コロナ発症から退院までの3週間「30代・基礎疾患なしでも地獄の日々」
―[メンズファッションバイヤーMB]―
メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。普段は洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。
◆▼4月18日から高熱、コロナ闘病の3週間
各種SNSなどでも報告している通りですが、私、MBは4月18日発症にてコロナ陽性と診断され、2週間の入院生活、発症から3週間かけて退院に至りました。
「コロナになったら実際どうなるの?」
「症状はどうなる? 治療法は?」
「入院はどんな感じ? お金はどのくらいかかるの?」
今回の記事では、そういった経験談を余すことなく語っていきます。
コロナに対する主義主張を可能な限り排し、事実だけを克明に書いていきますので皆さまの参考にしてもらえれば嬉しいです。
まずはコロナ陽性になってから退院までのスケジュールを紹介しましょう。
[4月18日] 38度の発熱
[4月19日] 発熱外来にて診察(この時点ではPCR検査はなし)
[4月21日] PCR検査にてコロナ陽性
[4月23日] 都内病院コロナ専門隔離病棟に入院
[5月7日] 退院
およそ3週間の闘病でした。入院期間はちょうど2週間です。
◆▼コロナの症状はどんなもの? 発症〜PCR検査まで
4月18日 朝起きたら38度の熱と多少の咳。風邪をひいてもあまり熱を出さないので「おかしいな」とは思いました。
取り急ぎ仕事をすべてキャンセル、床に入り、回復を図ります。
4月19日 一晩寝るとたいがいの症状は治る私ですが、朝起きて寝汗びっしょりかいていたにもかかわらず熱は変わらず、38.5度と高い水準でした。
この時点で、ただならぬ予感がして東京都が提供する「発熱相談センター」に連絡します。
発熱相談センターから近隣の発熱外来を紹介され、そのうちのひとつのクリニックに予約をとり、伺います。
しかし、この時点でPCR検査はできないといわれました。検査にはいろいろ制約や決まりがあるようです。
◆▼カロナール服用も38度以上の高熱が続く
処方された薬は解熱剤カロナールと咳止めなど(コロナに市販の解熱剤は危険ですが、カロナールは処方されるようです)。
ただ飲み始めても、さして効かず相変わらず高熱が続きます。
クリニックの先生はとても親身になってくださって「数日様子を見て判断しましょう、夜中でも朝でも体調の変化が著しければ僕の携帯を鳴らしてください」と番号まで頂戴しました。
今回、さまざまな医療従事者の方々にお世話になりましたが感謝してもしきれません。
◆▼4月21日、PCR検査で陽性反応
4月21日、発熱から3日間、様子を見るも熱はむしろ上がってきて39度台まで到達していたのでクリニックにもう一度連絡。
「PCR検査を受けましょう」とのことで都内の大きな病院を紹介され、行くことになりました。
ちなみにこのとき、病院側からは「公共交通機関は絶対に使わないように」と言われます。そりゃそうですね、症状ある人が電車に乗ってPCR検査を受けたりしてたら感染拡大著しいわけで。
しかし、歩いていける距離でもない……それでは、どうやって行くか? クリニックの先生から「コロナ専用タクシーサービス」を紹介されました。
現在、複数のタクシー会社がコロナの拡散を抑えるために感染対策・防護を徹底した専用タクシーを配車してくれています。
症状がある方、疑いのある方を運ぶために展開してくれているのですね。こちらのサービスを予約して乗車、病院まで向かいました。
PCR検査は長い綿棒のようなものを鼻の奥までぶっ刺します。表現適切だと思います、「ぶっ刺し」ます。
マジで痛い。一瞬、コロナのことを忘れるくらいの物理的な痛みを伴います。「いたたたたたたたたたた!!!」ケンシロウばりに声が出ます。
その後、1分ほどで「コロナ陽性、反応が出ました。のちほど保健所の方から電話連絡があります。自宅で待機ください」と淡々と伝えられます。
ちなみにPCR検査を受ける前に市販の抗原検査キットで検査をしています(マネージャーが買ってきてくれました)。唾液採取のその検査では、なんと陰性だったのです。
市販検査キットもいろいろ種類があると思うのですが、信用性に劣るのもあるようですのでご注意ください。
◆▼コロナの症状はどんなもの? PCR検査〜入院まで
その後、保健所から連絡があり、3つの選択肢を説明されます。
・自宅療養
・ホテル療養
・入院
電話連絡時の私の熱はたまたま下がっており「今、何度ですか?」の問いに対して「昨日までは高熱でしたが、現在は下がっていて37度台です」と答えました。
保健所の規定だと37度台で「軽症」と判断される場合、自宅かホテル療養かをおすすめするようです。
◆▼感染経路と濃厚接触者を徹底的に調査
ただ、私の場合、症状が高熱が出たり、日中はたまたまちょっと収まったりといったりきたりを繰り返していたので(カロナールが日中はたまに効いてくれるんです)、自宅では不安だなと思い、ホテル療養をお願いしました。
さらに濃厚接触者と感染経路について電話調査があります。これは本当に細かく時系列を追いかけていきます。
いつどこに行って何をしてどんな時間を過ごしたのかを洗い出し、感染経路を見ていきました。
私の場合は感染経路は結論、不明。怪しいと思われるところがなく、唯一時期的に「これかな?」というのが「街に買い物に出た」タイミングでした。
ただ、屋外で歩くことが多くマスクもしていたし、確率としてはかなり低いはずなんですが……発症時期を考えるとこれしかないので、買い物の際にどこかで拾ってきたとしか思えないという結論に。
また、濃厚接触者は6人いましたが、不幸中の幸いで全員陰性でした。濃厚接触者については氏名住所電話番号を調査され、保健所から当人に連絡がいくようになっています。
◆▼保健所の担当者の献身に救われる
保健所の方はこちらが驚くくらい人間的で親身な対応をしてくださいました。コロナに対する政策批判などは諸々ありますが、現場レベルでは本当に皆さん、一生懸命でした(複数の担当者とお話しして感じた所感です)。
「長くお話しすることになりますが、少しでも具合が悪ければ遠慮せずおっしゃってください」
「〜〜さんの場合は、お熱が下がったり上がったりしているので、自宅待機よりも誰かが近くにいる環境のほうが安心かと思います」
「〜〜時までに必ず電話しますから、待っていてくださいね」
「(少し咳払いをしたら)大丈夫ですか? 苦しくないですか?」
そう本当に心から心配してくださってくれて、身に染みました。
◆▼隔離病棟での療養生活がスタート
正直なところ、これまでの人生で経験したことがないくらい高熱が続き、解熱剤もきいたりきかなかったりと不安でいっぱいだったので、電話とはいえ、こうしてサポートしてくれることに心からありがたさを感じたものです。
4月21日のPCR検査を経て、4月23日に療養先のホテルが決まりました。
しかし、23日の連絡時点で私の熱はさらに上がり、39度突破。ホテル療養は38度を超えていると対応できないので、急遽入院先を探してもらうことになります。
その日のうちに都内病院への入院が決まり、隔離病棟に入ることとなりました。
◆▼コロナの症状はどんなもの? 入院〜退院まで
4月23日から入院となりましたが、できることは対処療法のみ。
・解熱剤(カロナール)投薬
・酸素飽和度の検査
上記の2つのみです。解熱剤は入院前から飲んでいたので変わらず。日中は少し下がりますが、夜になると39度台まで上がり、結局、平熱に戻るまで発症からなんと8日間ほどの期間を要しました。
「なんだ熱だけか」と思う人ももしかしたらいるかもしれませんが、8日間高熱が出続けると精神的にも体力的にも疲弊していきます。「もしかしたらこのまま死ぬんじゃないか」とさえ思ってしまいます。
何しろ1週間ほどロクにモノも食べていませんでした。固形物は喉を通らずそれどころかゼリーなども途中でギブアップしてしまう始末。
普通に考えて食べ物も食べずに高熱が出続けて体力が落ちていけば「生きることが難しくなるんじゃないか?」と不安になります。
◆▼一時は酸素吸入が必要な状態に
「酸素飽和度」とは血中の酸素量を計るもの、パルスオキシメーターというクリップのような機械を指に挟むだけで一瞬で判別できます。
コロナで肺にダメージがかかると酸素の量に変化が起きます。必然的に血中酸素飽和度が低くなるので重症化の目安として使われるのですね。
96~97%以上ならおおむね問題ありませんが、93%など低下すると重症化が疑われます。
ちなみに私は一時この数字が低下してきて、酸素吸入(酸素チューブによる)を余儀なくされました。2日間くらい酸素吸入してたかな。
一応、断っておきますが、私は30代男性、持病や基礎疾患もありません。健康体で重症化のリスクも極めて低いのですが、このような症状になりました。
◆▼「軽症」でも地獄のような苦しみ
その後、数日様子を見るも熱が下がらないので点滴治療に移行します。
「これでも熱が下がらない場合はどうなるんですか?」とドクターに質問すると、「その場合、積極治療に移ります」とのこと。
アビガンなどの抗ウイルス薬の投与、人工呼吸器の使用などが「積極治療」にあたります。こうなると、分類としては軽症ではなくなります。
ちなみに私は……
・8日間高熱が下がらない
・一時的に酸素吸入を必要とした
地獄のような日々でしたが、これでも定義としては「軽症」です。入院中不安だったのでコロナにかかったことのある知人を探して多くの人にLINEなどで話を伺いました。
・完全無症状
・37度程度の熱が数日出て終わった
・味覚のみなくなった、あとは元気
人により症状の個人差がかなりあることに気がつきました。
◆▼「症状の個人差が著しい」ことが対策を難しくしている
コロナの厄介なところは、症状に個人差がありすぎるところ。それによりこの病気の認識と対策を困難にしていることがあるわけです。
無症状であれば気に留めることのない病気でしかありません、しかし、私のように地獄の苦しみを受ける人もいます。個人差があるからこそ対応や対策が統一できず拡散を許してしまうことがなんとも難しい。
私は過剰にコロナを恐れて経済を萎縮しすぎる必要もないと思います。経済でも人は死にますから。しかしながら、同時にノーガードでコロナを待つのも違うのではないかと思います。
自分のできる限りの範疇で感染症対策を行うことが必要ですが、ただ上記の通り「症状の個人差が著しい」からこそ認識のズレを生んでしまう。抑え込むのが難しいのです。
点滴治療が功を奏し、平熱に戻り始めます。体調は安定していき、5月2~3日くらいにはほとんど病気のストレスはなくなりました。
その後、経過観察期間を経て5月7日、無事退院と至ります。
後編では2週間に及んだ入院生活について詳しく解説したいと思います。
―[メンズファッションバイヤーMB]―
【MB】
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