コロナ移住失敗組の憂鬱。リモートワーク縮小で「引っ越さなければよかった……」との声も

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週刊SPA!ではたびたびコロナ禍による郊外への移住ブームを取り上げてきたが、リモートワークが縮小傾向になるなか、早くも移住を後悔し始めた人も少なくない。当事者たちに話を聞いた!

◆環境悪化に家庭崩壊……郊外型スローライフはウソ!?

 コロナ禍によるリモートワーク普及で、にわかに巻き起こった近郊への移住ブーム。総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、昨年の東京都からの転出者数は4.7%増の約40万人。前年より増えたのは全国で東京都だけだった。

 メディアも頻繁にコロナ移住を取り上げるなか、2月にライフルホームズが発表した「借りて住みたい街ランキング」では神奈川県・本厚木がトップに。さらに大宮、葛西、八王子と郊外に位置する街が続いた。

 しかし、移住を実行した人のなかには早くも後悔している人も少なくないようだ。昨年秋、東京・世田谷区から神奈川県秦野市に移住した会社員の男性(30代)はこう語る。

「移住のきっかけは、昨年秋に人事部から『4月までには出社率を4割未満にする』と通達されたこと。週1~2回なら1時間半の電車通勤でも苦じゃないと思った。しかし今、出社率は7割程度。家庭に居場所のない40~50代の中間管理職が意味なく出社するので、部下の私たちも週4回は出社しないといけない雰囲気です。ワクチンが広まればリモートワークはさらに縮小されそうなので、都心に戻ることも考えています」

◆リモートワークの縮小がトレンドに

 昨年9月に、都心から三浦半島に移住した会社員の男性(30代)も当てが外れたようだ。

「京急の三崎口駅は始発なので座れるのはいいのですが駅までが遠く、バスと徒歩で30分以上かかる。昨年まで週2出社だったのでよかったですが、年明けからリモートワークが縮小され、週3~4回は出社に。電車も最近は明らかに混雑していて、感染リスクも移住前より高くなっていますよ。引っ越さなければよかった……」

 リモートワークの縮小はトレンドとなっている。パーソル総合研究所が、全国の正社員2万人を対象に過去4回にわたって行った調査によると、週1回以上のリモートワークを実施している正社員の割合は、1回目の緊急事態宣言の前後で倍増し27.9%に。

 ところが解除後と、第3波真っただ中では減少し続けているのだ。同研究所の上席主任研究員・小林祐児氏は「リモートワークの波は徐々になくなる」と見ている。

「日本の会社組織では、役割分担の境界線が曖昧で、日々のコミュニケーションのなかで『この案件は〇〇さんがここまでやって』と調整されることが多い。手が空いた人がそうでない人を補うなど柔軟に対応できる利点がある半面、リモートワークには向いていない。コロナ禍が収まればマスコミも取り上げなくなり、残念ながら数年後には『そんな言葉あったね』ということになっているでしょう」

◆治安や環境の悪さを嘆く人々も

 移住者にとって肩透かしだったのはリモートワークの縮小だけではない。郊外暮らしに対して思い描いていたイメージと現実のギャップに戸惑う人も少なくないのだ。3月に、都内から埼玉県某市に移住したばかりの会社員の女性(36歳)はため息を漏らす。

「自然溢れるところでのびのび子育てしたいけど、夫も私も週3以上は出勤の必要があり、都心からほどよい距離のこの地を選びました。しかし、移住してみると幹線道路には大型トラックが排ガスをまき散らしながらバンバン通っていて都内より空気が悪い。さらに近くに産廃処理場の建設計画があるらしい……。最寄り駅から徒歩20分ですが、夜は暗くて人通りも少なく、殺伐としていて怖い」

 もう一人、治安の差を嘆く男性がいる。神奈川県某市に移住したIT企業の会社員(34歳)だ。

「駅から近い広めのワンルームに住んでいるんですが、夜はとにかく喧嘩が多く、イカツい風貌のお兄さんたちが闊歩している。キャバクラが多いんです、ここは。また海に近いこともあり、週末の夜は暴走族のバイクの音もうるさい。都内に住んでいた頃と環境がガラっと変わり、ストレスが溜まって不眠気味になりました」

◆近郊都市であっても閉鎖的なところがある

 移住のメリットのひとつとされるのが生活コストの削減だ。しかし前出の三浦市に移住した男性の話を聞くと、現実は違うようだ。

「車社会であることはわかっていましたが、私と妻で2台ないと不便なことは想定外だった。家賃は以前の半額程度になったけど、駐車場代も維持費も2台分かかります。結局、都内に住んでいる頃と出費は変わらなくなった」

 さらに家族が病んでしまって家庭崩壊の危機にあるのは、前出の秦野市に移住した男性だ。

「小学校5年生の娘が転校してから休みがちになってしまった。リモートワーク中も、娘が家にいる日は妻が『移住したせいよ』と常に責めてくるので喧嘩ばかり。僕も精神的に参ってますよ」

◆結局、移住者は短い祭りに踊らされただけだった!?

 移住に失敗した人たちの悲痛な声には同情を禁じえないが、不動産ジャーナリストの榊淳司氏は、移住の現実についてこう語る。

「週2~3回でも都心に出勤する必要があるなら、通勤時間を考えると国道16号線くらいまでが現実的に移住できる限界でしょう。郊外では、駅から距離がある築30年ほどの戸建てであれば1000万円程度から手に入るので、住宅コストは確かに下がる。

 ただ、自然環境に憧れて移住しても、都心とそれほど変わらない。また川越、野田、相模原など場所によってはコミュニティが閉鎖的だったりするので新参者には馴染みにくい可能性がある」

 さらに榊氏は、外国資本の気になる動きがあるという。

「外資系ファンドは、日本企業のリモートワーク化がこれ以上進まず、コロナ後に需要が戻ってくると見ており、いま都心のオフィス物件を買い漁っているそうです」

 結局、移住者は短い祭りに踊らされただけだった!?

◆遠く離れた地方都市に移住した人々も「後悔」

 コロナ禍を機にさらに遠方へと居を移す者もいる。しかし、距離とともにハードルも一層高くなるようだ。1月に都内から四国の郷里に∪ターン移住した自営業の男性(46)は言う。

「移住後も飛行機で月に2、3回は上京する必要があるのですが、近所に住む母親から『東京に行ったことがバレたらご近所さまに顔向けできない』と言われていて、非常にやりにくい。キャリーケースを持って家に出入りするのは、早朝や深夜のみに限るなど、隠密行動を余儀なくされています。親戚の間でも目の上のタンコブ扱いされていて……。すでに帰郷を後悔してますよ」

 一方、昨年6月に都内から九州にIターン移住したウェブデザイナーの女性(39歳)にも、こんな苦労が。

「移住したての頃は、感染者数も落ち着いていたので、私のようなヨソ者にもウェルカムな雰囲気でした。それが一変したのが今年、第4波に入ってから。『県外者お断り』の張り紙がしてある飲食店も増えて、一度、そうした飲食店で注文の時に関東弁が出てしまい店員に『どこから来たと?』と詰問されたことがありました。

 住民票も移した在住者だと説明したら事なきを得ましたが、その時のほかのお客さんの視線が怖くて。それ以降、人前で話すことが恐ろしくなってしまった。観光で訪れて気に入った街なのに、嫌いになってしまいそうです」

 コロナ禍が過ぎ去り、一刻も早く移住者が枕を高くして眠れる日が来ればよいが。

<取材・文/SPA!コロナ問題取材班>


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  • 5/16 15:54
  • 日刊SPA!

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この記事のみんなのコメント

1
  • 脱走兵

    5/18 20:03

    軽挙妄動の見本だな。『新しい働き方』とやらを頑張って下さい。何も後悔してる人ばっかりじゃない。悪いトコロばっかり見ればどんな就業形態だって不幸と後悔しかないだろう。やる前にリスクをきちんと考えろ。やった後は愚痴を言うな。誰のせいでもない。

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