日常の出費をポイント化、節約系インスタグラマーに聞く“ポイ活”術

 コロナ禍で生活者の消費意識が二極化している。自粛疲れの解消を目的に高級品を購入する「プチ贅沢」の需要が高まる一方、経済的不安から財布の紐を締め、無駄な出費を抑える「節約志向」も高まった。

 そんな中、クレジットカードやスマホ決済アプリなどのキャッシュレス決済で、ポイントを貯める「ポイ活」にも注目が集まっていると言えよう。

 楽天やドコモ、auなど自分の身の回りに近いポイント経済圏を見つけて複数のサービスをフル活用し、賢く、そして上手にポイントを貯めることができれば、生活費に充てたりご褒美として高額商品と交換したりすることが可能であり、まさにライフハック術として身につけておきたいものだ。

 今回は、インスタグラムのフォロワー数30万人以上の節約系インスタグラマーとして知られている「ののこ」さん(@nonoko_16)に、家計のやりくり術やおすすめのポイ活術について話を伺った。

◆夫の借金300万が発覚。家計管理を本格的に始めることに

 ののこさんがポイ活を始めたのは、「家計管理を見直して『節約』と『貯金』を始めようと思った」ことがきっかけになっているという。

「子ども2人と旦那の4人家族で生活をしているのですが、あるとき旦那が300万円の借金を抱えていることが判明したんですよ……。スマホゲームに課金したり洋服代にお金を使ったりして膨れ上がった借金を返済しながら、家計も回していかなくてはいけない。そう思ったときに、今までおろそかだった家計管理を本腰入れてやろうと決意したんです」

 節約術を調べたり、家計を効率的に回す方法を探したりする中で、ポイ活を知ったのはインスタの投稿だった。

「ポイントを賢く貯めて、うまく活用することができれば、家計の節約や貯蓄に活かせるかもしれない。そう思って、まずはやってみようとポイ活を始めてみました。特に損をすることはなく、『ローリスク・ローリターン』で地道に続けていけばポイントが貯まるので、『単純にお得だな』と思ったんですよ(笑)。そこから家計管理とポイ活をセットで考えるようになり、色々と試すようになりました」

◆ポイ活で得したこと、失敗したことをネットに晒す

 インスタで情報収集した“ポイ活のやり方”をピックアップし、無理なく続けられるものから実践していったそうだ。

「食費や携帯代、光熱費などの生活費はカード支払いに切り替えたり、ネット通販では『ポイント◯倍デー』に合わせ、まとめ買いをしたり。ポイントを貯めるためには、ちょっとした手間や事前準備はあるものの、そんなに難しいことではないんですね。どうせ出費するなら、少しでもポイントを貯めて得したいじゃないですか(笑)。

 ただ、始めたての頃はポイ活を日常のルーティンとして習慣化させる必要があったので、『ポイ活で得したこと、失敗したことをインスタに晒す』ことを心がけました。人に見られるのを意識すると、家計簿などの情報をきれいにまとめる必要があり、自分が振り返ったときも見やすいので便利なんです。ある種“メモ代わり”として、インスタは運用していましたね」

 ポイ活を始めた時と同じタイミングでインスタのアカウントを開設したののこさん。

 日々ポイ活に取り組むありのままの様子や節約術、作り置きレシピなどを投稿していったところ、いつしかフォロワー数がどんどんと増え、今ではフォロワー32万人を超えるアカウントにまで成長した。

「フォロワー19万人くらいまでは、自力でコツコツ投稿を続けることでフォロワーが増えていったんですが、TV出演をきっかけに一気にフォロワーが増えました。特に驚いたのは2020年6月に日本テレビ系列のTV番組『メレンゲの気持ち』に出演させてもらった時で、一度に6万人もフォロワーが増えたんですよ」

 メディア出演のほか、『スッキリ家事でお金を貯める!』や『ののこの節約作りおきレシピ』(共に小学館)などの著書も出版し、節約系インスタグラマーとして一躍有名になったのである。

◆節約に大事な「可視化」と「仕組み化」の考え方

 そんなののこさんだが、節約で大事なポイントとして『可視化』と『仕組み化』の2つを挙げる。

「まず『可視化』についてですが、ショッピングする際は『事前に何を買うのかリストアップすること』をおすすめしています。ショッピングは楽しいので、つい衝動買いしたくなりますが(笑)、買うものを洗い出しておくと無駄な出費をせずに済む。ネット通販なら、買う前にお気に入り登録をしてブックマークしておきます。そして、ポイント倍率が高くなる日やタイムセールなどのタイミングを狙ってまとめ買いをする。

 この時に留意したいのは『買うかどうか考えてからカートに入れる』ことです。ストックしたものを全て買うのではなく、本当に必要かどうかを見極めてから購入するようにした方がいいでしょう。また、スーパーへ買い出しに行く時は、あらかじめ1週間分の献立を考えた上で、必要な食材を全てメモに書いておく。私の場合、スーパーには週1だけ行くことにしているので、そこで食材を仕入れておけば何度もスーパーに通う必要もなく、ついで買いもなくすことができます」

 さらに、生活費の項目ごとにお金を袋分けして管理する「袋分け家計簿」を実践することで、手元に残っている予算をきちんと可視化できるとのこと。

「『後どのくらいお金を使えるのか』というのが可視化できれば、無駄使いや貯金を切り崩すことも防ぐことができます。給料日がまだ先なのに、お金を使いすぎていたらセーブしたり、余りそうだったら貯金口座へ回していますね。袋分け家計簿のやり方は、まず給料日に毎月かかる変動費(食費や日用品費など)の予算を決め、銀行でお金を下ろして項目ごとに袋分けする。こうすることで、家計のやりくりがだいぶ楽になり、毎日家計簿を付ける負担も減らせます」

◆1年で130万円、3年で500万円の貯金を達成

 次に、仕組み化については「毎月かかる携帯代や保険料、光熱費といった固定費の見直しをすることで、家計改善につなげられる」とののこさんは話す。

「毎月出ていく固定費って、意外に削減しようと思っても後回しにしてしまいがち。そこは重い腰を上げて、一度見直しをすれば節約にもなりますし、現金払いから口座引き落としやカード払いにすればポイントも貯まります。まずは、固定費がいくらかかっているかを把握すること。

 うちの家庭では、毎月払う携帯代と保険料が高かったので、そこを見直しました。携帯は料金プランを見直して乗り換え、夫の保険も本当に必要なものだけ残して解約したところ、携帯代は月に1万円、保険料は2万円と年間で約36万円の節約になったんです。携帯も保険も、解約手続きや新規契約時の面倒な作業がありますが、一度仕組みを作ってしまえば、後が楽になります」

 ののこさんは、毎月の固定費や変動費を節約しつつ、家計をうまくやりくりして貯金を地道に増やしていった結果、1年で130万円、3年で500万円の貯金を達成。まさに「継続は力なり」とはこのことだろう。

◆自分に合った“ポイント経済圏”を見つけ、1つに集約する

 コロナ禍でポイ活に対する注目度は高まっており、YouTubeやインスタなどでポイ活関連の情報発信をするアカウントも増えている。

 ののこさんは、日常の出費を楽天カードや楽天市場といった楽天サービスでまとめ、“楽天経済圏”をうまく活用してポイントを効率良く貯めているそうだ。

「ネット通販は楽天市場、携帯は楽天モバイルにしていて、それぞれの支払いも楽天カードにまとめています。こうすることで、楽天経済圏の中でポイントを循環でき、サービスの恩恵を最大限受けることができます。最近では『ポイント投資』といって、現金のようにポイントを利用して資産運用もできるため、楽天証券ではポイントを使って投資信託も運用していますね。

 投資って聞くと『損をするのでは?』と思ってしまいますが、ポイント積立なら“ポイントを預ける感覚”で気軽に投資に回すことができるのがメリットです。このように、私の場合は楽天で全てまとめていますが、他にもauなら『Pontaポイント』、ドコモなら『dポイント』など自分の身の回りに近い経済圏を上手に活用するといいでしょう」

◆いかに“日常の出費をポイント化”するか

 また、初心者がポイ活を実践するために意識すべきことや注意したいことについて、ののこさんは次のように説明する。

「現金だとポイント獲得の機会を失ってしまうので、いかに“日常の出費をポイント化するか”を意識するのが大切ですね。前述した袋分け家計簿は基本的に現金を想定していますが、慣れてくればクレジットカードで応用もできるので、ポイ活と節約を両立させたい方は取り組んでみることをおすすめします。ただ、注意したいのは『ポイントが欲しいあまり、無駄なものを買ってしまう』ことです。浪費癖がある方は、私が実践している『1個買ったら1個捨てる』というルールを実践してみるといいかもしれません。極力、余計なものを買わずに、必要最低限を心がけるといいでしょう」

 ついうっかり、ポイント欲しさに無駄使いしてしまうのをこらえ、節約第一に家計を回すことが先決なのだろう。

 最後に、ポイ活を長く続けるための秘訣についてののこさんへ伺った。

「ポイ活はローリスクで始められるので、まずは取り組んでみることですね。特に固定費の部分は煩わしいこともありますが、年間で考えると結構な節約につながるので、最初に見直してみるといいかもしれません。あとは実際に色々試していく中で、自分にしっくりくるやり方を見つけて、とにかく継続することが大事。『塵も積もれば山となる』ということわざがありますが、月単位で見れば微々たるポイントかもしれません。でも、1年、2年と続けていけば確実に貯まっていきます。去年と今のポイントを見比べると、どれだけ貯まったかがわかりますし、貯めたポイントを定期的に使うサイクルを作っておけば、ポイ活を続けるメリットを感じられると思います。気長にできることからポイ活にチャレンジするといいのではないでしょうか」

<取材・文・撮影/古田島大介>

【古田島大介】

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

2021/4/29 15:52

こちらも注目

新着記事

人気画像ランキング

※記事の無断転載を禁じます