女性向けオーダーシャツ1枚で、お出かけ着に。着心地もデザインも自分好み

『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。

◆襟がついているシャツは、それだけできちんと感

 シャツと一口に言っても種類は様々です。色、素材、襟、袖の長さ、カフスの形状によって、多くのバラエティが生まれます。また、特に襟がついているシャツは、それだけできちんとした印象を与えることができるので、学校や仕事へ行くのに最適です。

 この2つのポイントを利用して、ファッションの専門学校へ行っていたとき、またその後、アパレル企業で働いていたときに、コットンのシャツばかり、襟や袖の形を少しずつ変えて6枚用意し、週末にまとめてアイロンがけをするという生活を数年続けていました。

 当時、特に気に入っていたのはワーカーズ・フォア・フリーダムというブランドの前立てにフリルがついたシャツと、ジャン=ポール・ゴルチエのダブルカフスのボタンダウンシャツで、確かにアイロンがけは面倒でしたが、シャツを着ているという安心感と、好きなデザインのシャツを着ただけで自分が楽しい気分でいられるので、毎週、飽きもせず、これらのシャツを着続けました。

◆自分が好きな形やシルエット、素材は変わらない

 会社勤めをしなくなった後も、枚数こそ減りましたが、どこかへ出かけるときはコットンやリネンのシャツというスタイルは変わらず。気づいたら、真冬以外の私のお出かけ着のほとんどはシャツになっていました。

 そうやって何枚も着続けてきた、私のシャツ歴を今振り返ってみると、その時々の気分で選んでいたように見えたシャツの中にも、自分が好きな形やシルエット、素材というものがしっかりと存在していた、ということがわかります。自分の好きな襟の形、身幅や着丈、袖丈にというものは、何年たっても、案外変わらないものなのです。

◆シャツは見た目以上に着心地が重要

 もともとアンダーウエアだったシャツは、肌のごく近くにあり、肌に触れる面積が多い衣服なので、見た目以上に、着心地のよさが重要で、ちょっとでも着にくかったり、肌触りが思うようなものでないと、着る回数はずっと少なくなります。

 そうなるのがわかっているので、自分のこだわりを満足させるようなシャツだけを買うようにしているのですが、こだわればこだわるほど、思うようなものにはなかなか巡り合えません。

 少ない気に入ったシャツばかりを着ていた最近ですが、おととし、特にお気に入りだったオルタナティブリネンのシャツがついに破れて着られなくなってしまいました。それ以降、素材、シルエット、着心地、どれをとっても最高だった、このオルタナティブのシャツと同じようなものを探しましたが、いくら探せども見つからず。

◆第三の道=オーダーして作ってみた

 最初、道は2つだと思い込んでいました。欲しいものが見つかるまで探し続けるか、それともあきらめるか。そして現状は、見つからない、かつあきらめてもいない、でした。

 そんな現状に甘んじていた時が過ぎ、ふと、第三の道があるのではないかと思いつきました。自分で作るのは無理だけれども、オーダーみたいなものがあるのではないか。だって、メンズにはオーダーシャツってものがあるじゃない? ウィメンズだって、どこかでやっていないかしら?

 そう思って少し探してみたら、メンズのオーダーシャツを扱っているところで、女性もオーダーできるところを近場で発見。早速、「男もすなるオーダーシャツといふものを、女もしてみむとて」オーダーして作ってみたのが今回ご紹介するリネンのシャツです。

◆好きなポイントを詰め込んでのオーダーの楽しみ

 このシャツをオーダーした鶴岡八幡宮のすぐ近くにある鎌倉メーカーズシャツは、数年前、鎌倉三十三観音巡りをしたときに何度も前を通ったので、シャツの専門店があるということは知っていたものの、中まで入ったことはなかったお店。

 リネンでストライプ柄、スタンドカラーで、大き目のシルエットのシャツというイメージはしっかり頭の中にあったので、素早く生地を決め、販売員の方に首回りや裄丈を測ってもらい、カフスの形や長さ、ポケットがあるかないか、刺繍を入れるか入れないかなど、細かいところを詰めてオーダーは完了。出来上がるまで待つこと2週間余り。

 そうして出来上がったシャツは、想像していた以上によい仕上がりで、日本の縫製工場による縫製もとても丁寧なものでした。そして、自分の好きなポイントをたくさん詰め込んだシャツをオーダーすることの楽しみに、今ごろになって気づいてしまいました。

◆あきらめるのでも、探し続けるのでもなく、できる誰かに頼んでしまう

 この価格でこんな楽しい経験ができるなんて。メンズだけの楽しみにしておくなんてもったいない! よく調べてみると、メンズのオーダーシャツを扱っているところでウィメンズも作ってくれるところは大手デパートを含めいくつかあるようです。

 私と同じように、自分好みのシャツを探している皆さんはオーダーシャツを試してみたらいかがでしょうか? ないものを見つけるまで探し続けるのも悪くはないけれど、そうしている間に私たちはどんどん年を取る。

 あきらめるのでも、探し続けるのでもなく、できる誰かに頼んでしまう。そうしたほうが、人生はもっと面白くなると思います。

※写真のオーダーシャツ 麻100% 10,780円(税込み)

※オーダーシャツの価格は生地の種類により変動

<文/小林直子>

【小林直子】

ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。新刊『わたし史上最高のおしゃれになる!』は発売即重版に

2021/5/2 8:46

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