「俺は良い観光客だ」東京から来た観光客が現地でトラブルに
ゴールデンウィークに突入。例年であれば、観光地は人で溢れかえっていたものだ。今年はどうなるのか……。旅先で常識の範囲を超えた行動をすれば、「トラブル」は避けられない。今回は、観光地で起きた“トンデモナイ”客のエピソードを紹介する。
◆「東京から来た」観光客が現地の居酒屋でトラブル
ゴールデンウィーク以前、東京都内在住の山野徹さん(仮名・30代)は仕事の都合で深夜、県をまたいで車移動していた。到着予定よりも遅くなり、0時をまわった頃、やっと目的地に到着。その時間でも営業している飲食店を見つけて入店したところ、居合わせた客とトラブルになったという。
「移動に疲れて、ようやく落ち着いて食事をしているときに男性客が1人で入店してきました。その男性が『東京から来た』と話していたので、僕も親近感がわいて。世間話でもできたら……なんて考えていたのですが」
その男性客の様子が徐々におかしくなったという。
「お酒に酔い、食べまくり、飲みに飲んだ挙句、『お金持ってないから帰らせろ』と言い出したんです。最終的には店員さんと口論になっていました」
◆「俺は良い観光客だ!」と主張
男性客は観光でお金を使い、お土産でもお金を落とし、「俺は良い観光客だ!」と言い張った。さらに、「酒を出すのがこんなに遅い店にお金を出せるか!」と理不尽なことを言い出す始末。
「衝撃過ぎて忘れることができないフレーズです。幸い時間が遅かったこともあり、数えるほどのお客さんしかいませんでしたが、そのぶん、彼の声は響き渡っていました」
その後もずっと「お金は払わない」「どうして払わないといけないんだ」の一点張りだったという。
「東京を飛び出して伸ばした羽が、いびつな形で広がっていた。同じ生活圏に過ごす1人の社会人として、恥ずかしく思いました」
ついに事態は警察沙汰に発展していた。結局、その場の空気に耐えられず、おひとりさまの男性客より先に店を出た山野さん。最終的にお金を払ったのか定かではないそうだが、そう願ってやまない。
◆鎌倉で出会ったマナー違反の外国人客
関東有数の観光地である鎌倉に住む中川航さん(仮名・40代)は、国内外の観光客の様々な実態を見てきたという。そのなかでも印象に残っている外国人観光客2人のエピソードを聞かせてくれた。
中川さんが、鶴岡八幡宮の若宮大路の団葛(だんかずら)を歩いていると、驚きの光景を目にしたという。一の鳥居をくぐり、源平池の太鼓橋に差し掛かったときだ。
「境内の本宮から、大石段を2台の自転車が勢いよく走ってきました。長い急階段を徒歩ではなく、自転車でおりてくる人を見たのは初めてでした。短パンにTシャツ、リュックサックを背負った若い外国人の男女が姿を現したんです」
さらに彼らは突拍子もない行動に出る。
◆池にダイブして大はしゃぎ
「自転車ごと太鼓橋が架かっている源平池に突っ込んだのです。片手で自転車のハンドルを握り、もう一方の手で水面をパチャパチャと叩いて2人は奇声を発していました」
そこで中川さんはいてもたってもいられなくなり、「そこから早く上がれ!」と手招きをすると、2人は理解したのか、自転車ごと池から這い上がってきたという。
「私が『Don’t(駄目だよ)』と告げると『Sorry(すまん)』と言いました。『American?(アメリカ人?)New York?(ニューヨークから?)』と問うと、テキサスだと言うのです。僕は、あぁ、西部劇の本場テキサスの暴れ者かと納得したんです」
どうやら彼らは、自転車の無料レンタルを利用していたようだ。歴史ある場所でのとんでもない行為に、ただただ呆れるばかりだったと中川さんは話す。
旅行先では、迷惑にならないように行動しなければならない。とはいえ現在、3度目の緊急事態宣言が出され、都道府県間の移動は控えるように呼びかけられている。ゴールデンウィークはどこにも行かず、家でじっとしているほかないだろう。もしも無理に旅行をすれば、現地の人たちとの間で何かトラブルが起きる可能性も否定できないのだ。<取材・文/chimi86>
【chimi86】
ライター歴5年目。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。Instagram:@chimi86.insta