サンドウィッチマン伊達みきおのきっかけは?自宅で分かる「がんの予兆」早期発見チェックリスト

 日本人男性の2人に1人がかかり、4人に1人が命を落とす“重い病”。体からの危険信号をキャッチせよ!

 昨年から続くコロナ禍は、ウイルス以外にも我々の健康を脅かすこととなった。日本対がん協会の調べによると、2020年のがん検診受診者は約30%減少。ゆえに、約2100ものがんが、未発見となっている可能性があるというのだ。

「同発表では、“少なく見積もっても1万人以上のがんが未発見”であることも示されました。検診のみならず、健康診断や通院を控えた人も多いでしょうから、実際、相当な数のはずです」(医療関係者)

 新型コロナへの感染を恐れるあまり、重大な死の病を見落としてしまっているというわけだ。発見が遅れれば、その代償は、とてつもなく大きい。

「がんの進行度は、ステージ0から4までの5段階。大腸がんを例に取ると、初期症状(0か1)で治療を受ければ、5年生存率は約90%超。これに対し、ステージ4では約20%と大きな差が出てしまう。早期発見が最大のがん治療法とも言えます」(前同)

 がんが早期のうちに発見できるのは1~2年といわれている。そこで今回は、がんにかかった初期に、体に出現しやすい症状をリストアップ。それぞれの部位ごとにまとめた(文末の表を参照)。もし、心当たりがある場合、速やかに受診してほしい。

 具体的な部位ごとの症状を確認する前に、まず意識してもらいたいことがある。それは「全身症状」だ。国立がん研究センター出身で『銀座東京クリニック』院長の福田一典氏(医学博士)は、その重要性を説く。

「がんは、目立った初期症状がないまま進行することも多い。ですが、その一方、がんの種類を問わず、全身症状がサインとなるケースも少なくありません」

 全身症状とは、文字通り、特定の部位ではなく、体全体に出る症状のこと。部位ごとの症状は、全身症状の後に出てくるという。

「痩せる、食欲がない、気分が悪いというものから、抑うつ症状といった、がんとは無関係に思える症状が出る場合もあります。これら全身症状のポイントは、2週間以上続くかどうか。がん細胞は、どんどん増殖していくため、がんによる症状であれば、持続するだけでなく、次第に、その症状がひどくなっていきます」(前同)

■胃炎や胃潰瘍と同じような症状で

 続いては、特に男性の罹患率が高いがんの初期症状を見ていこう。まずは胃がん。

「初期に出る胃の痛みや不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振は、胃炎や胃潰瘍と同じような症状です。吐血や黒色便といった出血が見られるケースもありますが、それは潰瘍性病変を伴った胃がんの場合に見られます」(同)

 症状が同じだけに、胃炎や胃潰瘍だと思って受診したら、がんだったというケースも少なくないようだ。

 続いては、肺がん。

「肺の奥の部位にできる末梢型肺がんの場合、初期症状はまず出ません。対して、肺の入り口の太い気管支にできる中心型肺がんの場合は、咳や痰が出る。喀血や血痰が生じることもあります」(同)

 ちなみに、吐血と喀血は、口から血液を吐く点では同じだが、血の色が変わる。吐血は胃からの出血なので血が赤黒くなり、喀血は肺や気管支の出血で真っ赤な血となるのだ。

「咳や痰が2週間以上続くようだと要注意。風邪などが原因なら、2週間もすれば治りますからね」(同)

 次は大腸がん。初期症状はあまりなく、血便が貴重なサインとなるが、痔と勘違いして見過ごすケースも多いという。がん患者専門の『健康増進クリニック』院長(医学博士)の水上治氏は、こう解説する。

「痔の場合、血は便の表面に付着しているのに対し、大腸がんの場合は一般に便全体に、まだら模様でついています。でも、その差を判断するのは難しいかもしれません」

 いずれにせよ、血便を確認したら自己判断せず、受診するのがいいだろう。

「大腸がんの中でも肛門に近いS状結腸・直腸がんの場合は赤い血がつきますが、もっと奥の盲腸がん、上行結腸がんの場合は付着した便が出るまでに時間を要するので、黒色便が出ます」(前同)

■“真っ赤な血尿”で早期発見

 ちなみに、血が排泄物に混じる症状は、膀胱がんや腎臓がんも同様だ。

「血尿が見られる場合、尿路結石とともに、膀胱がん、腎臓がんを疑うべきです。ただ、尿で薄まっているので真っ赤でなく、ピンク色に見えるかもしれませんし、よく見ても分からないこともあります。血尿が一度でもあれば、念のため泌尿器科を受診してください」(同)

 先日、お笑いコンビ・サンドウィッチマンの伊達みきおも、膀胱がんの手術を受けたことを公表した。

「きっかけは“完全に鮮血”の血尿だったそうです。検査すると、ステージ1のがんが発覚。1週間程度の入院ですでに仕事復帰も果たしていて、早期発見の重要性を知らしめてくれたと言えますね」(芸能記者)

 さて、胃がん、肺がん、大腸がんは、罹患率が高いうえ、男性のがん死亡数のワースト3を占めている。男の大敵とも言える病だが、必ず初期症状が出るとは限らない。それだけに、前出の水上氏は定期的ながん検診を勧める。

「男性の場合、がん全体の死因の半分近くを占めるのが、この3大がんです。胃がんには胃カメラ検査、肺がんにはCT検査、大腸がんには内視鏡検査を、50歳以上なら1年に一度、50歳以下なら2年に一度、受けるべきです」(前同)

 健康診断などで受けるバリウム検査や胸部レントゲン検査、検便は発見精度がやや劣るというから要注意。

 そして、男性特有といえば、前立腺がんを忘れてはならない。3大がんをも超える罹患リスクがある、男の“最強の敵”だ。

 初期症状となる頻尿、尿が出にくい、残尿感は、前立腺肥大症の症状と同じ。心当たりがある人は、簡単で精度の高い「PSA検査」を受けたい。しかし――。

「60歳以上によく見られるがんですが、60歳以上の方がかかった前立腺がんの5~6割は、ほとんど進行しないんです。なので、私は70歳以上の方にPSA検査をオススメしません。仮にがんと診断されても、手術が必要ないケースも少なくないからです」(前出の福田氏)

■発見困難ながんへの秘密兵器

 さて、がんの中には、早期発見が極めて難しいものもある。その筆頭は肝がんだろう。初期に自覚できる症状はほぼなし。表中に記した黄疸も、進行してから出る場合がほとんどだ。進行してからも症状が出ないことも珍しくなく、肝臓が“沈黙の臓器”といわれるゆえんになっている。

「ただし、患者のほとんどはB型かC型肝炎の持続感染者なので、定期的に検診と治療を受けることで予防可能です」(医療ライター)

 そして、最新のがん統計で5年相対生存率(診断されてから5年後に生存している割合)が8.9%と、がんの中で最も早期発見が難しいとされる膵臓がん。やはり、初期症状が出ることはほとんどない。

 ただし、膵臓の頭部に発生する膵頭部がんに限り、腫瘍が比較的小さい段階で黄疸が発生して病が見つかる、幸運な場合もあるという。

「さらに、がん組織から産出されるさまざまな炎症性サイトカン(免疫系細胞から分泌されるタンパク質)が、脳の視床下部に作用して抑うつ、食欲低下、睡眠障害、倦怠感、発熱を引き起こすこともあります。特に膵臓がん患者の約半数は、がんの診断前に抑うつ症状を呈するという報告もありますね」(福田氏)

 胆のうがん、腎臓がんも初期症状はない。

「胆のうがんは、胆石による慢性的な刺激が、がん発生を引き起こします。胆石ができやすいとされる40代以上、あるいは肥満の方は特に注意してください。腎臓がんは、男性患者が女性の約2倍。男性では喫煙者、肥満体質の罹患者が多いとされています」(医療関係者)

 該当者は特に意識したい。

 さて、ここまで初期症状がほとんどない、早期発見の難しいがんを紹介したが、そんな難敵に、いったい、どう対抗すればいいのか? 水上氏は、“エコー”と呼ばれる腹部超音波検査を勧める。

「これで甲状腺、肝臓、胆のう、胆管、腎臓、膵臓、膀胱、前立腺を調べられます。15分程度と手軽ですし、レントゲンやCTスキャンと違って、放射線の被ばくリスクもありません」

■一番大事なことは?

 今回、がんの早期発見につながる情報をまとめてきた。しかし、そもそも、がんという病にかからないことが一番なのは言うまでもない。福田氏は、「最も重要なのは、がんを予防する生活習慣を日頃から送ること」だと言い、こう続ける。

「“早期発見・早期治療”が強調されるのは、それが医療機関や製薬会社のビジネスにつながるため。本来は禁煙(喫煙は肺がんだけでなく、膵臓がんや腎臓がんのリスクも高める)、塩分過多や動物性脂肪を多く含む欧米型食生活を避ける、適度な運動や睡眠を心がけるといった、ふだんの予防対策こそが大事なんです。また、60歳以上の方であれば、特に進行の遅いがんの場合、早期発見、早期治療が本当に必要かも、よく考えるべきです」

 体の異変に注意しつつ、検診を心がけよう!

2021/4/30 12:00

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