コロナで月収10万円ダウンした40代バイト、給付金40万円もすぐ消えた/コロナ禍の日本

 コロナ禍のまま2度目のゴールデンウイーク。これまで取材してきた新型コロナの影響が直撃し困ってる人々を今一度振り返りたいと思う。2020年8月17日掲載記事より、コロナ禍で収入減も、子供にかかる費用は変わらず、家賃を滞納する状況に追い込まれた40代男性の声だ。

◆コロナ禍で月収10万円ダウン、タダの資材をDIYで記念品に

 コロナ禍は物流業界にも大きな影響をもたらした。バイク便のアルバイト10年目で、2児の父でもある松田隆司さん(仮名・44歳)は、手取りが30万円から20万円にダウン。出口の見えないトンネルから抜け出せないでいる。

「企業がバイク便を利用する機会は年々減少傾向にありますが、中国からの部品を輸入していた一番大きなお得意先のおもちゃ会社との契約が、中国工場の稼働が停止したことで解除。日本で緊急事態宣言が出される前、2月後半から3月頭には確実に仕事に影響が出始めていました。緊急事態宣言の解除後も、コロナによる失業者の流入が多く、ライダーが増えすぎて仕事が回ってきません」

◆完全歩合制で収入は不安定

 在宅勤務者が増えたことで、バイク便の需要は一定数あるが、完全歩合制のため収入は不安定だ。

「それに、ガソリン代やバイクの整備費用は自腹なんです。社長に頼み込んで、事務作業や他のライダーのバイク整備をさせてもらい、それらの手当でなんとか手取り20万円をキープしている状況。同僚も同じく厳しいよう」

 コロナ以前は妻も喫茶店のアルバイトで家計を支えてくれていたが、不運は続く。

「2月に妻のバイト先にユンボが激突したんです。慰謝料をめぐり建設会社ともめ、そのままコロナの休業要請でお店は一時閉店。6月から営業を再開したのですが、営業時間の短縮によって収入は大きくダウン。以前は10万円ほどの月収がありましたが、今は5万円程度。2人合わせて25万円くらいですが、固定費を払えば手元に残るお金はなし。最近、結婚記念日を迎えたのですが、お金がないので近所の資材置き場近くに捨ててあった端材に、家族のイラストを描いてプレゼントしました。気持ちだけでも嬉しいと言ってくれた妻には頭が上がりません」

◆家族4人が集うリビング、狭いほど幸福度も高い!?

 ’19年から開始となった保育無償化のおかげで保育料は無料。子供にかかる費用は毎月2万円とかなり抑えているが、9万円の家賃が重くのしかかる。

「6月末に給付金が入ってテンションが上がりましたが、思いのほかすぐになくなりました。家族4人で40万円給付され、30万円は滞納していた家賃や光熱費、携帯代に消え、残りは生活費に。2階の寝室にはエアコンがなく、今は1階の5畳ほどのリビングに布団を敷いて家族4人で寝ているので、余裕があればエアコンが欲しかったのですが……」

◆最低限でいいから自由な生活を

 自粛期間中や週1~2日の休日は、家族で近所の公園で過ごしていたという。

「上の子はミニカーが好きで、地形が変わるんじゃないか?と思うくらい走らせていました。将来は自然に囲まれた郊外に住み、妻はオールドカーでコーヒーの移動販売、僕はコンビニでアルバイトをして、最低限でいいから何にも縛られない自由な生活を手に入れたいです。お金を稼いで広い家に住むことが成功だという人も多いけど、貧乏のほうが物理的にも子供との距離は近い。そこは大切にしています」

 だが、縛られない生活にもお金は必要。将来のビジョンに近づくため、貯金をできる日が来るのか。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[コロナ禍の日本]―

2021/5/5 8:30

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