年収10%アップで転職するコツ。副業で月5万円稼ぎ、FIRE目指す

今、労働に縛られずに自由な生活を夢見る人が増えている。欧米を中心に世界的流行を見せる「FIRE」理論は「節約し、カネを貯め、そのカネを投資に回し、カネにカネを稼いでもらい早期リタイアする」というもの。節約して支出を抑えたら、次は収入アップを考えよう。そのためには勇気を出して転職するのも手だ。

◆年収10%UP!転職&副業で日本版FIREの最短を狙う

 組織人事コンサルタントの粟野友樹氏は、昨今の転職市場についてこう語る。

「リクルートキャリアが’20年8月に発表した『’20年4~6月期転職時の賃金変動状況に関するデータ』によると、前職に比べて賃金が1割以上増加した転職者は全体の27.3%に達しています」

 このコロナ禍で年収1割アップは驚きだがそこにはコツがある。

「転職先選びが肝です。まず、業界選びについては『東洋経済』の年収ランキングが参考になります。上位のコンサル、商社、不動産などの業界を視野に入れ、注目すべきは会社の営業利益。これが高いほど給与交渉の余地ありというわけです。

 職種選びでは、その職種に必要な経験や実績を、同年代に比べて光るレベルで持っていることが給与の決め手になります。また、外資企業の給与は高い一方で、実力主義の側面が強いです」

◆月5万円の稼ぎが見込める副業とは?

 さらに粟野氏は、転職エージェントの活用をすすめる。

「エージェントは企業と求職者の間で給与交渉をしてくれます。たとえ、求職者が希望する年収と企業の評価が見合わず見送りになった場合も、第三者の視点でフィードバックをしてくれます。自分の市場価値がわかるので、転職の意向が薄い人も、一度相談すると新たな発見があるかもしれません」

 とはいえ、転職はハードルが高い。そんな人は副業で収入を増やすのが現実的だ。副業に詳しい小林昌裕氏が、月5万円の稼ぎが見込める副業を教えてくれた。

「在宅作業でいえば、ライティングや動画編集。慣れれば月10件の作業で3万~5万円は確実に稼げます。また、メルカリなどでの不用品販売でも月に数万円は見込めるし、品物を仕入れて売る物販なら月20万円も可能です」

 一方、体ひとつでできるのが代行業だ。家具組み立てやペットの散歩の代行はパソコンやスキルへの投資が不要で、一件5000円前後と比較的単価も高い。

 日本版FIREを実現するには地道な努力が常に必要だ。

◆モノを売って稼ぎ、モノを捨てて固定費を節約

 一日でも早く日本版FIREを実現するために必要な節約と収入増。その2つを実現するのが、実はミニマリズムという生き方だ。このモノを減らし、小さな暮らしを実践するミニマリストの佐々木典士氏に聞いた。

「確かに、僕のツイッターのフォロワーにも、FIREに興味がある人が多いですね。モノを手放せば狭い部屋でも快適に生活ができるし、引っ越しもラク。地方に移住すれば1万円台の賃貸ワンルームだってたくさんあるので、住居費は削れますよね」

 もっとも、今でこそミニマムな生活を送る佐々木氏だが、8年前までは本やCD、メモすら捨てられない、大量のモノを所有する“マキシマリスト”だった。

「当時は部屋も汚く掃除も苦手でしたが、ミニマリズムに出合って感銘を受け、部屋の中の95%のモノを手放したんです。モノがなくなったら掃除も好きになりました。苦手意識があった掃除や家事が楽しくなったのは大きな変化で、自己肯定感が上がりましたね」

◆手放すことを考えてモノを買う

 しかも、モノを減らす過程で得るものは、まだあるという。

「僕は『捨てる』ことが嫌いなので、『手放す』ようにしています。不用なモノは、まずメルカリで売ったり、ジモティーで無料で譲っています。タダなら受け取ってくれる人は意外と多くて、そういう人との間には物語が生まれるから楽しいんです」

 佐々木氏が言う物語とは、人と人との繋がりのことだ。

「SNS経由で軽自動車を無料で譲ったときは、相手の建築中の家にお邪魔したり、実家にあったピアノは、とある福祉施設でまだ現役です。母親の嫁入り道具の化粧台も、近所の夫婦が使ってくれているんです。大切なモノをただゴミ袋に入れて捨ててしまうのは痛みを伴いますが、手放したモノが誰かの役に立っていると思うとほっこりしますね」

 まずは手放すことを考えてモノを買うという佐々木氏。自分にとって本当に大切なものは何かがわかる人が真のミニマリストなのだろう。

【組織人事コンサルタント・粟野友樹氏】

組織人事コンサルティング「Seguros」代表。約500人の転職を成功に導いた実績を誇る。複数企業での採用人事経験をもとに個人の転職や企業の採用を支援

【副業支援コンサルタント・小林昌裕氏】

副業アカデミー代表。’09年から20あまりの副業を実践。『サラリーマン副業2.0人生が好転する「新しい稼ぎ方」』(PHPビジネス新書)など著書多数

【ミニマリスト・佐々木典士氏】

作家、編集者。モノだらけの生活を送っていたが、34歳のときに覚醒。書著に『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』『ぼくたちは習慣で、できている。』など

<取材・文/真島加代・沼澤典史(清談社)>

―[セミリタイアする技術]―

2021/4/26 8:53

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