自粛中に結婚を決めたものの…。結婚たった1年で、妻が夫に耐えられなくなった理由
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:金曜16:30。交際中の彼女が別の男といるのを、信じられない場所で目撃して…
「直之、ちょっといいかな」
あれは、土曜の昼過ぎのことだった。
家で軽くランチを済ませ、ソファに寝転がりながらスマホで漫画でも読もうかとしていると、洗い物をしている妻の優愛から話しかけられた。
「どうした?」
「今日時間あるでしょ?この後、買い物に行ってきてくれない?」
「え…今日?必要な物、あったっけ?」
「一週間分の食材とか。近くのスーパーに行くだけでいいから」
正直、面倒である。でもここで断ったら優愛の機嫌を損ねそうなので、僕は素直に従うことにする。
「だったら優愛も一緒に行く?」
「それだと意味がないから」
「え?なんで?」
この時、僕は理解していなかった。妻が怒っていることに。
「家のことは優愛担当だし、一緒に行ったほうがいいかなぁと思ったんだけど」
― ガッッシャーーーン。
背後から、お皿の割れた音がする。驚いて振り返ると、妻はわなわなと震えていた…。
妻が耐えきれなくなった、夫の無神経な行動とは?
Q1:話し合いの中で、妻が疑問に思った点は?
優愛と結婚したのは、1年前のこと。約1年半の交際を経て、自粛期間中に結婚を決めた。
ステイホームも、優愛がいたから楽しめた。いつも明るくて優しくて、本当にいい子だと改めて知り、プロポーズをしたのだ。
同棲はしていなかったので、ちゃんと籍を入れてから、僕の住んでいた家に優愛が引っ越してくることになった。
というのもちょうど優愛と出会う直前くらいに、僕は世田谷に約60平米、1LDKのマンションを購入していた。6千万円で購入した、お気に入りの家だ。
だが一人暮らしと二人暮らしでは、勝手が違う。優愛が引っ越してきてくれて嬉しかったが、結婚となると、考えなくてはならないことがいろいろと出てくる。
「今までひとりだったからあまり感じなかったけど、いざ二人で暮らすとなると、ちょっと狭いね」
「そうだねぇ。でも直之。子供ができたら、引っ越すんでしょ?」
「そのつもりだよ」
子供ができたら、さすがにもう1部屋欲しい。今の家はとても気に入っているが、家族が増えたら売るか貸すかして、広いところへ移ろうと思っていた。
また結婚となると、ルールも決めなければならない。
引っ越してきた当日の晩、僕たちは、今後の結婚生活における規則を決めたのだ。
「まず、直之。タバコはやめてね」
「え…?な、なんで…?」
今まで自由に自分の家で喫煙していたけれど、二人暮らしとなった以上、好き勝手なことはできないらしい。これはかなり厳しいが、条件を飲むしか選択肢はなさそうだ。
「わかった…。生活費はどうする?」
財布は別々の予定だったけれど、家賃や生活費など、結婚後は二人で力を合わせて支払っていかなければならない事項が多い。
「交際費は各自で、ということでいいかな?」
「そうだね。私も働いているし、そこは各自で支払おう。私の場合、洋服代とか美容代も自分で払います」
このあたりは、自分たちで支払ったほうが、お互い気兼ねなく使えそうだ。
「家賃はどうしようか」
僕の問いに、優愛はしばし考える。
「直之は毎月、ここのローンはいくら支払っているの?」
「約20万ちょっとだよ。そこに管理費とか修繕積立費とか加わってくるけど」
「この家は直之の持ち家だし、そもそも年収も私と直之だと違いすぎない?」
僕は総合商社勤務のため、ボーナスを入れて年収1,400万。優愛のほうは約600万くらいだと言っていた。年収比率で考えると、さすがに家賃は僕が支払うべきだろう。
「じゃあ家賃は僕が払うね。だから家の他のことは優愛、というのはどう?旅費とかはまた別として」
「家での食費ってこと?」
「うん。かなり負担の割合は少ないと思うんだけど…」
「そうだね、それなくらいなら助かる」
話し合った結果、家賃と光熱費は全額僕負担。その他の細々した雑費や食費(主に家のこと)は優愛、ということになった。
「じゃあこれで決まりね。これから、よろしくお願いします」
「こちらこそ。直之、よろしくね」
こうして、僕たちの楽しい新婚生活が始まった。
だが1年経って、優愛は不満が爆発したようだ…。
妻がキレた、理不尽な夫の要求とは!?
Q2:夫婦生活を続けていくうえで、妻が抱いた疑問は?
僕たちの結婚生活は平和だった。大きな喧嘩もなく、お互いちゃんと尊敬しあっていたはずだ。
「優愛。この肉じゃが、すごく美味しい」
基本的に、食事は優愛が担当だった。そして毎日の晩酌が、僕たち夫婦にとって大切な時間でもあった。
「本当?この前買った、新しい電気調理鍋が良かったのかも。超便利でさ」
「スイッチ押したら、放置しておくだけで完成するやつ?」
「そうそう」
「時短になっていいね。しかしこれビールに合うなぁ」
肉じゃがを食べながら、買ったばかりの調理器具に関して話す。なんともほのぼのとした会話である。
家にいる時間が増えても喧嘩が増えないというのは、奇跡に近い気もする。それはお互い適度に自立しているおかげでもあると思っていた。
「そうだ。優愛、冬物のコートってまだクリーニングに出さないの?」
「うわ!すっかり忘れていた…」
「さすがにもう出したら?(笑)」
「そうだね。明日出社前に出してくる。クリーニング代だけど、直之も負担してもらってもいい?」
「あれ?でもそれは家のことだから、優愛の担当じゃない? 」
「そうなんだけど…。まぁいいや。私が出してくるね」
「ありがとう。助かるよ」
よくある、夫婦の会話である。だから僕は、この生活に何の疑問も抱いていなかったのだ。
しかし優愛は、相当不満が溜まっていたようだ。
「あのさ。私ばかりこんなに負担が大きいの?家事をしようという気はないの?」
「え?なんのこと?僕なりにやっていたつもりだけど…」
「全然足りないよ」
ゴミは捨てるようにしていたし、全く手伝っていないわけではない。
「それに僕は家賃と光熱費の担当で、家のことは優愛がやると最初に決めたはずだけど…」
ちゃんと、話し合って決めたことだ。そもそも家主として、払うところはちゃんと支払っている。
だがこの一言がさらに火をつけてしまったようだ。
「そういうことじゃないんだけど」
そう言ったきり、しばらく口をきかなくなった優愛。
さらに困ったのが、家のことを一切せず、買い物にも行かなくなってしまったことだ。日用品などを買ってきても、自分の分しか買ってこないため、日々の生活に支障が出始めた。
「優愛、そろそろトイレットペーパーが切れそうだよ…?」
「だから何?」
怒っている妻に対し、果たしてどうするのが正解なのだろうか…?
▶前回:金曜16:30。交際中の彼女が別の男といるのを、信じられない場所で目撃して…
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妻が夫にキレた本当の理由