『呪術廻戦』伏黒恵がエリートで優秀なのに、イマイチ活躍できない理由

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 前回の記事では『週刊少年ジャンプ』で好評連載中の『呪術廻戦』の中から、人気キャラクターの五条悟(ごじょうさとる)が「営業マンとしても優秀だと考えられる理由」を紹介しました。今回も同じ作品をテーマに、「伏黒恵(ふしぐろめぐみ)がイマイチ活躍できない理由」についてお話しします。

◆実力があるのに発揮し切れないのはなぜ?

 伏黒恵は主人公・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)の同級生です。複雑な出自を抱えているため名字は異なりますが、呪術界のエリート家系である御三家のひとつ「禪院家(ぜんいんけ)」の血筋。

 強力な式神術「十種影法術(とくさのかげぼうじゅつ)」の使い手である彼は、都立呪術高専の1年生ながら「二級呪術師」という実力者です。

 しかし、この伏黒恵が活躍するシーンはたびたび登場していますが、ほかのキャラクターが魅力的に活躍しているのに比べて、どうも彼はその力をまだ十分に使いこなせてはいないようです。

 作中でも敵であるはずの両面宿儺には「宝の持ち腐れだな」と小馬鹿にされてしまい、担任の五条悟には「本気の出し方を知らない(できていない)」と指摘されていました。

 伏黒恵のように家柄や才能に恵まれていても、力を発揮できない人は私達の現実世界にも存在しますよね。

◆「心の呪い」が才能の発揮を拒む

 ちなみに才能というものは、「ある個人の素質や訓練によって発揮される、物事をなしとげる力」とありますが、もともと「才」という字は「ざえ」と読み石や木などの素材をさす言葉でした。

 また「能」の字は成り立ちに諸説ありますが、「技能」「可能」のように、なにかができることを指します。

 つまり「才能」とは「素材の持っている力を引き出す」いう意味があるのです。

 しかし、どんなに素晴らしい才能を持っていても、実力を発揮できなければ意味がありません。そして、困ったことにこの才能を発揮するのを止めてしまうものがあります。

 それが「リミティング・ビリーフ(制限的信念)」といわれるものです。『呪術廻戦』で例えるなら、「心の呪い」といってもいいかもしれません。

◆無意識かつネガティブな思い込みこそ厄介

 リミティング・ビリーフとは才能を発揮させない思い込み(信念)のことですが、具体的には「できない」「やれない」「無理」といったネガティブな思い込みや固定概念のことを指します。

 この信念には意識的なものから無意識的なものまであります。意識的な信念は、「私は○○ができないと思っている」ということを本人もわかっています。そのため、努力や工夫で乗り越えることができます。

 一方、厄介なのが無意識的なほうで、この場合、「できないと思い込んでいること」に「本人が気づいていない状態」となります。

 なので「なんでいつも私はこんなヘマをするのだろう?」といった「本人もわからず力が発揮できない状態」となるのです。

◆伏黒恵はなぜ逃げてしまったのか?

 それでは伏黒恵の場合、何が起こっているのでしょうか? 

 敵である両面宿儺は、伏黒恵の才能なら余裕で勝てるはずの相手から逃げだしたことに疑問を持ち、「オマエ、あの時なぜ逃げた?」と尋ねます。しかし、言われた本人はなぜそんな質問をされるのかが理解できず、「?」となってしまいます。

 内心は「いやいや、あんな相手に勝てるわけがないじゃん、逃げるに決まってるだろ!」とでも言いたいところでしょう。

 そこで、両面宿儺に言われてしまったセリフが「宝の持ち腐れだな」となるわけです。

◆「心のブレーキ」がかかり続ける伏黒恵

 伏黒恵は特級呪霊との戦いで追い詰められたとき、五条悟先生のアドバイスをヒントに限界を超えた未来の自分をイメージすることで、強力な術式である領域展開「嵌合暗翳庭」(かんごうあんえいてい)を発動させ、勝利しました。

 しかし、まだ術式が安定しておらず、それは不安定な自己イメージ、つまり、まだリミティング・ビリーフがかかっている状態だといえます。

 あなたも「●●してはいけない」と、自分の心にブレーキをかけていることはありませんか?

 成功してはいけない。能力がない。十分ではない。自分であってはいけない。このようなリミティング・ビリーフが無意識的にかかったまま努力をしても、なかなか成果が上がることはありません。

◆「ナンバー2のポジション」に安住していた過去

 かくいう私も以前はこのリミティング・ビリーフに苦しめられて、なかなか自分の才能を発揮せずに困っていました。

「頭が悪い」「成功してはいけない」や「自分らしくあってはいけない」「価値が無い」などたくさん抱えていたのです。なかでも「リーダーにはなれない」というものがとても特徴的で、どんな集まりでも必ず「ナンバー2のポジション」で立ち回っていることを良しとしていました。

 しかし、ある勉強会でいつものように「私は副代表を務めさせていただきます」と宣言をしたところ、先輩の経営者から「その副なんとかっていうやつ、気持ち悪いから止めてくれない!? 俺、一番キライなんだよそういう責任取らないヤツ」と怒られてしまった経験があります。

◆「リミティング・ビリーフ」が可能性を損なう

 言われたそのときはキョトンとして「何を言ってるんだろう? この人は?」と、まさに伏黒恵の状態でした。しかし、その後、裏を返せば、「お前は代表をやるべき人間なのに、何を逃げているんだ」と言われていたことに気がついたのです。

 その後、「私には能力がない」というリミティング・ビリーフを外し、今では会社の代表取締役を務めて、1000人の会員さんが集まるオンライン勉強会を行えるようになりましたが、私のように苦手だと思っていたものが、実は逆に強みであることはよくあることです。

 もし、あなたも自分のリミティング・ビリーフが邪魔し、「領域展開」ができずにいるのなら、とてももったいないことになると思います。

◆リミッターを外すためにできることは?

 そこで、今回はリミティング・ビリーフを打ち破るための呪文をご紹介したいと思います。「それは本当かな?」「もし、できるとしたらどうなるのだろう?」と唱えてみましょう。

 これがどうしてリミティング・ビリーフを外す効果があるのかといいますと、リミティング・ビリーフとは「制限的信念」とその字のとおり、「制限を信じて念じている状態」を指します。

「それは本当かな?」と疑問をぶつけることで、信じていることに対して少しゆらぎが出てきます。

 さらに「もし、できるとしたらどうなるのだろう?」と尋ねることで、「未来の才能を発揮している自分」を脳内にイメージすることになります。

◆「自分ができている未来」を想像する

 伏黒恵が領域展開をする際、自分のできている未来のイメージを使ったのと同様の効果になるのです。

 たとえば、「私は人前でうまく話せない」に対して、「それは本当かな?」と質問します。

 さらに「もし人前でうまく話せるとしたらどうなるだろう?」と追撃の質問。

 実はこの質問の狙いは意識的ではなく、無意識的なほうへの働きかけなので、意識的な答えが「できない」「わからない」といった否定的なものであっても問題ありません。

◆なぜポジティブな質問をするべきなのか?

 私の先生である、神経意味論言語学のクリスティーナ・ホール博士によりますと、私たちは一度質問を受けると、その後、毎秒30個ほど潜在意識が質問の答えを24時間探し続けるそうです。

 この作用により時間をあけて、何度も繰り返しこの質問をすることで、長年積み重なってきた信念であっても崩れていくのです。逆にいうと、ネガティブな質問をしてしまうと、呪いのように縛り付けてしまうわけです。
 
 たとえば「なんで、お前はそんなにできないんだ」などと質問をすると、「できない答え」を探して強化されてしまいます。

 ぜひポジティブなことを質問するようにしましょう。

◆「客観的な目線」を有効活用する

 また、無意識的なリミティング・ビリーフは、無意識というだけあって、その存在を自分で発見するのが難しいという問題があります。

 なので、日記をつけるなどして、客観的に見るようにするのもいい方法です。

 最も早いのは専門家の力を借りたり、勉強会を利用したりすることで、第三者の目線からチェックをしてもらうのがいいでしょう。

◆伏黒恵の「領域展開」から学べること

 伏黒恵は強力な敵との戦い最中、自分のリミッターを不完全ながらも外し、領域展開を発動することができました。

 これまでの自分では決して超えることのできない壁にぶち当たった瞬間こそ、ずっと抱えていた「心のブレーキ」を解除する好機なのです。

 実力があっても十分に発揮できない原因は、意外に身近なところにあるかもしれません。

<文/大森健巳>

【大森健巳】
ワールドクラスパートナーズ株式会社代表取締役。日本交渉協会特別顧問。短期間に変化の起きるビジネススキルの向上を目指すセミナーや講演会を行っている

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