夫から不倫相手を引き離す交渉術。一番ダメージをあたえる方法は
後を絶たない不倫問題。前回、VIVID女性探偵社・代表の北川舞子さんに不倫発覚後に奥様たちが再構築にむけて取る行動についてお伺いしました。
今回は、不倫相手にどっぷりはまっている夫とどう再構築の道を歩むのか、引き続き北川さんにお話を聞きます。
◆不倫をやめさせる有効な手段とは
――前回、不倫の深刻度を5段階であらわしていただきましたが、夫が不倫相手にどっぷりはまっている場合はどうすればいいのでしょうか。
◆不倫の深刻度5段階
レベル5⇒離婚
レベル4⇒別居・離婚を考える
レベル3⇒体も心も依存している関係
レベル2⇒性欲のみだが、継続した関係
レベル1⇒デートしたり、一夜限りの関係
※上にいくほど、再構築は難しい
北川舞子さん(以下、北川)「それでも奥様が再構築を望むのであれば、夫の素行調査後に不倫相手の身辺調査をします。それで、相手の名前から住所・職場まで全て洗い出します。これらの証拠や情報を元に、夫と別れてもらうよう、不倫相手に示談しに行きます」
――行きますって、直接行くんですか?
北川「はい、直接です。あなたが不倫していることも知っているし、あなたの素性も調べましたよ、というアピールになるからです。不倫のように後ろめたいことをしている女性は、奥様に名前・住所・職場を知られるのを極端に嫌がるんです。よく、『示談しに行く時はアポをとった方がいいですか?』と聞かれるんですけど、アポをとると逃げられる可能性が高いので、ここは突入します」
◆冷静な第三者を連れて行く
――たしかに、それは不倫相手もびっくりしますね。
北川「探偵は交渉の場にはついていけないので、奥様ご自身で行くことになります。そこでは、一人で不倫相手に乗り込むことにならないように、家族や友達など、必ず第三者と一緒に行くことをすすめています」
――示談の場合、一人で行ったらダメなんですか?
北川「示談時の話を後日聞くのですが、大抵の不倫相手は交渉時に奥様が深く傷つくセリフを言うんです。『不倫されるあなたが悪いんじゃないですか?』『女としての魅力がないって言ってましたよ』とか、聞いているだけでも腹が立つことを平気で言うんですよ。その場でつかみあいの喧嘩にならないように、冷静な第三者にいてもらうようアドバイスをしています」
◆義理の家族を味方にすると強い
――家族や身内が、交渉の場についていく場合もあるんですか?
北川「あります。夫側の家族がついていく場合が、不倫相手に一番ダメージを与えられるんですよ。あなたたちの恋愛は、夫の家族も反対してるよというアピールになりますからね。逆に奥様側の家族を連れていくと、その後夫が奥様の実家に寄り付かなくなるなど、再構築の障害になってしまうのでやめるように伝えています」
◆不倫相手に口止めするテクニック
――示談書の内容はどのようなものが多いですか。
北川「不倫関係を認めさせた上で、今後夫とは会うことも連絡をとることもしないと約束させます。職場内不倫のケースも多いので、その場合は『業務以外のことは話さない』など、状況に応じて条件をつけます。そのうえで、万が一約束を破ったり、この内容を夫や第三者に話した場合は、慰謝料〇百万円を請求しますと入れます」
――口止めもするんですね。
北川「ここまでくると、慰謝料という言葉を見て、現実にもどった不倫相手の女性が夫からフェードアウトしていく場合が多いです。仮に、不倫相手の女性が夫に『あなたの奥様から示談書を受け取った』と報告したとしても、夫は奥様に『示談書を渡しただろ!』とは言えません。
言ってしまえば、女性が奥様に慰謝料を払わないといけなくなりますし、夫としては最後まで不倫相手を守りたいという心が働くからです。これでたいていの夫は不倫相手と別れざるをえなくなって、家に帰ってくるようになります。ここまでは、あくまで『再構築をしたい』と願う奥様が自身の意思で動くことになります」
◆夫の気持ちを戻すことまではできない
――不倫相手と別れたとしても、そこから関係を再構築できるのかは疑問です。
北川「探偵ができるのは調査で得た証拠を元に、夫と不倫相手を別れさせて家に戻させるアドバイスをすることまでです。夫の気持ちを戻すことまではできません。ですので、そこから、どう関係を再構築していくのか、ご夫婦で答えを探さなくてはいけません。不倫相手のところから、家に戻すことでようやく話し合いができるんです」
◆再構築までの長い道のり
――不倫発覚からの再構築は、とても遠い道のりに感じます。
北川「実際にそうだと思います。裏切り行為ですから、すぐに許せる問題ではありませんし、夫も強引に別れさせられて怒っている場合もあります。もしかしたらおじいちゃんおばあちゃんになって、ようやく許せるようになるのかもしれません。それは、ご夫婦次第なんです。
そのためにも奥様が再構築にむけて覚悟を決めることはとても大切です。再構築したいのに、いつまでも不倫を責め続けていては夫婦仲も改善されません。離婚するのももちろん大変ですが、再構築も長く大変な道のりであることは日々痛感しています」
◆見て見ぬフリをしても憎しみが増すだけ
――夫の不倫を疑っても、見て見ぬフリをしていたほうがラクな気すらしてきました。
北川「それは、夫婦としてどうありたいかだと思います。ただ、夫の不倫に長年気づいていたけど、見て見ぬフリをしていた人に限って、不倫の決定的証拠を見つけた時の怒りは大きいようです。私が子育てを一人でしているときに、あなたは不倫をしてたのね、と過去の苦しみや憎しみが次から次へと湧いてきて、強い怨念を持ったという方もいらっしゃいます」
――ため込んで我慢していた分、憎しみも倍増しそうです。
北川「何より夫を疑い、あきらめながら一緒に生活するのは、とても辛いことだと思います。子供がいる場合は、そのイライラが子供に向かってしまうこともあると思うんです。ですので、私としては、やはり疑惑をそのままにしないで、きちんと向き合うこと・解決することが大事だと思っています」
◆再構築するには大きな覚悟が必要
再構築はリハビリのようなものだと北川さんは言います。不倫をした夫への恨みを抱えつつもどう前をむいて歩いていくか、妻自身の覚悟がとても重要であることがわかりました。長いスパンで関係を取り戻していくことの大切さを実感しつつ、どの道を選ぶにしても不倫が残す爪痕の大きさを実感しました。
そして、北川さんによれば、離婚や慰謝料請求をする意思が固まっている場合は、すぐに弁護士に依頼するのがベストだとのことです。
※調査内容や方法は、特定を避けるため一部内容を改変したうえで記載しています。
【北川舞子】
VIVID女性探偵社(キタガワ万博株式会社)・代表取締役。大手調査会社2社を経て、独立10年目。現在は二児の母としても奮闘中。別名、ママ探偵として、依頼者が抱える不倫問題や夫婦の想いに寄り添いながら、解決に導く。インスタグラム #ママ探偵 にて不倫問題のアドバイスもしている。インスタグラム:@mama_vivid/公式ホームページ
<取材・文/瀧戸詠未>
【瀧戸詠未】
ライター/編集者。趣味は食べ歩き・飲み歩き。