「ストリートビューに地元の写真がない」故郷の画像をGoogleマップに追加するため1人で撮影を敢行した男性(ジンバブエ)

ジンバブエ共和国の首都ハラレ出身の写真家兼映像作家であるタワンダ・カンヒマさん(Tawanda Kanhema)は生まれ育った故郷を離れ、カリフォルニア大学バークレー校でジャーナリズムとドキュメンタリー映像制作を学んだ。現在はプロダクト・マネージャーとして、米サンフランシスコで働いている。

そんなタワンダさんはある日、友人と夕食を食べている時に「生まれ育った家の写真を見せてよ」と聞かれた。

実際の写真は持っていなかったようで、タワンダさんはGoogleマップのストリートビューにあるだろうと思って住所を打ち込んだ。そしてストリートビューを開こうとした際、写真がないことに気付いた。

一国の首都でありながらストリートビューの写真がないことに衝撃を受けたタワンダさんは、この状況を何とかしたいと強く思い、行動に移した。

まずタワンダさんがグーグルに連絡を取ると、「ストリートビューカメラ貸し出しプログラム」の存在を知った。これはグーグルからストリートビュー用のカメラを借りて撮影ができるものだ。事前の審査はあるものの、観光協会や民間企業だけではなく、趣味として楽しみたい人や地域のおすすめの場所を紹介したいという理由でも借りることが可能だ。

タワンダさんはグーグルからカメラを借りると、首都ハラレのビジネスエリアやショッピングモールなどを兄弟の手を借りて撮影したという。

その後タワンダさんは一旦アメリカに戻ったが、さらに多くの地域を撮影したいと考えた。そしてカメラ単体だけではなくカメラ付きの車両など様々な機材をグーグルから借りると再びジンバブエに向かい、様々な景色の撮影を開始した。

2週間の撮影期間を設け、大自然に囲まれたヴィクトリアの滝や第4の都市ムタレのメインストリート、グレート・ジンバブエ遺跡、イースタン・ハイランスという山道など、観光地をバーチャルツアーできるように多くの地に足を運んだ。

基本的な移動手段は車だったが、ヴィクトリアの滝の橋を自転車で渡り、ヘリコプターを使って上空からの撮影も行った。さらに360度カメラを搭載したモーターボートでザンベジ川を走り、険しい山道では4輪バギーを利用するなど地形に合わせて様々な撮影方法を取ったという。

カメラはグーグルから借りたものの「私にとっては趣味のようなものだからね」とタワンダさんは明かしており、旅費などは全て自腹だったというから驚きだ。

またタワンダさんは何千キロもの道のりをほとんど1人で撮影したそうだが、最終的にはタワンダさんの撮影旅行を知ったグーグルがスタッフを派遣し、タワンダさんの旅の記録を撮影した。

今回の壮大な撮影プロジェクトについて、タワンダさんは「これはデジタルメディア上ではわずかな貢献にしかなりませんが、その影響は広範囲に及ぶと思います」と明かしたうえで、このように述べている。

「地図に終わりはありません。人々は場所を表現するために、常にその土地にまつわる背景や異なる視点や意見を追加しています。こうした影響により、徐々にアフリカの地にもデジタルの波が広がっていると感じますね。」

「普段の生活で『この病院で生まれたの』『この家で育ったんだ』という会話をよく耳にします。地図に写真などのイメージを追加することは単に道案内のためだけではなく、こうして人々と思い出を共有できることを伝えていきたいですね。」

画像は『Tank’s Good News 2021年5月13日付「This Man Single-Handedly Put Zimbabwe On Google Street View By Lugging Around A Camera」(SCREENSHOT GMA)(GMA)』『CNET 2018年12月24日付「This man spent $5,000 of his own money to put Zimbabwe on Street View」(Tawanda Kanhema and Casey Curry)』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 iruy)

2021/5/19 21:50

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