3度目の緊急事態宣言発令。 ネオン消灯で見えた、「やってる感」の演出という愚策

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◆マンネリ化する緊急事態宣言

 ゴールが決まっているならそこまで頑張ろうと思えますが、ダラダラとゴールの見えないマラソンは心が折れます。

 新型コロナウイルスによって昨年からあらゆる行動が制限されていますが、「またかよ」という感じで3度目の緊急事態宣言が4都府県に発令され、2年連続2回目のゴールデンウィーク潰しとなりました。しかも、5月末までの延長が決まった。

 “マンボウ”こと「まん延防止等重点措置」は都道府県の特定地域に絞り込んで適用されるものですが、感染者数がまた増加してきたことから全体に適用される緊急事態宣言ということなのでしょう。

 しかしもう3度目ですし、さすがにマンネリになってきました。国民は我慢を強いられているわけで、特にゴールデンウィークのタイミングでの発令は経済活動を相当停滞させたことでしょう。

◆「やってる感」だけのネオン消灯、意味ある?

 政治家の気持ちになって考えてみると、たしかに難しい舵取りだろうとは思います。何しろ特効薬があるわけではありませんし、結局突き詰めると、マスクをして密を避け、手を洗ってアルコールで消毒し、不要不急の活動は控えようということです。

 ただそれでも政治界隈の人たちは「やってる感」を演出するための新しい対策が求められています。これまで2回の宣言を経て、結局また感染者が増えてきたということは、同じことを言っても説得力がないのです。だから「新しい対策」なのです。

 そんな「やってる感」の演出のためにイソジンとかうちわとか、誰か止めるヤツいなかったのかと思うようなものが出てくるのでしょう。今回の宣言にあたって思わず笑ってしまったのは、夜8時以降繁華街のネオンの消灯を要請するという東京都の試みです。

 戦時中ですか? それに、電気消したところで感染症対対策になるのか……いや、ならないでしょう。意図としては、繁華街を暗くして早く家に帰らせようということなのでしょうが、もうこの段階でうろついている人は何を言っても無駄な気がします。

 飲食店では終日お酒の提供を自粛する要請をしたり、小売店も生活必需品以外は休業要請……微々 たる協力金ではどうにもなりません。お酒を飲むとテンションが上がって飛沫が飛びやすいということなのかもしれませんが、本当にお酒が原因で感染症が蔓延するものなのか確たるデータが示されていませんし、ノリで自粛要請を決められても困ります。

◆コロナ圧力に屈した日本人

 この一年ですっかり日本人はコロナ圧力に屈しています。和を重んじるといえば聞こえはいいですが、悪いほうにいくとみんな一緒に落ちていくということでもあるのです。

 今まさにそういう状態で、お酒にしても自粛の空気ができると、一気にそっちに傾いてしまいますし、自粛警察のような世論の圧力を恐れて店は泣き寝入りするしかなくなります。ただ人間の欲望はゼロになりませんから、裏では営業してたりするんですけどね。

 自粛を呼びかけている側だって我慢できていない実態も明らかになっています。厚生労働省の職員が23人で深夜まで送別会をやったり、大阪市の職員は5人以上の会食や深夜までの会食をしていたのが1000人以上いました。

 気持ちはわかります。だってにんげんだもの。しかし呼びかけている側がこのザマなのですから、国民だけに我慢を強いるのは無茶です。示しがつきません。

◆緊急事態宣言ループを抜け出すためには

 そもそも日本の場合、他国と比べると死者数も少なく、本当にここまでやる必要があるのかとすら考えてしまうほどです。高齢者のほうが危険なので、高齢者に自粛してもらって若い世代は感染症対策をしつつ活動をするとか、全体ではなく区切ってもいいのではないでしょうか。

 しかし結局は日本でもワクチンの接種が加速しないと、緊急事態宣言ループは終わらないのではないかと思います。ワクチンは絶対に打たないという人もいますし、強制ではないので各々の自由です。

 ただ再び日本での自由な活動はもちろん、海外との交流もと考えるとワクチンを打っていたほうがお互いにとっていいのだろうと思いますし、個人的には順番が回ってきたら早く打ちたいと考えています。完全に防げないのは当然ながら、結局今の社会を覆っているコロナという不安の霧をはらす効果が期待できます。

◆トランプ前大統領もワクチン接種済み

 先行している米国では、バイデン大統領が政権発足から100日で達成するとしていた2億回分のワクチン接種を前倒しで達成しました。反ワクチンの人は「人体実験」かのように言いますが、各国の首脳クラスは当然ですし、何ならあのトランプ前大統領もこっそり在任中に打っていたくらいです。

 米国ではワクチン接種が開始されて以降、新規感染者・死者の減少傾向が見られます。これは米国だけの傾向ではありません。日本はかなり出遅れてしまいましたが、ようやく高齢者への接種が開始されています。それでもまだ先行きは何ともいえず、接種のための人員や場所の確保も急務です。僕に順番が回ってくるのはいつになることやら……。

 来年の今頃はマスクなしで颯爽とネオン煌めく夜の街を闊歩し、時間を気にせずゆっくりとお酒を飲み、当然のように国内外へ旅行に行けたらいいなと夢想しながら、家にこもってモンハンばかりやる僕のゴールデンウィークでした。

◆今週の一言

コロナ圧力に屈した日本人。一度悪いほうにいくと、みんな一緒に落ちていく

<文/KAZUYA>

―[ライトなライト論]―

【KAZUYA】

動画配信者、作家。1988年、北海道帯広市生まれ。2012年より、YouTubeとニコニコ動画にて「KAZUYACHANNEL」を開設し、政治や歴史、社会問題などのニュースをほぼ毎日配信する。YouTubeのチャンネル登録者数は70万人超、ツイッターのフォロワーは11万人超。『日本人が知っておくべき「戦争」の話』など著書多数

2021/5/14 15:50

この記事のみんなのコメント

1
  • 齢和の4Gぃ

    5/14 23:15

    もはや、緊急事態宣言は遅 もはや、緊急事態宣言は遅過ぎる。今日になって北海道や岡山や広島を追加したが、感染爆発前のGWに出すべきやったなぁ( ̄ー ̄)もう後手後手。案の定インド株がじわりじわりと市中感染し始めて来たが、高齢者のワクチン接種は、ようと進んでないどころか7月中に2回無理と云う自治体もある。変異株禍の五輪は間違いない(T^T)

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