月1万円のつみたてNISAで老後資金はいくらに? シミュレート&実践してみた
―[デジタル四方山話]―
◆20%の税金が非課税になる意味
フリーライターである筆者は、老後に3000万円必要とか、老後破産は悲惨だ、とかいう記事を見る度に目を背けてきた。元々、宵越しの銭は持たないというノリで、いいお酒を飲みに東奔西走しているので仕方がない。
とは言え、50歳も近くなり、体がガタガタになってくると、ちょっと家族の将来とかも考えるようになる。こんなんだったら、もっと若い頃から貯金しておけばよかった、と考えても後の祭り。今からでも始めておくか、と重い腰を上げることにした。
フリーランスは頑張った分、稼ぎが増える。そのため、金が必要になれば仕事をたくさん受ければいいだけ、という感覚があり、堅実に貯金する気になれなかった。とは言え、リスキーな投資は長くは続かない。しかし、金利がゼロはちょっとやる気が失せる…と行ったり来たり。そこでぴったりな投資先を見つけたので、チャレンジしてみることにした。
「つみたてNISA」だ。通常、株式投資をして儲けたお金には約20%の税金がかかってくる。これは、とても不利な条件だ。しかし、「NISA口座」であれば、色々な制限はあるが、利益に対して非課税となる。
税金が欲しいはずの国が、なぜこのような優遇制度を認めたのか。筆者には今後公的年金制度が弱くなるので、ある程度は自分で対応してね、と言っているように見える。今後も少子高齢化は進むからだ。
◆銀行貯金と比べると差は明らか
それであれば、優遇措置は受けておかなければ損だ。つみたてNISAはさらに買付と売却の手数料もゼロ。これもお得だ。そこで気になるのは儲かるかどうか、だろう。
つみたてNISAは毎月決まった金額を銀行から積み立てし、投資信託に投資をしていく。利用者から見れば、貯金している感覚に近い。しかし、そのお金を運用するのは銀行ではない。投資信託とは、投資家から集めたお金をまとめて運用して、利益を分配する金融商品のこと。投資なので負ける可能性がある。つまり、元本が保証されているわけではない。
とはいえ、堅実な投資先を選んでいる投資信託であれば、リターンが出る可能性は高いし、実績も出している。確かに利益率は思ったより大きくないかもしれないが、銀行の利率と比べれば格段にましだ。
例えば、銀行利率は大手銀行だとほぼゼロ。ネットバンクだと0.2%くらいのところもある。そこで、毎月1万円を20年間積み立ててみよう。20年後には244万8050円となり、そこから前述の税金が取られるので、利益はなんと3万8300円ほど! 膝から崩れ落ちるくらい、意味がない。
しかし、利回り5%の投資信託に投資した場合、金融庁の資産運用シミュレーションで計算すると、最終積み立て金額は409万4549円。170万円近い利益が出る。実際には、毎年0.1%前後の信託報酬が引かれるが、それでもスゴイ。
◆まずはスタートすることをお勧めする
利回りは当然リスクに関わってくる。堅実に3%を狙うか、バランスで5%を選ぶか、リスキーに7%以上を狙うかは個人の自由。あくまで元本が保証されていないことを理解していればいい。とはいえ、個人が欲望に任せてFXや信用取引にチャレンジすると、元本割れどころかすべて吹き飛ばして借金を背負うこともよくあること。投資はプロに任せた方が安心だ。
つみたてNISAは毎月100円から投資できるので、まずはスタートすることをお勧めする。もちろん、このままだとリターンが期待できないが、意識が変われば頑張って1万円いこうかな、となっていく。何かトラブルがあってどうしてもお金が必要になった場合は、解約することも可能だ。
そんなにスゴイなら毎月10万円投入して、リスキーな7%の投信で回せば、20年後には2400万円プラス2890万円が返ってくるではないか、というのもそうはいかない。国は金持ちを儲けさせるためではなく、一般の人に老後資金を確保して欲しいわけで、毎年積み立てられる限界が決まっている。このラインが年間40万円。つまり、毎月3万3333円まで積み立てられるというわけだ。
では、この上限金額で、堅実な3%利回りを狙う場合はどうなるだろうか。積立総額は1092万2018円、利益は292万2018円となる。非課税で得したのはなんと60万円近くなる。
実は、つみたてNISAで本当にスゴイのは「時間」。20年間黙って同じ積み立てを行うという行為そのものが大きな効果に繋がる。そのための動機付けとして、非課税や利回りがあると考えればいいだろう。兎にも角にも動き出さなければ始まらないのだ。
さて、実際に投資してみることにする。筆者は昔株式投資をするのに使っていたSBI証券を利用した。投資先の投資信託は自己責任でじっくり選ぼう。運用を委託する会社や運用方針をチェックし、過去の実績を確認する。
◆筆者が選択した商品は?
投資先は一つでもいいし、複数でもいい。ある程度は堅実なものに投資し、一部をリスキーな銘柄にして楽しみを増やすのもありだろう。筆者はつみたてNISAの対象銘柄で検索し、販売金額ランキングの上位をチェックした。
結局、トップ1と2の「米国の代表的な株価指数であるS&P500指数(円換算ベース)に連動する投資成果目指す」という「SBI・バンガード・S&P500」と、「日本を含む先進国ならびに新興国の株式に投資し、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざす」という「オール・カントリー」を選んだ。両方とも信託報酬が1%前後とリーズナブルなのもポイントだった。金額は「SBI・バンガード・S&P500」が2万円、「オール・カントリー」が1万3333円とした。
最後に、利用している銀行口座から必要な分だけ毎月引き落とされるようにしておき、準備は完了。後は、20年放置するだけだ。
貯金なんか自分には縁がないと考えている人は、ぜひ口座を開いて、少額でもいいからスタートしてみることをお勧めする。そうすれば、せっかくの積み立て枠を使わないと持ったないと考えるようになり、自然にお金を回すようになるかもしれない。結局自分の人生は自分でなんとかするしかないので、不安を感じたら無視せずに、小さくてもいいから動いてみよう。
<文/柳谷智宣>
―[デジタル四方山話]―
【柳谷智宣】
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「Wi杯」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
◆20%の税金が非課税になる意味
フリーライターである筆者は、老後に3000万円必要とか、老後破産は悲惨だ、とかいう記事を見る度に目を背けてきた。元々、宵越しの銭は持たないというノリで、いいお酒を飲みに東奔西走しているので仕方がない。
とは言え、50歳も近くなり、体がガタガタになってくると、ちょっと家族の将来とかも考えるようになる。こんなんだったら、もっと若い頃から貯金しておけばよかった、と考えても後の祭り。今からでも始めておくか、と重い腰を上げることにした。
フリーランスは頑張った分、稼ぎが増える。そのため、金が必要になれば仕事をたくさん受ければいいだけ、という感覚があり、堅実に貯金する気になれなかった。とは言え、リスキーな投資は長くは続かない。しかし、金利がゼロはちょっとやる気が失せる…と行ったり来たり。そこでぴったりな投資先を見つけたので、チャレンジしてみることにした。
「つみたてNISA」だ。通常、株式投資をして儲けたお金には約20%の税金がかかってくる。これは、とても不利な条件だ。しかし、「NISA口座」であれば、色々な制限はあるが、利益に対して非課税となる。
税金が欲しいはずの国が、なぜこのような優遇制度を認めたのか。筆者には今後公的年金制度が弱くなるので、ある程度は自分で対応してね、と言っているように見える。今後も少子高齢化は進むからだ。
◆銀行貯金と比べると差は明らか
それであれば、優遇措置は受けておかなければ損だ。つみたてNISAはさらに買付と売却の手数料もゼロ。これもお得だ。そこで気になるのは儲かるかどうか、だろう。
つみたてNISAは毎月決まった金額を銀行から積み立てし、投資信託に投資をしていく。利用者から見れば、貯金している感覚に近い。しかし、そのお金を運用するのは銀行ではない。投資信託とは、投資家から集めたお金をまとめて運用して、利益を分配する金融商品のこと。投資なので負ける可能性がある。つまり、元本が保証されているわけではない。
とはいえ、堅実な投資先を選んでいる投資信託であれば、リターンが出る可能性は高いし、実績も出している。確かに利益率は思ったより大きくないかもしれないが、銀行の利率と比べれば格段にましだ。
例えば、銀行利率は大手銀行だとほぼゼロ。ネットバンクだと0.2%くらいのところもある。そこで、毎月1万円を20年間積み立ててみよう。20年後には244万8050円となり、そこから前述の税金が取られるので、利益はなんと3万8300円ほど! 膝から崩れ落ちるくらい、意味がない。
しかし、利回り5%の投資信託に投資した場合、金融庁の資産運用シミュレーションで計算すると、最終積み立て金額は409万4549円。170万円近い利益が出る。実際には、毎年0.1%前後の信託報酬が引かれるが、それでもスゴイ。
◆まずはスタートすることをお勧めする
利回りは当然リスクに関わってくる。堅実に3%を狙うか、バランスで5%を選ぶか、リスキーに7%以上を狙うかは個人の自由。あくまで元本が保証されていないことを理解していればいい。とはいえ、個人が欲望に任せてFXや信用取引にチャレンジすると、元本割れどころかすべて吹き飛ばして借金を背負うこともよくあること。投資はプロに任せた方が安心だ。
つみたてNISAは毎月100円から投資できるので、まずはスタートすることをお勧めする。もちろん、このままだとリターンが期待できないが、意識が変われば頑張って1万円いこうかな、となっていく。何かトラブルがあってどうしてもお金が必要になった場合は、解約することも可能だ。
そんなにスゴイなら毎月10万円投入して、リスキーな7%の投信で回せば、20年後には2400万円プラス2890万円が返ってくるではないか、というのもそうはいかない。国は金持ちを儲けさせるためではなく、一般の人に老後資金を確保して欲しいわけで、毎年積み立てられる限界が決まっている。このラインが年間40万円。つまり、毎月3万3333円まで積み立てられるというわけだ。
では、この上限金額で、堅実な3%利回りを狙う場合はどうなるだろうか。積立総額は1092万2018円、利益は292万2018円となる。非課税で得したのはなんと60万円近くなる。
実は、つみたてNISAで本当にスゴイのは「時間」。20年間黙って同じ積み立てを行うという行為そのものが大きな効果に繋がる。そのための動機付けとして、非課税や利回りがあると考えればいいだろう。兎にも角にも動き出さなければ始まらないのだ。
さて、実際に投資してみることにする。筆者は昔株式投資をするのに使っていたSBI証券を利用した。投資先の投資信託は自己責任でじっくり選ぼう。運用を委託する会社や運用方針をチェックし、過去の実績を確認する。
◆筆者が選択した商品は?
投資先は一つでもいいし、複数でもいい。ある程度は堅実なものに投資し、一部をリスキーな銘柄にして楽しみを増やすのもありだろう。筆者はつみたてNISAの対象銘柄で検索し、販売金額ランキングの上位をチェックした。
結局、トップ1と2の「米国の代表的な株価指数であるS&P500指数(円換算ベース)に連動する投資成果目指す」という「SBI・バンガード・S&P500」と、「日本を含む先進国ならびに新興国の株式に投資し、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざす」という「オール・カントリー」を選んだ。両方とも信託報酬が1%前後とリーズナブルなのもポイントだった。金額は「SBI・バンガード・S&P500」が2万円、「オール・カントリー」が1万3333円とした。
最後に、利用している銀行口座から必要な分だけ毎月引き落とされるようにしておき、準備は完了。後は、20年放置するだけだ。
貯金なんか自分には縁がないと考えている人は、ぜひ口座を開いて、少額でもいいからスタートしてみることをお勧めする。そうすれば、せっかくの積み立て枠を使わないと持ったないと考えるようになり、自然にお金を回すようになるかもしれない。結局自分の人生は自分でなんとかするしかないので、不安を感じたら無視せずに、小さくてもいいから動いてみよう。
<文/柳谷智宣>
―[デジタル四方山話]―
【柳谷智宣】
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「Wi杯」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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