コンビニバイトができる限界年齢。実際に働く人のリアルな声
「老後には2000万円の貯蓄が必要」。2年前に問題になり、今なお尾を引くテーマだが、現実的には「少しでも長く働こう」と考えている人も多いだろう。そのとき、コンビニは高齢労働者の受け皿となり得るのか? 実際にコンビニで働く人の、リアルな声を集めてみた。
◆早朝勤務が向いている?シニアのコンビニバイト事情
今月から、65~70歳までの高年齢者就業機会を確保するため、就労環境の整備を目的として改正された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)が施行された。企業には「定年を70歳まで引き上げる」「70歳までの継続雇用制度の導入」など、いずれかの措置を講ずる努力義務が課される。
しかし、コロナ禍で経費削減に突き進む企業は多く、シニア雇用を生み出すのが難しいのも実情だ。そのなかで、これまで常に“人材不足″であったコンビニは高齢労働者たちの受け皿になりうるのか。実際にコンビニで働く60歳以上の方々から現場のリアルな話を聞いて、働ける限界年齢を探った。
「59歳のときから週5日、フルタイムの8~17時勤務で働いています。月給は18万円ほど。立ち仕事はきついですけど、以前は工場で8時間働いたあと、コンビニで3~4時間レジ打ちしていたので、そのときに比べたら大丈夫です」
こう語ってくれたのは佐藤かおりさん(仮名・66歳)。約20年前、家計が厳しくなったときに、レジ打ちからコンビニバイトを始めた。
「ダブルワーク可能な仕事を探したときに見つけたのがきっかけですね。未だに家計は厳しいのでこれからも働き続けるつもりですが、若いときにコンビニの仕事を覚えといてよかったです。今から全部覚えるのは、私には少し大変だったと思うので……」
◆すぐに辞めてしまうシニアは案外多い
佐藤さんが話すように、いまやコンビニ業務は多岐にわたり、公共料金の収納代行から宅配の受付、品出し、フライヤー(揚げ物商品)の管理、清掃など、マルチタスクは当たり前。
コンビニジャーナリストの渡辺広明氏は「60歳以上のシニアにとって、コンビニ業務のハードルはかなり高い」と語る。
「始めても『求められるものが多すぎて覚えられない』と、すぐに辞めてしまうシニアの方は案外多いとオーナーさんから聞きますね。コンビニ店員にきつくあたる客も多いので、サラリーマンで勤め上げた人ほど、たまに浴びる罵詈雑言に耐えられないことがあるようです。レジ打ちだけ、品出しだけとか、単一業務からゆっくり覚えられるようにしているコンビニでは、シニアの方も続いている印象です」
◆「定年後も社会との接点を持ち続けたい」
仕事に適正はあるが、同時にチャレンジ精神も大切だ。今年で63歳になる安西邦夫さん(仮名)は、コンビニ未経験ながら昨年の10月からアルバイトを始めた。
「本職の出勤日数が60歳を過ぎてから月18日だったのが、コロナ禍で10日まで減ってしまって。時間を持て余してバイトを探したのがきっかけでした。会社は65歳定年で、最長67歳まで勤務可能なのですが、定年になってからバイトを探しても遅いと思って。今は週3日、朝6時から本職が始まる11時まで働いています」
安西さんの本業は大手輸送関係。30年以上勤め、一般的にはエリートと呼ばれるサラリーマンだが、コンビニでのアルバイトは「すべてが新鮮」だそう。
「本職では30年間以上、同じ業務を同じ仲間と続けています。一方で、コンビニではお客様と、入れ替わりが激しくさまざまなバックグラウンドを持った同僚という、社会との接点がある。同僚は上が76歳、下は20歳と幅広いんです。ものすごくいい刺激がありますね。担当は朝の時間帯。お客さんがとても急いでいて、接客の緊張感もハンパないんですよ(笑)」
はじめのうちはマニュアルが覚えられず、「もたもたして客に怒鳴られることもあった」と安西さん。メモを見返しながらなんとか1か月で接客と品出しを覚えた。それでも、「瞬間的に忙しければ忙しいほど燃えます」と明るく語る。
「元来、じっとしているのが苦手な性格で、動き続けていたいんですよ。本業の前に働いているから休日の解放感も増して、体への負担は感じないですね。定年後も、いろんな形で社会との接点を持ち続けたいと考えています」
◆慢性的な肩こりが治ったという声も
大手コンビニ3社はいずれも、HP上でアクティブシニアの積極採用を謳っている。ローソン広報部に実情を聞くと、「60歳以上のパート・アルバイトの方は約2万人で、総従業員数のおよそ1割を占めています。ローソンも客層が拡大し、60歳以上のお客様の比率が約2割となるなかで、会話しやすいシニアの方に働いていただくのは自然な流れです」とのこと。
「遅刻が少なく、早朝勤務も苦にせず明るく働いてくださる傾向がある」そうで、たしかに朝早く目覚めてしまうシニアには向いているかもしれない。
また、体力的に厳しい印象のあるコンビニバイトで「健康になった」と語るのは、コンビニ歴5年の清水恵子さん(仮名・63歳)だ。
「今も続けている本業がパソコン作業なので、ほどよく体を動かすコンビニで働き始めたら、慢性的な肩こりが治ったんですよ。電子マネーやスマホ決済で複雑怪奇なレジ仕事も、最初は『こんなの無理!』と思いましたが、覚えてしまった今では『私はこんなことができる』という優越感を得ています。ボケ防止にもなる気がして、友人にも勧めていますね」
肉体労働と捉えるか、軽い運動と捉えるかで意欲も異なるのだろう。清水さんは「うちのコンビニは定年が75歳までなので、それまで続けたい」とモチベーションも高い。
◆接客業と自分の性格との相性は要確認
一方で、「60歳を過ぎたら続けたくない」という人ももちろんいる。コンビニ歴25年以上の田中仁さん(仮名・55歳)だ。
「お客さんの態度の悪さに、年々耐えられなくなってきて。店員を完全に見下している人が、高齢者に増えた気がするんですよね。60歳を過ぎてからも接客で嫌な思いをし続けたくないなあと……」
老後にストレスは天敵なので、接客業と自分の性格との相性を確かめてみるのは必要だろう。
また、コンビニも機械化が進み、「セブンイレブンでは今年8月までに全店舗でセミセルフレジが導入される予定です」と前出の渡辺氏。業務がよりシンプルになれば、75歳とは言わず、80歳、90歳と、健康である限り働き続けられるコンビニが誕生するかもしれない。
【コンビニジャーナリスト・渡辺広明氏】
コンビニの店長、バイヤー、ポーラ・TBCのマーケターとしての経験を生かして活躍。現在は多数の企業にコンサルとして参画。現在は多数の企業にコンサルとして参画。流通アナリストとしての顔も持つ
<取材・文・撮影/仲田舞衣 山野祐介 ツマミ具依 稲垣成一郎 行安一真(本誌)>
昭和.jp 《レトロ好き善良な不審者》
5/2 21:02
AIとかロボットが実用化されてからゆっくり未来のバイト探ししてもいいのかも?(笑)
トリトン
4/27 10:05
甥っ子が高校の時セブンイレブンでバイトしてたけどかなりやることが多くて来るのか愚痴こぼしてましたね、二度とやらないとも。
陸耳!?
4/27 9:53
コンビニのバイトって絶対、時給に仕事が見合って無いと思う。深夜なら楽かも知れないが、やることが凄く多く、尚且つ多岐に渡り過ぎている。