TikTokでも人気再燃?20年以上前に発売されたビブリボンが今若者に支持されるワケ

 若者を中心にSNSの一大勢力として日本でも定着しているTikTok。音楽に合わせて、ダンスするショートムービーが多数投稿されており、トレンド把握ツールとしても利用できるほどだ。

 このTikTokで、今あるゲームの音楽が注目を集めている。そのゲームは『ビブリボン』。ゲームタイトルを聞いてもピンとこない人もいるだろう。それもそのはず、ビブリボンは今から約20年前のいわばレトロゲームと言ってもいい作品だから無理もない。

 なぜ、今このタイミングでビブリボンが人気を集めているのか?

1999年発売のビブリボンは初代PS用の音ゲー

 ビブリボンは、1999年に発売された初代プレステ用の音楽ゲーム。この当時の音楽ゲームとしては、96年に発売されたラップをテーマにした音楽ゲーム『パラッパラッパー』が有名だが、ビブリボンは「音楽をプレイヤーが入れ替えることができる」という新規性を持っている。

 本作では、音楽の波形を元に生成される道を主人公のウサギ「ビブリ」が進んでいく。途中、障害物(ビース)が行く手を阻むが、タイミング良くボタン操作することで乗り越えることができる(失敗するとビブリが退化し、最終的にはゲームオーバー)。この道のゴールまでを目指すシンプルなルールだ。

 グラフィックもUnreal EngineやUnityなどを駆使したようなものではなく、モノクロの線画がベースで、現代のゲーマーが見ると拍子抜けするかもしれない。ビブリボンの特徴の1つに、好きな音楽CDを読み込ませることでお気に入りの曲でステージ(道)を構成できる機能がある。

 オコノミCDと呼ばれるこのモードでは、音楽を変更できるだけではなく、それに合わせたゲームスピードや障害物も変化するなど、当時としては画期的なシステムだった。

 このビブリボンを題材にしたショートムービーが、TikTokでじわりと人気を集めている。主に投稿されているのは、同作のチュートリアルで使用されているパートだ。オリジナルの楽曲に合わせてゲームの基本ルールが紹介される現代のゲームでは当たり前の機能ではあるが、このチュートリアルの前半パートがTikTokユーザーにウケている。

 独特の耳に残る音楽に加え、「シッパイシタラ コンナニナッチャッタ」というフレーズと構成がショートムービーにぴったりだからだろう。実際、TikTokに投稿されている内容を見ると、画面が縦に2分割される加工フィルターを通して、ビフォーアフターを見せるような「映える」ものがほとんど。

「音ゲーは好きでよくプレイするんですが、『ビブリボン』のことはTikTokに流れてきて初めて知りました。音楽が独特で中毒性があるし、ボイスもボカロっぽくて好きになりました」と話すのは、実際にビブリボンを使って投稿しているユーザー「おかゆ」さん。

「ビブリボンの投稿が始まった当初は、2分割画面でのビフォーアフター系は少なかったんですけど、加工と無加工の違いをひと目で見ることができるこのスタイルが、今ではTikTokの標準になってますね」(おかゆさん)

「ボカロ」とは「ボーカロイド」のことで、ヤマハが開発した音声合成技術のことを指す。ネット上ではこれが転じて、この技術を利用した初音ミクなどの総称を意味することがほとんどだ。この初音ミクが登場したのは2007年のことなので、ビブリボンはその8年も前に発売されたゲームということになる。もちろん、ビブリボンはあくまでゲームだが、荒削りな声が若者たちにはボカロの元祖のように聞こえるようだ。

 おかゆさんのようにTikTokで本作を知った若者は多く、YouTubeにアップされている同作のチュートリアル動画が急に再生回数を伸ばしている現象も。コメントを見ても、「TikTokから来ました」的な内容が大半を占め、音楽の中毒性の高さを評する内容も多数投稿されている。

 モノクロ線画のゲーム画面、ぶっきらぼうな音声など、リアルタイムで体験したゲーマーから見ると不気味な印象すらあるビブリボンだが、令和になって当時は存在すらなかったSNSで人気が火がつくとは想像すらできなかった。今後、TikTokから人気が再燃するゲームが出てくる可能性もありそうだ。

(c)1999 Sony Computer Entertainment Inc. All rights reserved.

2021/5/12 18:00

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