コロナ陽性、隔離病棟に14日間…闘病中に初めて知った「医療現場のリアル」
―[メンズファッションバイヤーMB]―
メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。普段は洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。
◆▼入院後、どんな生活が待っているのか?
前編では発熱から陽性診断、入院まで3週間の流れを振り返りました。後編では入院中の環境をお伝えします。
コロナ隔離病院すべてが私と同じではないでしょうが、こんな入院生活があるということを認識してもらえればと思います。
病室は一般的なイメージですね。ベッドは「ウイイイイン」って動くパラマウントベッド。シングルサイズでやや小さいものの、そこそこ快適です。
◆▼許されるのは病室とトイレの往復のみ
病室には冷蔵庫があり、ジュースや水を保管できます。
売店でのお買い物が可能なのですが、隔離病棟のため、自室とトイレの往復しか許されません(窓を開けることすら禁止です)。
なので、売店は看護師さんに1日1回お買い物をお願いする形で利用可能です。
水場もあり、歯磨きや洗顔などはこちらで行えます。シャワールームは予約制ですが、隔離区画内にありました。
◆▼栄養管理はされているものの、物足りない食事
「コロナだから特別な食事」ではなく、一般的な病院食かと思われます。成人男子には圧倒的に物足りない内容ですが……カロリー計算は当然されています。
塩っけが究極的に足りないので退院後にラーメンが食べたくなりました。ただ、高熱が出てるときはこの食事でも食べられないのです……。
◆▼入院費は基本的に無料、日用品が1日477円
気になるお金ですが、コロナになって入院すると基本的には無料。感染症対策のもと、国が補償してくれるのです。
ただし、パジャマやタオルなどの日用品は1日あたり477円かかります(ただし、入院時に私物を持ってくれば無料です)。
かかるといえばそのくらいですね。あとは売店での買い物などは実費で退院後に請求されます。
◆▼無料の4人部屋と有料の2人部屋
私が入院した病院は2つのプランから病室を選べました。
・4人部屋(無料)
・2人部屋(1日7700円)
私は「数日の入院で済むだろうから」と高を括っていたので、2人部屋を選択しました(現実には2週間も入院することになりましたが……)。
私の病室はたまたま自分一人しかおらず終始、個室状態でした。
「入院患者さんは日々増えているけど、まだそこまでではない」というのが看護師さんがおっしゃっていたこと。
もちろん東京や大阪で「医療崩壊」が叫ばれるほど逼迫状況になっているのは事実ですが、偶然私が入った病院はそこまで混雑していませんでした。
隔離病棟内でも空き部屋が散見されましたし、看護師さんたちも忙しいながらも「まったく余裕がない」ような状態ではないとのことでした。
◆▼たまたま逼迫していなかった病棟
医療崩壊が叫ばれる中、こんなことを書くと変に誤解を受ける気がするのですが……この記事はただひたすらに経験談を事実として伝えることを目的としています。
むしろ私は嘘を書いて「私が入院した病院は医療崩壊が著しく、看護師さんも手いっぱいで病室はギチギチに詰め込み状態、皆さん感染症対策を徹底して医療を救いましょう」としたほうが世の中のためにはいい気がしますが……今回はイデオロギーなどを排して執筆しています。
そのうえで、あくまで私の入った病棟は「たまたま」そこまで逼迫はしていませんでした。あくまで嘘ではなく、ここに事実を書いておきます。
もちろんだからといって、医療逼迫は事実です。感染症対策をしっかりと行い、医療関係者の負担を減らすことが急務であることに変わりはありません。あしからず。
◆▼テレビもネットも問題なし
病室ではテレビ見放題、ネットもしても問題ありません。
行動は制限されますが、Amazonに注文して病室に運んでもらうことも可能です。私はレンタルWi-Fiを注文して、病室で使っていました。
日々やらなければいけないことは3度の食事と規則正しい就寝。そして、熱を1日3回計り、血中酸素飽和度をチェックすることくらい。
それ以外は患者さんの自由に過ごして問題ありませんでした。ただ入院しているのであまり無理もできませんが……。
◆▼隔離病棟で窓を開けていけない理由
隔離病棟内は「陰圧」が管理されています。空調を中央でコントロールしており、空気が滞留しないように設計されています。そのため窓を開けることができないのです。
感染者は自分の呼吸でウイルスを吐き出し、またそれを呼吸で吸ってしまいます。すると、治りが悪いのですね。
ところが、隔離病棟内で空気の流れを構築すれば、常に新鮮な空気が流れ込んでくるためウイルスを吸うことがない。
なので、隔離病棟に「いるだけ」で一応の治療にもなっているようです。
◆▼退院までは72時間の経過観察が必要
いよいよ病状が安定してきて退院が意識されると、「少しの絶望」が待っています。
"新型コロナウイルス感染症の有症状患者について、これまで「発症日から14日間経過し、かつ、症状軽快から72時間経過した場合に退院可能」としてきたが、最新の知見を踏まえて、「発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快から72時間経過した場合に退院可能」と改める―。"
東京都保健局のホームページにも記されているとおり、投薬治療などを終えて病状が安定してから「72時間(3日間)」の経過観察を経なければ、退院とはなりません。
この3日が長いんです……。私も無事経過観察を終えて退院となりましたが、この3日間は本当に待ち遠しい時間でした。
退院後は体力や筋力の低下が見られるので、あまり無理はしないように伝えられます。
ただし、食事や生活の制限は特になし。後遺症が出る方もいらっしゃいますが、出た場合は病院に相談。対応策を教えてくれます。
あとは「普段通りに生活してOK」と基本的にはなるようです。
◆▼第4波は若い人でも入院が長引く傾向
可能な限り、事実をつらつらと書くことに留めました。主義主張、考え方もさまざまなコロナですが、「一人の30代男性がコロナにかかるとこうなった」という事例のひとつとして、知見を共有してもらえれば嬉しいです。
感染した私からすると「誰にもこんな辛い想いをさせたくない」とは思います。ドクター曰く「第4波になってから若い人でも入院が長引く傾向にある」とのことでした。
コロナは7日目あたりに峠がきて、そこから容態が悪くなるか改善するかが決まることが多いそうですが、この峠が超えられない若い方が増えてきているようです。
私も結局、7日の峠を越えられず、症状が続きました。
経済を萎縮しすぎるのも、ノーガードもよくないとは思います。
しかし、当たり前の話ですが、「かからないに越したことはない」わけで、個々人ができる範囲の感染症対策をしっかりしていくことが今は必要なのかなと考えています。
これを読んだ皆様が一人たりともコロナにかからず、健やかな日々を過ごせるように心から願うばかりです。
―[メンズファッションバイヤーMB]―
【MB】
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