過去最高に壮大な『家、ついて行ってイイですか?』 宇宙飛行士・野口聡一が住む“宇宙の家”と“人類の家”

 4月28日に放送された『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)で目を引いたのはこの日の進行役だ。昨年9月からは狩野恵里アナウンサーがレギュラー出演しているが、オープニングでタイトルコールを叫んだのはなんと松丸友紀アナウンサーだった。狩野アナが家の引っ越しで休みのため、“最終兵器”とも言える松丸アナが投入されたのだ。

矢作 「何? ゴッドタン?」
松丸 「ゴッドタンじゃないですよ!」

 確かに、おぎやはぎ・矢作兼がいて松丸アナがいたら、もう絵面は『ゴッドタン』(テレビ東京系)である。退社した鷲見玲奈から狩野アナに代わったときはそれほど気にならなかったが、そこに松丸アナがいると途端に違和感がでかい。逆に言えば、唯一無二。凄い存在感だ。

両親は、疾患を持つ妻の夫を本当に認めたのか?

 埼玉県本庄市のお花見スポット「こだま千本桜」で取材させてくれる人をスタッフが探していたら、番組ファンという32歳の女性が自ら声をかけてきてくれた。お言葉に甘え、今回はこの女性の家へお邪魔する流れに。

 実はこの日、彼女のご主人が入院先の病院から帰って来るそうだ。入院していたのは歯医者(口腔外科?)とのこと。35年ローンで購入したという新築一戸建てのお宅へ到着すると、すでにそこにはご主人の姿があった。

 彼が治療していたのは、噛み合わせが著しく悪くなる顎変形症。唇が切れたりする疾患「口唇口蓋裂」を生まれつき持ち、上顎が成長せず、止まったまま下顎だけが成長して受け口の形になったそうだ。手術前、ご主人の口は過度にしゃくれた状態になっていた。

「いい人だったり、悪い人だったり、バカにされたりとか、やっぱり色んな出会いはあったんですけど」(ご主人)

 果たして手術は成功したのだろうか? 着けたマスクを外してもらうと、彼の顔は右の頬から顎にかけて幾分腫れている状態に。ここから腫れは引いていくのだろう。過去の写真と見比べるとかなり綺麗になった印象だ。

 ちなみに、ご主人の年齢は現在34歳。今まで手術してこなかった彼が手術に踏み切った理由は、2歳の娘さん・えみちゃんの存在である。

「授業参観とか周りの目があるのかなって。『えみちゃんのお父さんは……』とか言われたくなかったから」(ご主人)

 実は、口唇裂の赤ちゃんはそこまで珍しくないという。生まれてすぐに手術してあげれば治る。ご主人の親御さんも、彼が小さいうちにどうにかしてあげれば本当は良かった。でも、歯並びをそこまで気にしない世代がいるのも事実。難しい問題なのかもしれない。

 結婚4年目だというこの夫婦は、見るからに今もラブラブだった。出会いは職場恋愛だ。

奥さん 「付き合ってから『100%自分に合う人っているんだ』って思って」
ご主人 「笑いのツボが一緒だったり」

 つまり、奥さんはご主人の内面を見ていたのだ。

奥さん 「私は(夫と)最初に会ったときからその顔だったので、別に違和感なく一緒に過ごしてきたんですけど」
ご主人 「(妻に惹かれたのは)やっぱり優しさですね。そういう変な目で見ないというか、接し方をしてくれた」

 しかし、2人には結婚を阻む障壁があった。奥さんのご両親からの反対である。

「いずれ生まれてくる赤ちゃんに『もしかしたら遺伝しちゃうんじゃないの?』っていう心配もあって『やめてくれ』と。辛かったよね、本当に」(奥さん)

 辛かったと思う。相手の人間性に問題があるから反対されたのではなく、それ以外の要素が反対の理由だったのだから。確かに、娘を思う親の心はわかる。だとしても、娘からすれば両親に裏切られた気持ちになるだろう。でも、2人は両親の反対を押し切って結婚した。その後、風向きが変わったのはえみちゃんの誕生だ。

ご主人 「(ご両親は)喜んでくれました。今ではもう、すぐそこに住んでます。すごい仲いいです。週末はご飯食べに行ったりとか」
奥さん 「えみちゃんは両親との仲を良くしてくれた存在だし、幸せをもたらせてくれる天使ですね。しょっちゅう『会いたい』って言ってきます。しょっちゅう『連れてきて』みたいな」

 孫効果は凄い! それは事実だ。でも、きっとそれだけじゃない。ご両親が2人を認めた理由は、恐らく「娘さんに疾患が遺伝しなかったから」である。生まれた孫へ遺伝していないことがわかったから、手のひらを返して歩み寄ってきた。もし遺伝していたとしたら、今のような関係になっていただろうか? もしも第二子やひ孫に疾患が遺伝したら、このご両親は受け入れるのだろうか? 色々考えると、なんだか複雑な気持ちになってしまった。「遺伝しなかったから」ではなく、ご主人自身をちゃんと認めてあげてほしい。良いご主人だけに、なおさらだ。

 番組終盤、いきなり予想外の映像が始まった。

「お家ついて行ってイイですか? スペシャル、宇宙の個室編!」

 カメラに向かって話しかけているのは、JAXA宇宙飛行士の野口聡一さんだ。地球を飛び出し、国際宇宙ステーション(ISS)で生活する野口さんが自身の生活ぶりを紹介してくれるらしい。つまり、『家つい』宇宙ステーション編である。確かに、大きく分ければISSも住居だけれども……。宇宙にも対応できる万能なフォーマットをこの番組は持っているということ。

 野口さんの住むISSは築10年だそう。間取りはよくわからないが、予想以上に広くて奥行きがある。面積は108.5m×72.8mで、サッカー場とほぼ同じだ。どこへ行ってもコードやパソコンなどがむき出しで、少し散らかっているような印象。これに似た風景を『機動戦士ガンダム』で見た記憶があるな……。

 泳ぐように奥へ突き進むと、野口さんの寝室へ行き着いた。扉を開けると狭い。寝袋が置いてあるが、こんな空間にずっといると発狂してしまいそうだ。筆者なら1週間もたずにギブアップすると思う。訓練した人じゃないとこんなところではとても寝られない。宇宙へ行くのって大変なんだな……。

 野口さんの就業時間は1日8.5時間で、週に休みは2日。でも、この“家”で週2日の休みをもらっても何をしろと言うのか? 空き時間は何をすればいい?

 また、勤務内容がキツいのだ。特に、ISSの外に出て作業する船外活動は恐怖でしかない。自分と宇宙船を繋ぐワイヤーが命綱としてあるものの、万に一つ離れてしまったら二度と帰って来られない。宇宙は確かに夢だが、孤独や危険とも隣り合わせなのだ。

 宇宙の生活はやっぱり過酷だった。訓練しているとはいえ、タフじゃないとメンタルがやられてもおかしくない。でも、野口さんを見ると楽しそうなのだ。彼は小さい頃から宇宙に興味があり、小学生時代にはこんな文章を書いていた。

「ぼくは、ロケットのそうじゅうしになりたい。わけは宇宙のいろいろのことがわかるから」

 その後、東京大学を卒業してから約10年の訓練を経て、40歳で宇宙へ飛んだ野口さん。なんと、10年間も訓練したのだ。確かに“訓練漬け”のイメージが宇宙飛行士にはある。そして、彼ら彼女らはエリート中のエリートだ。そんな過酷な夢を野口さんは現実のものとした。『ドラゴン桜』の桜木建二が言う「東大へ行け!」のセリフも説得力が増してくるな……。

 ISSの中でも特に野口さんが好きだという観測用モジュールへ行くと、そこは“宇宙の出窓”のようなスペースだった。頭上を見ると、我々の住む地球が目の前にある。地球は本当に綺麗だ。見ていて吸い込まれそうになった。これは宇宙飛行士しか見られない風景だ。

「地球は本当に美しいですよ。人類はコロナで凄く大変だと思いますけど、地球はそんなこと関係なく美しく輝いている。僕たちもこの美しい地球を守るために何ができるか、本当に大事だなと思います」(野口さん)

 感銘を受ける言葉だ。野口さんは船外活動を行う際、こんなことを感じるという。

「船外活動では自分と宇宙が1対1で対峙している感覚が強くあります。手を伸ばせば触れるくらいにリアリティを持ってそこに存在している」(野口さん)

 そんな感覚、我々にはまるで想像がつかない。その感覚を知るために、初めて宇宙へ行ってみたいとさえ思った。事実、今回の映像をきっかけに宇宙飛行士を目指す若者はいるのではないか? 今まで見たどの番組よりISSの生活がリアルに感じられる映像だった。あまりにも壮大な“家”へついて来てしまったものだ。今回のVTRは野口さんのこんな言葉で締めくくられた。

「これから僕も地球に帰って行くので、そういう意味では僕たちみんなの大事な“お家”ということかなと」

 宇宙から見た美しい地球を“人類の家”と表現した野口さん。なんて完璧な締めコメントか!

 5月2日、167日ぶりに野口さんは地球へ帰還した。ISSの映像から孤独や危険を感じた瞬間があっただけに、無事は何よりである。まるで、映画『ゼロ・グラビティ』そのままのような映像だった。間違いなく、今までで最も壮大な『家ついて行ってイイですか?』だ。

  • 5/5 20:00
  • サイゾー

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