坂上忍は霜降り明星になれるのか? テレビとYouTubeを両立する難しさと可能性

 貪欲だな、そう思った。あの坂上忍がYouTubeを始めたのだ。

 坂上といえば、令和のテレビの「帝王」と言っても過言ではない。3時間の生放送帯番組『バイキングMORE』でMCを務め、ゴールデンタイムでも冠番組を持つ。まるでかつての帝王・みのもんたのようだ。お笑い芸人がバラエティのMCを席巻する中、子役出身俳優という独特のキャリアが異彩を放っている。

 そんな超売れっ子の坂上が、どんなYouTubeを始めたのか?チャンネル名は『坂上家のチャンネル』。坂上と彼の家族でも愛犬愛猫たちの日常を切り取るYouTubeだ。(たまに趣味のボートレース生配信も行っているが)

 目玉はなんと言っても愛くるしい動物たち。そして、動物たちのために設計された坂上の豪邸だ。一番再生されている動画は96万再生の『【坂上家の18兄弟さんを全員紹介!】さらに、新たな兄弟も初出し!』という動画。タイトルの通り、坂上がファミリーを丁寧に紹介してくれるので、そのかわいさを存分に堪能できる。

 坂上のチャンネルは今年3月にスタートし、チャンネル登録者数は4月21日現在で12.4万人。これまでに11本の動画が公開されている。この数字を見て、違和感がないだろうか?「なんか思ったより登録者数が少ないような…」と思った方もいることだろう。たしかに、坂上の知名度とテレビでも人気だった愛犬愛猫のことを考えると、少し物足りない気もする。その理由を考察していこう。

 最大の理由は、テレビでの露出度にある。まずは下記を見てほしい。チャンネル登録者数100万人を超えた芸能人のリストだ。今回は坂上と同じバラエティ系のタレントに限定して比較してみる。

1位:中田敦彦 377万人

2位:メンタリストDaiGo 236万人

3位:江頭2:50 233万人

4位:カジサック 221万人

5位:手越祐也 170万人

6位:石橋貴明 159万人

7位:宮迫博之 140万人

8位:霜降り明星 130万人

9位:チョコレートプラネット 117万人

10位:ジャルジャル 115万人

 そうそうたるメンバー。人気も知名度も申し分ない。だが、上位7名のタレントには共通点がある。テレビのレギュラー番組がないのだ。

 かつてはテレビの王者だった石橋貴明も、今はなんとレギュラー番組ゼロ。1位から4位までは自らテレビに出なくなった組。手越祐也と宮迫博之は事務所といろいろあってテレビには出られない。つまり芸能人YouTuber神7は、今やテレビで見ることのできないメンバーなのだ。これは偶然ではないだろう。テレビに出ていないタレントはYouTubeで活躍しやすい。YouTubeでしか見られないという希少性がチャンネル登録に結びつく。

 そして、もうひとつの要因は、YouTubeのカウンター文化だ。そもそもYouTubeの視聴者は、「アンチテレビ」な人が多かった。だから以前は、腰かけでYouTubeをやっているような芸能人に拒否反応があった。しかし、神7は全員軸足をYouTubeに移したメンバー。テレビという後ろ盾がないからこそ、本気度を感じ、視聴者は応援したくなる。

 そうなると、逆に際立ってくるのが、霜降り明星やチョコプラの存在だ。

 2組はテレビで見ない日はないと言ってもいいほど出演している。にもかかわらずYouTubeでも100万人を突破した稀有な例だ。あれだけテレビに出ながらYouTubeの撮影もして……というのは体力的にも精神的にも大変だし、供給過多で飽きられるというリスクもある。それでも見事に両立し、どちらでも結果を出すのだからすごい。

 坂上のチャンネルとは内容などが大きく違うものの、この2組はある意味、目指すべきベンチマークとも言える。テレビに多数出演しながらYouTubeでファンを獲得するにはどうすれば良いのか? しかも坂上のファン層は同年代より上が多い。YouTubeのメイン視聴者層とは明らかに異なる。

 坂上がYouTubeでも結果を残した時こそが、YouTubeが完全に大衆化した時と言えるかもしれない。これからの伸びしろに注目したい。

2021/4/24 19:00

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