【日韓経済戦争】日韓MZ世代が「汚染水」の対立を乗り越える? 日本アニメと韓国コスメが手を結ぶ日

東京電力福島第一原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出問題で、再び険悪になった日本と韓国の対立。しかし、日韓の若い世代では、お互いに「いいものはいい!」と率直に評価して、爆発的にそれぞれの商品が売れる動きが広がっている。

たとえば、日本製のアニメ。そして韓国コスメがそれだ。韓国紙で読み解くと――。

麻生副総理「汚染水、まずあなたが飲んで」

この人はもう、すっかり日本との関係を改善しようという意欲はなくなったようだ。

韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は2021年5月10日、残る任期が1年を切るなか、就任4年にあわせた特別演説を行った。しかし、北朝鮮との対話の再開に改めて意欲を示したものの、冷え込みが続く日本との関係にまったく言及しなかったのだ。

これに先立つ5月5日、英ロンドンで日米韓の3か国外相会議が開かれた。米国のブリンケン国務長官の勧めもあって、日本の茂木敏充外相と韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官(=外相)との会談が行われた。日韓外相会談は昨年2月以来だが、何の進展もないまま、わずか20分で終わった。

そんななか、韓国の反日運動の新たな火種になっているのが、東京電力福島第一原発の処理済み汚染水の海洋放出問題だ。

韓国周辺の海洋環境を破壊するとして、漁業関係者を中心に激しい抗議活動が続いている。特に、韓国民を激怒させているのが、麻生太郎副総理・財務相が4月16日、「(希釈しているから)飲めるんじゃないですか」と発言したことだった。

聯合ニュース(5月6日付)「『汚染水、まずあなたが飲んでみて』韓国人教授が麻生副総理に抗議」が、麻生氏が汚染水を飲むポスターをつくる抗議運動が始まったことを伝えている=写真参照

「韓国の広報活動などに取り組む誠信女子大の徐ギョン徳(ソ・ギョンドク)教授は5月6日、処理済み汚染水の海洋放出を巡り『(汚染水は)飲めるんじゃないですか』と発言した麻生太郎副総理に抗議するポスターを作製し、SNSで配布すると明らかにした。ポスターには、水の入ったグラスを手にして正面を見据える麻生氏の写真のそばに『YOU DRINK FIRST(まずあなたが飲んでみて)』との文言を入れた。英語と韓国語、スペイン語、中国語、日本語の5言語で作製するという」

徐氏は聯合ニュースの取材に、

「麻生氏は汚染水を飲んでも問題ないと言ったが、それならまず手本を見せてほしい。その勇気がないのに妄言を口にするのは失礼だ。日本政府は一日も早く汚染水の放出決定を撤回し、地球の環境保護に助力してほしい」

と語ったのだった。

「鬼滅の刃」が映画とコミックで爆走中

汚染水問題でヒートアップしている日韓関係だが、若い世代の間では「反日」も「嫌韓」も関係ないようだ。聯合ニュース(4月23日付)「漫画『鬼滅の刃』最終巻 韓国で総合ベストセラー1位」は、「鬼滅の刃」が韓国内で映画に続いてコミックでも大人気であることを紹介している。

「日本の大人気漫画『鬼滅の刃』の最終巻の23巻が韓国で発売され、4月第3週の総合ベストセラーランキングで1位に立った。漫画が総合1位を獲得するのは、2014年の韓国作品『未生 ミセン』以来。『鬼滅の刃』23巻の購入者は、女性の割合(68.1%)が男性(31.9%)を大きく上回った。20代女性と10代女性の購入が特に多かった。また、日本の漫画としては『呪術廻戦』(編集部注:週刊少年ジャンプ連載、芥見下々さん原作)14巻も総合5位に入った」

というから、「反日運動」に関わらず、日本のアニメ、漫画は根強い人気を集めているわけだ。

映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は今年1月末、韓国で上映されたが、ディズニー&ピクサーのアニメ映画「ソウルフル・ワールド」を追い越し、観客動員数トップを記録している。

アニメ「君の名は。」や「天気の子」などで知られる新海誠監督の作品も、韓国では大人気だ。聯合ニュース(5月8日付)「新海誠監督のアニメ映画 全作上映へ」によると、新海誠監督の全作品が5月12日から21日までソウル市内の映画館で特別上映されるという。『君の名は。』(2016年)をはじめ、『天気の子』(19年)、『ほしのこえ』(02年)、『秒速5センチメートル』(07年)、『雲のむこう、約束の場所』(04年)、『星を追う子ども』(11年)、『言の葉の庭』(13年)の7作品だ。

新海誠監督の全作品をまとめて1か所で見られる企画は、日本でも珍しい。

格安「韓国コスメ」が日本女性に爆売れ

一方、韓国の製品に日本の若い世代が飛びついている現象を紹介しているのが、朝鮮日報(5月11日付)「中国で苦戦した韓国中小化粧品ブランド、日本では破竹の勢い 嫌韓関係ない『MZ世代』攻略」と見出しの記事だ。

背景には、中国では「限韓令」(韓流禁止令)を出して、韓国の映画、ドラマ、音楽、広告など韓国文化(韓流)の流入を制限していることがある。これは2016年に、中国をけん制するため、米軍が開発した高高度防衛ミサイル・システム「サード」の朝鮮半島配備を決定したことに対する報復措置だ。このため、これまで中国で大人気だった格安の「韓国コスメ」が売れなくなった。

朝鮮日報がこう伝える。

「『韓流禁止令』に続く新型コロナの衝撃で、中国で苦戦している『Kビューティー』(韓国製化粧品)が日本では躍進している。嫌韓ムードを気にしない日本の『MZ世代』(1980~2000年代初め生まれのミレニアル世代と、1990年代半ば~2000年代生まれのZ世代を合わせた言葉)が韓国の化粧品に目を向け始めたのだ。ネイチャーリパブリック、クリオ、ミシャ(MISSHA)など韓国の中小化粧品ブランドが善戦している」

ネイチャーリパブリックは昨年(2020年)、日本の有力ネット通販サイト「Qoo10」(キューテン)と楽天市場に出店。特にQoo10では、主力の基礎化粧品が最初の2か月で化粧品分野の総合販売で首位に立つほどの評価を受けている。おかげでコロナ禍の中でも、ネイチャーリパブリックは2020年の売上高が前年の7倍に増えた。

クリオも昨年、日本のネット通販で200億ウォン(約19億5000万円)、オフラインで150億ウォンを売り上げた。それぞれ120%、54%の伸びだ。

ミシャはオフライン流通を強化し、成果を上げた。多彩なブランド商品を集めて販売する「バラエティーショップ」を集中的に攻略。例年の販売量を32%上回った。

これらKビューティーブランドの共通点はブランド名を冠した単独の売り場を思い切って捨てた点だ。日本の消費者との接点を広げるため、バラエティーショップやネット通販に戦線を拡大した。それらを通じ、年配の世代とは異なり、ネット通販を好む日本のMZ世代を攻略することに成功した。

朝鮮日報は、こう結んでいる。

「日本で復活した韓流ブームも一役買っている。昨年からインターネット配信を通じた『第4次韓流』が始まったからだ。ネイチャーリパブリック関係者は『中壮年層が中心だったこれまでの韓流とは異なり、最近の韓流は日本の若い層が反応しているのが特徴だ。日本のMZ世代は政界や極右勢力の嫌韓ムードによる影響をあまり受けない』と説明した」

かつての韓流は「ヨン様」こと、ペ・ヨンジュンさんに憧れた「冬ソナ世代」が中心だったが、現在は「BTS」の音楽と踊りにしびれる第4世代。彼らは、政治的対立に関係なく、「いいものはいい」と素直に韓国製品・文化に惹きつけられているというわけだ。

(福田和郎)

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