「おざなり」と「なおざり」どっちが正解?わかりにくい日本語の意味

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ぼくたち、ずっとこのことを「おざなり」にしてきたよね。

なんとなく意味は分かりそうですよね。では次の言葉はどうでしょう?

ぼくたち、ずっとこのことを「なおざり」にしてきたよね。

このカップル、どっちの状態が重症か分かりますか?

今日はそんなお話です。

 

間違えやすい日本語その1:苛酷なスケジュールと過酷なスケジュール

苛酷(かこく)

1 むごいこと。非常にきびしいこと。

例 苛酷な刑罰

(広辞苑第6版)

過酷(かこく)

1 なみはずれてむごいこと。きびしすぎること。

例 過酷な試練

(広辞苑第6版)

もともと「かこく」と言えば「過酷」しかありませんでした。それが2010年に「苛」の文字が常用漢字として認められ、新聞や雑誌でOKになりました。そこから本来の「苛酷」と「過酷」を分けようという動きも出てきています。

苛酷と過酷、似たような意味ですが、「苛酷」の方が「無慈悲」の意味を含みます。「苛」に「むごい」という意味があるからです。一方「過酷」は「過」のイメージから「オーバー」「過ぎている」「度を超している」のようなニュアンスが伴います。

ですから、冒頭の、仕事のスケジュールですと「多すぎる」という意味で「過酷」が正解です。例えば、私の仕事が、危険が伴い時々怪我をするだとか、報酬が少ないだとか、過密スケジュールで睡眠もとれないというような場合は「苛酷」です。

 

間違えやすい日本語その2:いぎたない、いじきたない

さあ、これは音が似ているのに、意味が全然違う言葉です。でも、覚えにくい!

いぎたない(寝穢い)

眠りこけていて、なかなか目を覚まさない。寝坊。

いじきたない(意地汚い)

飲食物や金品に対する欲が強い。

同じいやしい感じでも、かなり場面が違いますよね。

いぎたないは、眠りに関することにしか使えませんし、いじきたないは、眠りにはあまり使いません。

つまり、いぎたない寝方とは言いますが、いぎたない食べ方とは言えませんし、意地汚い食べ方とは言いますが、意地汚い寝方とは言えません。

言葉の音がとても似ているので、時々混同してしまう人がいるので要注意です。また「寝穢い(いぎたない)」という言い回しを知らないため、「それは『いじきたない』の言い間違いでは?」と思う人も多いそうです。どちらも気をつけましょう。

 

間違えやすい日本語その3:おざなり、なおざり

漢字で書くと「お座なり」と「等閑」ですが、漢字に直したからといって、すぐに覚えやすくはなりませんね(笑)

ちょっと意味を見ていきましょう。

おざなり

当座をつくろうこと。その場のがれにいい加減に物事をするさま

忙しさに食事をおざなりにする。おざなりにものを言う。

なおざり

あまり注意を払わないさま。いい加減にするさま。おろそか。

被災者をなおざりにする法案。なおざりにしているので意見も言えない。

どうでしょう。少し違いが分かりますか?どちらも「いい加減」という言葉が入っていますが、そのいい加減さに若干違いが見られます。

忙しさに食事をおざなりにする。

おざなりにものを言う。

からも分かるとおり、「おざなり」は、その行為をしているにはしているんです。食事はとっているし、ものを言ってはいる。だけど「いい加減」

例えば、きちんとした食事ではなく、栄養ドリンクで済ませているとか、駅の立ち食いそば屋で済ませているとか、そういう意味の「いい加減」さはあるけれど、食事は取っている。

「そうだね」とか「まあね」とか「いい加減」な物言いではあるけれど、言うには言っている。

これが「おざなり」です。

そして「なおざり」ですが

被災者をなおざりにする法案。

なおざりにしているので意見も言えない。

この例からも分かるとおり、言い換えてみれば「なおざり」は「何の対応もしていない」という状態を表します。

この二つの言葉は、「り」だけが一緒で、他の三語が入れ替わるだけの「音」の微妙な違いですから、どちらか一方をしっかり覚える方が早いと思います。

私は「おざなり」の方を徹底的に覚えてしまうと良いと思います。

 

ぼくたち、ずっとこのことを「おざなり」にしてきたよね。

ぼくたち、ずっとこのことを「なおざり」にしてきたよね。

そう、問題を「おざなり」にしているのなら、きちんと話し合って。そしてけして「なおざり」にはしないでくださいね。

2021/4/26 9:30

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