[Alexandros]『ガンダム』との出会いに「運命的なものを感じる」

昨年デビュー10周年を果たしたロックバンド[Alexandros]。4月にはこれまでサポートを務めていたリアド偉武がバンドに加入。新たなスタートを切った。

 [Alexandros]の記念すべき新曲は、5月21日に公開される映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の主題歌「閃光」。彼らはどんな思いでこの楽曲を生み出したのだろうか――新体制となった[Alexandros]の川上洋平、磯部寛之、白井眞輝、リアド偉武に話を聞いた。

[Alexandros]とガンダムの数奇な巡り合わせ

2015年リリースの「ワタリドリ」が映画『明烏』の主題歌に起用されて以降、数多くの映画やドラマの主題歌を担当してきた[Alexandros]。そんな彼らが次に手掛けたのが、世界中に多くのファンを持つアニメ「ガンダムシリーズ」の最新作映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』だ。

川上は「2年ぐらい前に、サンライズの小形(尚弘)プロデューサーと話をする機会があったのですが、映画『BLEACH』の主題歌だった「Mosquito Bite」が好きとおっしゃってくれたんです。そのとき今作の映画の話を聞いて、『興味ありますかね?』って探りを入れるような形で打診されたんです」と振り返る。

男子なら、一度は通るであろう偉大なアニメシリーズ。川上らバンドメンバーたちも、当然ながら興味津々だったというが、なかでも[Alexandros]のマネージャーが大のガンダムファンだったということが、彼らを後押しした。川上は「僕らの所属レーベル名のRX-RECORDSは、マネージャーが決めたのですが、RXの由来はガンダムからとっているんです。そのぐらいガンダムが好きな人だったので、この話はマネージャーに良い恩返しになるなと思ったんです」と二つ返事でOKしたという。

日本のアニメーションの最高峰に参加できたような気分

映画の主題歌を作る際、一番大切にしているのが、映像にしろ、台本にしろ、資料にしろ、接した際に感じたものをストレートに音に出すこと。本作では「ラッシュ(未完成の)の映像と、小説の上中下巻を読んで感じたインスピレーションを曲にしました」という川上。

物語では『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』後の世界を舞台に、地球連邦政府に反旗を翻す組織「マフティー」を率いるハサウェイ・ノアの戦いが描かれている。ハサウェイの声を務める小野賢章はイベントで「ハサウェイが悩みながらも前に進んでいく思いとマッチしたような曲」と「閃光」を賞賛していたが、主題歌が入った映像を観た川上は「ガンダムの世界観にしっかりと溶け込んでいるなと感じました。スタジオで完成した曲を聴くよりも、完成した映画を観たときのほうが興奮しました」と胸をなでおろしたという。

出来上がった映画を観た磯部は「言い方が正しいか分かりませんが、今回の『閃光のハサウェイ』は正当な系譜の新作であり、ストーリーにも歴史があるのですが、『ガンダム』だからと身構えなくてもいい。分かりやすい物語だなと感じました。もちろん戦闘シーンや映像の技術は、まさに「ガンダムワールド」で堪能できました。そんななか「閃光」が流れてくると、自分たちの感性が『ガンダム』という作品に入り込んでいると感じられて嬉しかったです」と感想を述べていた。

白井も「言ってみれば『ガンダム』って国民的なアニメーション。例えが正しいか分かりませんが、『サザエさん』に楽曲を提供したような、日本のアニメーションの最高峰に参加できたという気持ちになりました」と喜びが溢れてきたという。

[Alexandros]の新たなスタートとなる楽曲「閃光」

2021年4月に新メンバーのリアドが加入し、新たなスタートを切った[Alexandros]。その第1発目が『ガンダム』への楽曲提供となった。

川上は「リアドが加入するというのも、ここに合わせていたわけではないので、結果的にこうなったということなんですけれどね」と前置きしつつも「でも10周年にベストアルバムを出して、次の一手というとき出会ったのが『ガンダム』。新たなスタートという意味では、作品に背中を押してもらっているという実感はあります。運命的なものを感じているのは間違いないです」と語る。

新メンバーとなったリアドも「レコーディングのときは、まだサポートメンバーという形での参加でしたが、自分の持てるものすべてをつぎ込んだ作品。そんな曲を『ガンダム』という世界的にも有名なアニメとタッグを組めるなんて、とても光栄なことだと思っています。自分の名刺代わりになるような曲になりました」と感慨深い表情を浮かべていた。

川上洋平のドラマ挑戦!「面白いと思ったことはどんどんやるべき」

さらなる高みに突き進む[Alexandros]。個人に目を移すと、川上は前クールに放送されていた連続日テレ系 テレビドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』で、菅野美穂演じる人気作家の担当編集者役として俳優にチャレンジした。

川上は「もちろん本業は音楽ですが、いろいろなことをやっていくのは面白いと思っています。ドラマはお話をいただいて、たまたまスケジュールにも余裕があったので『やってみようかな』と思ったんです」と語ると「まだ演技をしたことがバンドに対してどういう財産をもたらしたか……ということは具体的には分かりませんが、絶対に悪いことはないと思っています」と断言する。

そこには川上なりの考えがあるようだ。「僕らはミュージシャンではありますが、音楽一つを売り出すにも、ジャケットからPVなどの動画撮影までやることは多岐に渡っています。ただレコーディングするだけではなく、いろいろなことに造詣が深ければ、それだけ選択肢も広がると思うんです。メンバーそれぞれ面白いと思ったことはどんどんやればいいし、それがバンドの力になると思います」。

既成概念に捉われない――[Alexandros]の今後からますます目が離せない。

取材・文:磯部正和

写真:稲澤朝博

2021/5/6 11:00

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