Rhizomatiks・真鍋大度「脳に電極を埋め込むことで…」“貪欲なクリエイティブ精神”に脱帽

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの新番組「DIGITAL VORN Future Pix」。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。4月24日(土)の放送は、前回に引き続き、Rhizomatiks(ライゾマティクス)代表の真鍋大度(まなべ・だいと)さんをゲストに迎え、お届けしました。

笹川友里、真鍋大度さん

◆デジタルアートの未来は?

コロナ禍で、リモート会議やオンライン飲み会時のツールとして「Zoom」を活用するなど、日常生活においてデジタルが身近になっていく一方で、デジタルアートの観点からすると「パフォーマンスは、2020年4月頃から少しずつバーチャルやオンラインになって、最初はそれ自体が新しいので、いろいろな期待もあってみんなやっていたと思うんですけど、実際問題はマネタイズ(収益化)が難しいというのがあった」と実感を語ります。

新たなことを始めるとなると、コストがかかるうえに「そのわりにはリアルスペースでやるときほどチケットは売れないし……展覧会なども、オンラインで観られるとなっても体験が全然違うし、券売も難しいので徐々に減っていきましたね。最近、トレンドになっているNFT(非代替性トークン)やクリプトアートなどの新しいマネタイズのシステムを探している感じ」と話します。

NFTを真鍋流に簡潔に噛み砕くと、「ビットコインは、ブロックチェーンの仕組みを使った通貨に近いものだけど、交換しても価値が変わらない。NFTは、Non-Fungible Tokenの略で、代替ができないもので、よく例に挙げられるのはトレーディングカード。同じ紙、マテリアル(原料、素材)だけど、中身のキャラによって価値が変わる」と説明。

もともとはゲームの世界で流行り始めた仕組みだそうで、「いままでのゲームのキャラやトレーディングカードって、そのシステムのなかでは売買できるけど、システムの外にいくと売買がややこしくなるなど、互換性に問題があった。

NFTの場合は、互換性も保障されているので、売買が簡単にできるのも流行った理由の1つ。ゲームで始まったものがアートに転用され、クリプトアートというジャンルができた。アートは1点もので価値を持つものなので、すごく相性がよかった」と解説します。

これまでデジタルデータは、「コピーやダウンロードもできるし、そういう意味では価値がつきにくかった。ブロックチェーンの仕組みを活用することで価値が保障されるようになった」と真鍋さん。とはいえ、まだまだ問題点もあるようで「仕組みが難しすぎて、買う側も売る側もハードルが高い」と指摘。現在、RhizomatiksではNFTの現状を把握するため、作品ではなくプラットフォームを作って問題点などを検証している最中とのこと。

そんなNFTブームの兆しを感じつつも、「この手のものは先読みするのは難しい。手放しで“NFTがヤバい!”という感じではなくて、こういうブームに対しては、けっこう冷めて見ていますね」と自身の見解を示します。

◆AI 技術の進化でモーションキャプチャも躍進

Rhizomatiksがさまざまなものをクリエイティブしてきたなかで、技術が向上している1つがモーションキャプチャ。以前は特殊なスーツを着用し、カメラをはじめ、さまざまな機材や場所(スタジオ)が必要でしたが、現在は「AI(人工知能)技術の進化で、マーカーなどを付けなくても(動きを)解析できるようになった」と真鍋さん。例えば、万引きをする人の動きのクセをAIが抽出し、防犯に活用されているなど「需要がたくさんあるので、どんどん進化している」と言います。

東京オリンピック招致のプレゼンテーション映像の制作のため、笹川の夫で元フェンシング選手の太田雄貴さんとコラボレーションしたときも「当時(2013年)も、スーツやマーカーを付けてやるところから始めたのですが、そのときに太田選手が『マーカーがなければ本番でも使えるのに』とおっしゃっていて。でも当時の技術では絶対に無理だったんです。

ただ“2020年までにはできそうだな”ってなんとなく感じていました。AIは最初に学習データを作らないといけないので、アルバイト20人体制で試合の映像から剣先の位置のマークをひたすら手作業でつけていって。そのデータをもとにAIが(剣先の動きを)学習して、2019年に完成しました」。

Rhizomatiksの若いエンジニアたちが尽力してくれたそうで、「これは相当すごいことで、完成したときには『本当にできた! ヤバい!』って感動しましたね」と振り返りました。

◆真鍋大度が注目するテクノロジーとは?

現在、真鍋さんが注目しているテクノロジーは、米電気自動車メーカー・テスラ社のイーロン・マスクCEOが立ち上げたスタートアップNeuralink(ニューラリンク)が開発中の、脳に電極を直接埋め込むBMI(Brain Machine Interface)技術。

真鍋さんは「やってみたいですね(笑)」と興味津々の様子。もし実装される日がくるとしたら「最初は“体が動かなくなった人が車いすを動かす”のを目的とする事業から始まって、徐々に日常生活でも(活用できるようになり)、例えば“自分の集中力がいまどのくらいなのか”がわかってQOL(クオリティ オブ ライフ)が向上していくといったことが、もしかしたらできるかも」と妄想します。

例えば、絵を描くアーティストは自然の景色などからインスピレーションを受けて作品を描くケースもありますが、「僕に限って言うと、それだけじゃなくて“新しい技術”を見つけたときに、そこから直接インスピレーションを受けて“これで作品を作ってみたい!”って純粋に思っちゃうんですよね」と真鍋さん。

さらに、「脳に電極を埋め込むことで新しいデータが取れたとすると、もしかすると違う音楽表現ができるんじゃないか。そういうことを普通に発想してしまいますね」とさらりと述べると、笹川は「すごい……常人ではないですね(苦笑)」と目を丸くしていました。

次回5月1日(土)の放送も、お楽しみに!

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聴取期限 2021年5月2日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:DIGITAL VORN Future Pix

放送日時:毎週土曜 20:00~20:30

パーソナリティ:笹川友里

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

2021/4/27 11:40

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