映画『グレムリン』シリーズ 小さいけれど凶暴な悪魔の群れが巻き起こす騒動を描いたシリーズを解説!

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小さくて可愛い謎の生き物から分裂して、楽しそうに人間を襲う「小さな悪魔」。ブラックな笑いもまぶしたファンタジー『グレムリン』シリーズ。「良い子」のギズモはもちろん「悪い子」たちも個性的なキャラが揃い、全編に面白さが詰まった作品だ。過去に作られた2本のあらすじを中心にシリーズの魅力をご紹介しよう!

親しみやすさと毒を兼ね備えたブラックコメディ・ファンタジー

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「グレムリン」とは元々「機械にいたずらをする妖精(小鬼)」として話題になるキャラクターで、日本で言えば座敷童のような存在と言えるだろう。それを物語の題材として扱ったのが、往年の人気テレビシリーズ『ミステリー・ゾーン』の一編で、飛行機恐怖症の男が飛行機の窓の外にいるのを目撃する怪物として語られている。これを含めた4つの話を劇場用のオムニバス映画としてスティーヴン・スピルバーグら4人の監督がリメイクしたのが『トワイライトゾーン/超次元の体験』(1983)。グレムリンが登場するパートの監督は『マッドマックス』シリーズのジョージ・ミラーだが、別の1話を監督したのが、『ピラニア』(1978)や『ハウリング』(1981)で若手の奇才として注目を浴びていたジョー・ダンテだった。
『トワイライトゾーン』のプロデューサーも兼ねていたスピルバーグが、同作での仕事ぶりに改めてダンテの手腕を認めて、当時大学生だったクリス・コロンバスが書いた脚本の映画化の監督に抜擢したのだ。
1作目が世界的に大ヒット、間は空いたが6年後の1990年に続編が製作された。可愛らしいギズモの人気は絶大で、現在でもキャラクターグッズが発売されるほどだ。

それでは、両作のあらすじ(ネタバレあり)と解説をまとめておこう。

◎『グレムリン』(1984)

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田舎町キングトン・フェールズの街に住む銀行員のビリー(ザック・ギャリガン)は、心優しい両親と暮らす穏やかな青年。彼の父親で発明家のランダル(ホイト・アクストン)は、セールスのために訪れた街のチャイナタウンの骨董店で「モグワイ」と呼ばれる小さくて可愛い生き物を見つけ、ビリーへのクリスマスプレゼントとして買おうとする。店主の老人ウィング(ケイ・ルーク)は「売り物ではない」と言って断るが、生活苦のため店主の孫の少年が勝手にランダルにモグワイを譲ってしまう。しかし、「光に当ててはいけない」、「水をかけたり、濡らしてはいけない」、「夜中の12時過ぎに食べ物を与えてはいけない」という、モグワイを飼うための三つの約束は絶対に守るように念を押される。
モグワイをプレゼントされたビリーは大喜びで、「ギズモ」と名付けて育てようとする。ところが、ちゃんと守っていたはずの「三つの約束」は不幸な偶然の連続によってすべて破られてしまう。その結果、ギズモから凶暴でいたずら好きのグレムリンが分裂して大量発生し、その群れのために町は大混乱に陥ってしまう。リーダー格の「ストライプ」は悪知恵と残酷さが特に強く、被害はどんどん大きくなっていく。ビリーと恋人のケイト(フィービー・ケイツ)、そしてギズモは、グレムリンたちの攻撃と戦いながら彼らの弱点を発見し、形勢を逆転させてグレムリンを全滅させる。
ようやく平和が戻った町にウィング老人が現れ、ギズモを引き取る。ギズモとの友情を確かめたビリーにウィングは、「いつか君たちにも、モグワイを飼う資格を得る時が来るだろう」と語る。

クリスマスという舞台設定やギズモの愛らしい姿や動きから、一見ファミリー向けのファンタジーという印象を受けるが、ブラックな要素が結構多い。グレムリンたちの暴れっぷりもかなり凶悪だが、彼らを撃退する時の描写もかなりどぎついものが多く、まさにダンテの本領発揮と言える作風だ。
ケイト役のケイツは当時アイドル的な人気を誇っていて、『パラダイス』や『初体験/リッジモント・ハイ』(ともに1982)などに主演、キュートな顔立ちながらヌードも披露して話題になっていた。
前述のように、コロンバスはこの作品などが高く評価されてスピルバーグの下で脚本家として活躍やがて監督デビューして『ホーム・アローン』や初期の『ハリー・ポッター』などファミリー向けの大ヒット映画シリーズを手がけた。
音楽は巨匠ジェリー・ゴールドスミス。スピルバーグは、自身の監督作品はほとんどジョン・ウィリアムズだが、製作総指揮だけの作品だと当時はゴールドスミスが担当することが多かった。本作も『トワイライトゾーン』に引き続いてのゴールドスミスの登板となったが、ダンテとはよほど気が合ったようで、親しみやすさといたずらっぽさが絶妙に同居したテーマ曲を作り上げてヒットさせただけでなく、シリーズには二本ともチョイ役で出演している(2作目では一言だけだがセリフもある)。その後もダンテは(スピルバーグが関係しない作品でも)劇場用作品のほぼ全作でゴールドスミスを起用するようになった。ゴールドスミスの遺作となった『ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション』(2003)もダンテの作品で、ちょっとだけ『グレムリン』のテーマ曲が流れる。
オープニングなどに登場するキングトン・フェールズの街並みは、同じ時期にユニバーサル・スタジオで撮影され、同様にスピルバーグらが製作総指揮を担当していたバック・トゥ・ザ・フューチャー』と同じセットで撮影されたらしいことが、当時のスタッフの証言によって明らかになっている。両作を見比べてみるのも面白いだろう。

◎『グレムリン2 新・種・誕・生』(1990)

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ビリーとケイトは一緒に故郷の町キングトン・フェールズを離れ、ニューヨークで生活していた。二人はともに不動産王クランプ(ジョン・グローヴァー)が所有し、最先端のコンピューターが管理するハイテク高層ビル「クランプ・センター」で働いていた。クランプはチャイナタウンの再開発を計画し、破壊工事を始めてしまう。そのさなか、一人の研究所員が隠れていたギズモを発見し、センターに連れて来て研究材料にしようとする。意外な形でギズモと再会したビリーは彼を助けるが、ビリーがその場を離したちょっとした隙にギズモは水を浴びてしまい、またもやグレムリンが大量発生する。
グレムリンたちは、植物の品種改良の研究をしているキャサター博士(クリストファー・リー)の研究室に侵入し、バイオテクノロジーのパワーでより凶暴な生物へと変化してしまう。かつてグレムリンと戦ったビリーとケイトは事態を収拾しようとするが、パワーアップしたグレムリンたちにすっかり翻弄されてしまう。
ついにクランプ・センターはグレムリンたちに占領され、機能が完全にマヒしてしまう。しかし、勇気を振り絞ったギズモの活躍や、ビリーの言うことを信じて彼に協力したクランプたちの援護のおかげで、ビリーとケイトは再びグレムリンたちを退治することができた。

1作目の再ヒットを受けてすぐに続編の企画が出たがダンテは監督を断り、彼抜きで企画が進み始めたものの難航。ワーナー・ブラザースは前作の5倍の予算、上映時間2時間以内ならどんな作りでもいい、など破格の条件で再びダンテにオファーをした結果、彼の再登板が決定した。
そのためか、1作目でもかなり盛り込まれていた引用やパロディがさらに大量投入されている。クランプのモデルはもちろんトランプ元大統領だが、ビリーに対しては寛容で協力的なキャラに設定されている。当然、クランプ・センターもトランプ・タワーのパロディだが、ハイテク高層ビルが戦場になるという展開は、言うまでもなく本作の2年前に公開され大ヒットした『ダイ・ハード』(1988)とその舞台の「ナカトミ・プラザ」だろう。ギズモがテレビで見ていた『ランボー』になりきって戦うシーンは、笑いとともにギズモの可愛さが際立つようにもなっている。
そして、どこか怪しげな博士に扮したリーは、ドラキュラ役をはじめ数々のホラー映画に出演し、晩年は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズやティム・バートン監督作品で強烈な存在感を放ち、映画ファンにはおなじみの名優。

グレムリン同様、ダンテのいたずら心に満ち溢れたシリーズ。今のところ2本で止まってしまっているが、リブート企画(続編という噂も)も動き出すなど、いまだに映画ファンから愛され続けているのだ。

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  • 5/1 20:32
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