最高の「友情」と「前進」を描く失恋ロマコメ『サムワン・グレート ~輝く人に~』

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Netflix映画『サムワン・グレート ~輝く人に~』がリリースされてから早2年。アメリカでは何度も観るリピーターが多く、コメディなのに「めちゃくちゃ泣ける」と評判の本作を、2年ぶりに再視聴した筆者がレビューします!

『サムワン・グレート ~輝く人に~』(2019)

Netflix映画『サムワン・グレート -輝く人に-』がリリースされたのは、2019年4月19日。大失恋した主人公と親友2人の友情・成長を描いたコメディで、当時私は見始めてすぐ大好きになったことを覚えている。しかしその後見直すことなく時が経ち、今年に入って米E!Newsのこんなインスタ投稿が目に留まった。

ねえNetflix、私たちが『サムワン・グレート』を観るのはこれで~1052978639回目。そろそろ続編の時期だよ。

出典元:https://www.instagram.com/ (@enews)

この呼びかけとそれに賛同するファンたちのリプライを見て、アメリカでは本作が「何度も観る映画」と認識されていることを知ったと同時に、ものすごく納得してしまった。

さらに、3月には『サムワン・グレート』を「泣ける映画」として扱ったツイートがバズった。本作の脚本家/監督のジェニファー・ケイティン・ロビンソンが「私自身はコメディを書いたと思っていた」とリツイートすると、「私がこんなに泣いたのに?」といったリプライが殺到。こんなSNS投稿を続けて目にした私は、すっかりもう一度観たい衝動にかられてしまった。

そして約2年ぶりに再視聴し、文字通り泣いて、笑って、また泣いて……、改めてなぜ本作はこんなに感情を揺さぶるのかをじっくり考えてみた。

まずは、あらすじからご紹介しよう。

『サムワン・グレート ~輝く人に~』あらすじ

主人公は、NYで音楽ライターとして働く29歳のジェニー(ジーナ・ロドリゲス)。ローリング・ストーン社に採用されサンフランシスコへ引っ越すことが決まると、9年間付き合った恋人のネイト(ラキース・スタンフィールド)に別れを切り出されてしまう。傷心のジェニーは最後の夜を楽しもうと、親友ブレア(ブリタニー・スノウ)とエリン(デワンダ・ワイズ)を音楽フェスティバル「ネオン・クラシック」に誘う。昼間から酒を飲み、ハイになり、大騒ぎするジェニーだが、どこで何をしていてもネイトとの思い出が蘇ってしまう…。

NEW YORK, NY - MAY 11: Gina Rodriguez (L) and Lakeith Stanfield are seen filming a scene for 'Someone Great' in Washington Square Park on May 11, 2018 in New York City. (Photo by Gotham/GC Images)

冒頭で楽しかった頃のジェニーとネイトが登場した後、Facebookの写真、メッセンジャーやテキストメッセ―ジの会話が次々と映し出され、付き合いたての楽しい学生時代から社会人になった後のすれ違い、別れまでの9年間を振り返る。始まって5分、まだ知りもしない2人の関係に、どうしてこんなに切ない気持ちになるんだと思うほど心にグッと来るものがある。

音楽の使い方が絶妙

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その理由の一つは、音楽だ。本作は記憶や思い出を蘇らせる「音楽の力」を利用し、ジェニーとネイトが辿った9年のフラッシュバックをよりエモーショナルに演出する。思い出の曲や切ない曲が流れると、友人がジェニーに「消す?」と聞くのが印象的だ。

別れた翌日にジェニーの自宅で流れる「Mansard Roof」は大学3年の思い出を呼び起こし、不思議なことにまるで自分の思い出ソングかのようにノスタルジックな感覚に陥る。食料品店で流れる「Dreaming of You」は切ないムードになるかと思いきや、店内で合唱から爆笑のオチへとつながるのが見事だ。

本作の配信後、思い出を辿るシーンで使われたLordeの「Supercut」は再び米iTunesチャートにランクイン。そして、リゾの「Truth Hurts」がリリースから2年後に大ヒットした要因の1つは、本作でフィーチャーされたからともいわれている。(ジェニーがラップしながら踊るシーンはとにかく最高だ。)

「女同士の友情」が最高!

本作を観れば「女の友情=フレネミー(友達のフリをしているが、実は敵である関係)」だった時代を遠い昔に感じるだろう。ジェニー、エリン、ブレアの間には嫉妬や怒りの感情はなく、罵り合いも起きない。誰か一人踊り出したら全員踊るほどノリが良く、思い出し笑いしちゃうほど愉快な会話を繰り広げる3人が大好きだ。

失恋した後に限らずどうしようもなく落ち込んだ時、仕事を休んでバカ騒ぎに付き合ってくれる友達がいたらどれだけ最高だろうか。それぞれ異なる個性が輝く3人だからこそ築けた関係であり、これから30代、40代、50代になった彼女たちも見てみたいと心から思ってしまう。

これ以上ないほど完璧なキャスト!

主人公ジェーン役のジーナ・ロドリゲス

HOLLYWOOD, CALIFORNIA - APRIL 17: Gina Rodriguez attends the Los Angeles Special Screening Of Netflix's

主人公ジェニーを演じるのは、『ジェーン・ザ・ヴァージン』のジーナ・ロドリゲス。時折でるスペイン語と豪快な笑い方が魅力的で、切ないシーンと愉快なシーンの両方で抜群の演技力を発揮している。

左から:ブレア役のブリタニー・スノウ、エリン役のデワンダ・ワイズ

HOLLYWOOD, CALIFORNIA - APRIL 17: Brittany Snow and DeWanda Wise attend the Los Angeles special screening of Netflix's

ブレア役は『ピッチ・パーフェクト』のブリタニー・スノウ、エリン役は『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』のデワンダ・ワイズが務め、ただの主人公をサポートする友達ではなく、それぞれの問題に向き合う重要なキャラを個性たっぷりに演じている。

ネイト役のラキース・スタンフィールド

NEW YORK, NEW YORK - FEBRUARY 12: (EXCLUSIVE COVERAGE) Lakeith Stanfield attends BuzzFeed's

そしてジェニーの元彼ネイト役は、今年『Judas and the Black Messiah』でオスカー候補となったラキース・スタンフィールド。ドラマ『アトランタ』やホラー映画『ゲット・アウト』のイメージゆえか ‟ロマコメの恋人役” は意外な気もするが、彼の演じるネイトがものすごく良い。大きなケンカの後のラブシーンでは、ジーナとラキースが今にも壊れそうな2人の心を繊細に表現し、今思い出しても涙が出そうなほど切ない気持ちにさせられる。

『サムワン・グレート』は「前進」の物語

失恋と女の友情にフォーカスした本作が導く先は、「未来への前進」だ。ジェニーは今も愛する元恋人との思い出を振り返り、友達とバカ騒ぎしてパワーをもらい、人生の次のチャプターへと進む。

タイトルの「サムワン・グレート(素晴らしい人」とは誰のことか?それはネイトではなく、ジェニー自身のことだ。ネイトとの辛すぎる別れは、彼女の人生のたった一部。困難を乗り越えて成長し、この先どうなるか分からない未来への一歩を歩みだす彼女自身こそが「サムワン・グレート」なのである。

辛かったり不安を感じる時、元気をもらいたい時、ただ楽しい気分になりたい時、これから何度でも本作をリピートするだろう。

『サムワン・グレート ~輝く人に~』はNetflixで独占配信中!

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  • 4/27 19:00
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