竹野内豊『イチケイのカラス』勝ち組視聴率を生んだフジ月9逆転の発想

 俳優の竹野内豊(50)主演の月9ドラマ『イチケイのカラス』(フジテレビ系)の第4話が4月26日に放送され、平均世帯視聴率が12.4%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と好調をキープしている。

 同ドラマは、東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称=イチケイ)のメンバーの活躍を描くリーガルエンターテインメント。これまで弁護士や検察官が主人公のリーガルドラマは多くあったが、刑事裁判官を主人公として描く民放連続ドラマは今作が初となる。

 竹野内が演じる主人公・入間みちおは、絶対に冤罪を生むことのないよう、自らの足で現場検証を行い、事件の真相を明らかにしていくという、自由奔放で型破りな刑事裁判官。入間に振り回される、東大卒のエリート裁判官・坂間千鶴を黒木華(31)が演じる。

 このメインキャラの設定は、浅見理都の同タイトルコミックの原作から大胆に変更されている。原作では、黒木が演じる坂間が主人公で男性。そして、竹野内が演じる入間はメガネで小太りのサブキャラで、お世辞にもイケメンとは言えない。これは原作の地味な人物像のままでは、視聴率が取れないという判断だろう。

 また、原作では数話に渡ってじっくり事件を解決していたが、ドラマでは1話で事件が解決され、分かりやすさとスッキリ感が出ている。ちなみに、月9ドラマの大ヒット作で、木村拓哉(48)が演じる検察官が主人公の『HERO』も1話完結方式だった。

■極端なエンタメ作品に疲れた?

 第4話は、半年前に高校を中退した17歳の望月博人(田中偉登/21)が被告人で、レジャー施設のアルバイトスタッフとして働いていたが売上金5000万円を盗んで逃亡。その事件の真相を、坂間らが解き明かしていくという展開で、難しい少年犯罪がテーマとなっており、黒木の熱演にホロリとする回となった。

 最近のドラマのヒット作は、『天国と地獄~サイコな2人~』のように、謎が謎を呼ぶ壮大なミステリーや、胸キュンをこれでもかと詰め込んだ『恋はつづくよどこまでも』(ともにTBS系)のように、極端なエンタメに走るのがトレンドだ。

 しかし、そんなノリにはついていけない視聴者も多く、刑事モノや医療モノなど、分かりやすい定番ドラマは手堅く人気がある。『イチケイのカラス』はフジテレビ系の看板ドラマ枠にもかかわらずトレンドに乗らず、定番の手法を取り入れていることが、今期ドラマの中で健闘している理由なのかもしれない。

 今期の他のドラマでいえば、『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)や『コントが始まる』(日本テレビ系)が、斬新な設定や演出が放送前から話題になっていたにもかかわらず、視聴率が伸び悩んでいることにも関係がありそうだ。(ドラマライター/ヤマカワ)

2021/5/2 8:00

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