えのぐ/かみやど[ライブレポート]競演を通じて魅せ合った多幸感溢れるステージ「全員で一緒に最高のイベントを作りましょう!」

えのぐが、5月1日(土)~5月3日(月・祝)に池袋harevutaiにて主催イベント<Beyond the Dimension>を無観客生配信で開催した。VRアイドルとリアルアイドルが対バンするという新しいライブスタイルとなった同イベントには、純情のアフィリア、かみやど、#ババババンビ、SUPER☆GiRLSの全4組が出演。本記事では、5月2日(日)に行なわれた<えのぐ×かみやど>の模様をお届けする。

取材&文:竹内伸一

多彩なパフォーマンスと輝く笑顔で魅せたかみやど

VRアイドル・えのぐがリアルアイドルと“次元を超えて”競演する対バンライブ企画<Beyond the Dimension>。2日目は昼夜2部制での開催となり、正午に開演した第1部は、かみやどのライブからスタートした。

定刻になりSEが流れ出すと、メンバー5人が足早にステージに登場。「スーパーヒーロー」のイントロが始まり、まずは桜木ことが伸びやかに歌い出すとゆっくりと明転し、5人の姿がライトに照らし出された。ブルーのストライプの衣装がライトに映えて、会場は一気に華やかな雰囲気に。5人は笑顔で歌いながら、しなやかに踊り、サビに入ると一転、全員で声を重ね、ダンスは拳を掲げてダイナミックなものに。メリハリのあるパフォーマンスは見応えのあるものだった。辻󠄀ゆかが情感を込めたソロパートで魅了してエンディングを迎えると、そのまま「キセキの唄」へ。軽快なサウンドに乗せて、5人のパフォーマンスも華やかさを増していった。続くベイビーレイズJAPANのカバー「僕らはここにいる」もアップテンポなナンバーだが、今度は5人がエモーショナルに歌いつづる。間奏では萩田ここが流麗なダンスを披露すると、エンディングのコーラスパートでは、コメント欄に“ラララ~”の文字が溢れた。リモートであってもファンも彼女たちと一緒にライブを作っているのだと改めて実感させられた瞬間だった。

自己紹介を済ますと、萩田がタブレットを持ち込み、ファンのコメントをチェック。“みんな8888してくれてる!”と、彼女たちもファンが一緒になって楽しんでくれていることを実感した様子。口々に“ありがとう~!”と感謝の言葉を述べながら、カメラに向かって手を振っていたのが印象的だった。

高田ももが“えのぐさんが好きな曲だと言ってくれた”と前置きして始まったのは「color」。今度はしなやかに踊り、しっとりと歌い上げ、ライブの雰囲気を一変させていく。萩田による英語の台詞に導かれたバラード「I believe…」でも、5人はそれぞれに感情を込めて歌い上げる。その歌声に思わず聴き入ってしまうほど感動的なものだった。それは画面越しのファンも同様だったようで、画面は“8888”で埋まった。

MCでは、辻と藤田みゆがえのぐの日向奈央、夏目ハルと対談した話題に。Pop’n’Rollでは、このライブに先駆けて、3月に4人の座談が実現。藤田が“すごい共通点が多かった。歌とかダンスとか、悩んでいることは一緒だった”と語ったように、リアル/バーチャルを超えて同じアイドルとして大いに共感し合う内容となったので、未読の方はぜひとも一読していただきたい。

“みなさん、おうちだといってもタオルを回して一緒に楽しみましょう”という高田の言葉で始まった後半戦は、「透明なRainbow」ではタオルを振り回して盛り上げ、「はじまりの合図」のサビで桜木が“一緒に手を挙げて!”と発すると、コメント欄には拳のマークが続出した。途中、辻と高田がアイコンタクトを交わし、微笑み合う場面もあり、彼女たち自身もライブを楽しんでいる様子が見て取れた。

サンボマスターのカバー「ミラクルをキミとおこしたいんです」では、熱くエモーショナルな本家とは対照的にキュートな歌声を響かせた。アップテンポな3曲を続けてテンションは上がりっぱなしといった状態のまま、ラストは「キミのために鳴らすファンファーレ」。アッパーなダンスナンバーで盛り上がりも最高潮に。“イエス”と“ノー”のコールパートでは、それに合わせてコメント欄も驚くほどの数の“イエス”と“ノー”が飛び交い、さらなる一体感が生まれて、彼女たちのライブはエンディングを迎えた。

かみやど<Beyond the Dimension>

2021年5月2日(日)1部

池袋harevutai

SE

M01 スーパーヒーロー

M02 キセキの唄

M03 僕らはここにいる

MC

M04 color

M05 I believe…

MC

M06 透明なRainbow

M07 はじまりの合図

M08 ミラクルをキミとおこしたいんです

M09 キミのために鳴らすファンファーレ

MC

全力疾走で駆け抜けた迫真のライブ

会場が暗転すると、「Overture」に合わせてステージ前方に置かれたライトがゆっくりと点滅。えのぐのステージが始まった。オープニングはファンキーな「It’s 笑 time!」。白藤環と日向奈央が叫ぶように歌ったかと思えば、鈴木あんずと夏目ハルはキュートな歌声を聴かせるといった具合いに、4人でコントラストを描きながら曲の世界観を表現していく。ブレイクでは日向と夏目が鋭いキックをきめ、凛々しさとカッコよさを表現。かと思えば、「ハートのペンキ」では、軽快なサウンドに乗せて、可愛らしく歌い踊る。冒頭の2曲で、えのぐの多彩な世界観を十二分に見せつけてくれた。

MCでは鈴木あんずが“VRアイドルとは、バーチャル空間を拠点に活動するアイドル”と自分たちのことを説明し、“VRアイドルが当たり前にアイドルとして活動できるようにしたい。その道を切り拓いていきたい”と力強く宣言。まさに“臨戦態勢”だな、などと思っていると、なぜか自己紹介では自分の得意料理を発表する流れに。“唐揚げ”(日向)、“白藤家に伝わる秘伝のレシピ、カレー風味のポークソテー”(白藤)、“オムライス”(鈴木)、“そうめん”(夏目)などと発表し、“今度、作ってあげるね”などと和気藹々とやり取りする様子はごく普通の女の子といった雰囲気で、力強い宣言とのギャップに驚かされた。

EDM風味の「ギザギザコミュニケーション」では細かいステップを踏むダンスを4人でキッチリと合わせて魅せる。そのシンクロ具合いが実に見事。かみやどとの対談で“パフォーマンスで魅せたいので、すごく練習している”といった趣旨の話をしていたが、その言葉を裏付けるような、練習量を感じさせるものだった。

白藤と日向による「無敵のヒーロー」で2人が“もっとコメントして!”と叫びながら、ストレートなロックサウンドに乗って熱く歌い上げれば、鈴木と夏目による「午前0時のプリンセス」では、王道アイドルソングといったサウンドに乗って、可愛らしく歌い踊る。ここでも巧みにコントラストを描き、観る側を飽きさせない構成が見事だった。

キャッチーな「ショートカットでよろしく!」をこれまたキュートに決めたあとのMCではかみやどのライブの感想を語り合った。“ヒーローつながりで「スーパーヒーロー」がむっちゃ好き”(白藤)、“2番のAメロの歌詞が好き!”(日向)、“私が「color」が好きだって言ったことを覚えててくれて、めっちゃ嬉しかった”(夏目)、“「キセキの唄」のオレっていう歌詞に引き込まれた”(鈴木)などと話しているうちにどんどんテンションが上がっていく様子で、それはかみやどからよい刺激をもらったということなのだろう。

そんなハイテンションのまま後半戦へ。メッセージ性があってかみやどの「color」と通じるものがあると夏目が語った「Colors」では、これまで以上にダイナミックなパフォーマンスを披露。間奏では“コメントでガンガン参加してください!”“全員で一緒に最高のイベントを作りましょう!”などと煽り、さらにテンションを高めていった。続く「Welcome to Live」ではアップテンポなサウンドに乗ってメリハリのあるダンスを見せ、ラストの「Armor Break」へ。4つ打ちのダンスナンバーでこれまで以上に激しいパフォーマンスをくり広げていく。間奏では日向がソロで華麗なダンスを披露し、コール&レスポンスでさらなる盛り上がりを生み出し、最後のサビを4人で力強く歌い上げて締めくくった。

笑顔を絶やさず、華やかに歌い踊ったかみやど。そのパフォーマンスは、アイドルの王道を行くものだった。奇をてらわず、自分たちの世界をしっかりと示した彼女たちに対して、えのぐは、さまざまな要素を盛り込みながら、後半はハイテンションのまま全力疾走で駆け抜けたかのような迫真のライブを展開。それは“世界一のVRアイドルを目指す”という言葉に相応しいものだったと思う。互いに自分たちの持てるものをしっかりと見せた見応え十分はツーマンだった。

えのぐ<Beyond the Dimension>

2021年5月2日(日)1部

池袋harevutai

Overture

M01 It’s 笑 time!

M02 ハートのペンキ

MC

M03 ギザギザコミュニケーション

M04 無敵のヒーロー

M05 午前0時のプリンセス

M06 ショートカットでよろしく!

MC

M07 Colors

M08 Welcome to Live

M09 Armor Break

Short MC

2021/5/11 12:30

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