のために頑張ろうという気持ちもゼロ。あと1000万円ちょっと貯まってアーリーリタイアができるまで、目の前の仕事を粛々と続けます。

<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/長谷英史 モデル/多田無情 中村 敦>

―[会社の辞めどき]―


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