ミニトマトとバジルが鉄板!ダイアモンドユカイと学ぶ「家庭菜園」ガイド

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 1年以上も続くコロナ禍で、人々のライフスタイルが激変。テレワークや夜の街の営業短縮で、自宅で過ごす時間が増えた。ならば、食卓を豊かにし、家計の足しになる、家庭菜園をやるのはどうだろう?

■手軽にできるカンタン野菜栽培

 土いじりは男の趣味の王道。今回はロックミュージシャンのダイアモンドユカイ氏と、神奈川県綾瀬市の収穫もできる直売所『旬菜 みのりファーム』を訪れ、失敗しない家庭菜園のコツを取材してきた。

 NHK Eテレ『趣味の園芸 野菜の時間』でもおなじみのユカイ氏が、その楽しさをこう語る。

「自分で作った野菜は、おいしいよね。市販の野菜と味が全然違うんだよ。完全無農薬や有機農法いわゆるオーガニックなんかにも気軽にチャレンジできる。農家と違って、栽培する量が少ないから、一つ一つを、しっかり面倒見られるからね。オーガニック野菜とかはスーパーでも値段が高いじゃない? 自分で作れば、格安で食べられるよ。おいしいし、安いしで、いいことずくめ(笑)」

 では、家庭菜園を始めるには、何を用意すればいいのだろうか。

「まずは植物を育てるプランターは必須です。野菜などは栄養を吸収するために広く根を張るので、そこそこ大きい物がいいでしょう。あとはスコップ、園芸バサミがあれば大丈夫」(ホームセンター店員)

 それらに加えて、ユカイ氏イチ押しの道具は、虫除けネットだという。家庭菜園の天敵は、やはり虫。せっかく丹精込めて育てても虫に食べられては、元も子もないからだ。

「野菜に虫がつくのはおいしい証しなんだよね。でも、葉っぱが虫食い穴だらけじゃ、食べられない。害虫駆除の農薬を使ってもいいけど、できれば、あまり使いたくないね。虫除けネットを被せておけば、アブラムシも湧かないし、イモ虫にも葉を食べられないよ」(前同)

●草削りやレーキを

 他にも便利なグッズを示してくれた(プランター、ジョウロ、レーキ、スコップ、支柱、虫除けネット、包丁、クワ、草削り、園芸バサミ)が、草削りやレーキなどについては説明が必要だろう。今回訪れた『みのりファーム』代表の比留川実氏が、解説してくれた。

「草削りは、地面を削るようにして草を刈る道具です。レーキは畝をならす道具です。刈った草を集めるときにも便利ですよ」

 さらに続けてこう話す。

「基本の道具があれば十分です。必要になってから買い足していくのがいいと思います」

 ホームセンターの中には、初心者向けの道具セットなどを売っている店もある。まずはそこから始めよう。ちなみに、上級者向けにはこんな便利グッズも。

「省スペースで使える小型ビニールハウスもあります。野菜ごとプランター全体を覆うための小さなハウスも売られています」(前同)

 家にある意外なものも、家庭菜園に使える。

「卵のケースは底部にキリなどで穴を開ければ、育苗トレイの代用になります。ケースのフタも水受けになりますよ。ペットボトルや発泡スチロールの箱なども、底部に穴をあければプランターとして使えます」(同)

■初心者はこの植物を植えるべし

 家庭菜園を始める際、まず悩むのは野菜選びだ。

「初めてならハーブ系がオススメ。丈夫だし、栽培もカンタン。一度植えたら毎年茂る多年草だから、重宝するよ」(前出のユカイ氏)

 ユカイ氏が最初にプランター栽培したのは、バジルだったという。

「ちょっと植えただけで、すごい量になっちゃった。パスタに使ったら、いい香りでね。それで家庭菜園の楽しさを知った」(前同)

 まずは簡単で扱いやすい野菜にチャレンジして、収穫の楽しさを体験するのがいいと言う。他に、こんな野菜を薦めてくれた。

「葉ネギやシソ、リーフレタス、ニラなんかは摘んでも、すぐに生えるから、料理で、ちょっと使いたいときには重宝する。ハーブはウォッカやジンに入れて香りをつけたりと、家飲みにも活躍するよ」(同)

 確かに、葉ものもいいが、腹にたまる野菜もできるなら作ってみたい。初心者が始めやすい野菜は?

「春は夏野菜を植えるタイミングです。初めて植えるならミニトマトがオススメ。普通のトマトは手間がかかりますが、ミニトマトは丈夫なので、気軽に栽培できますよ」(前出の比留川氏)

 その他にもピーマンやキュウリ、ナスなども、比較的簡単に育てることができる。晩酌のアテにエダマメもいい。

「野菜はタネではなくて、苗から育てるのが手軽だからオススメだね。野菜の苗はホームセンターで売っているよ」(ユカイ氏)

●最初はプランターで栽培を

 次はいよいよ栽培だが、ここで比留川氏が意外なアドバイスをする。

「庭があれば、そこを使ってもいいですけど、実は、最初はプランターで栽培するほうがいいんです」

 なぜか?

「庭にある土は栄養がなかったり、植物に良くない成分が入っていることがあるんです。庭に肥料や新しい土を入れて改良するのは大変ですが、プランターの中で土を作ると、失敗しないんですね」(前同)

 土はホームセンターで売っている「培養土」を使えばいいと言う。

「初めのうちは培養土だけで十分です。それでも、しっかり育ちます。慣れてきたら、それぞれの野菜に合わせた肥料や腐葉土などを入れるといいですね」(同)

 なお、水やりの際に土や水があふれてしまうので、土はプランターの容積の、だいたい7割くらいに収めるのがいいそうだ。

 毎日の水やりにもポイントがある。

「水は入れすぎるぐらいが、ちょうどいい。プランターの土全体に水が行き渡らないとダメなんだよ」(ユカイ氏)

 水やりのタイミングは?

「朝に1回、たっぷりやるだけ。昼や夜に水をやると、茎だけが伸びて、健康的に育たない。ついつい何度も水をやっちゃう人がいるけど、根腐れしちゃう。与えすぎるとダメになるのは、“愛”と一緒だよね(笑)」(前同)

 そして毎日、野菜の葉などを確認することも重要だ。

「毎日、野菜を見ていれば、葉の裏についた虫の卵にも気づいて取れる。野菜も子育ても一緒。目を配ると応えてくれるんだ」(同)

 毎日の観察で、葉の色の変化にも気づくという。

「葉が黄色っぽくなっていたら、栄養を欲しがっている証拠です。ここで肥料をやりましょう。逆に青っぽくなったら、肥料をやりすぎています。そういうときは、ふだんよりも水を多めに与えて、肥料を薄めてください」(比留川氏)

 育てる環境によって、野菜の出来も変わってくる。

「たとえば、トマトならハウス栽培と露地栽培で味や食感が変わります。ハウス栽培だと、紫外線の影響が少ないので皮が薄く口当たりは良いですが、栄養価が低いです。逆に露地栽培は日光を直接受けるので、皮が厚くなりますが、栄養価は高いんです」(同)

 厳しい環境で育てられたほうが、味わいが深く強くなるというわけだ。

 さて、読者の中には、ベランダにプランターを置いて栽培を楽しもうという人もいるだろう。その際の注意点を、自らもベランダに家庭菜園をしつらえたというフードコーディネーターが教えてくれた。

「ベランダにエアコンの室外機を設置している人も多いと思いますが、プランターを、その前に置くのはNG。乾燥した風が強く吹きつけ、野菜が痛みます」

 日が差さない場所は、野菜栽培には向かないが、「日陰を好むシソやショウガ、ミツバなどなら、育てられますよ」(前同)

 集合住宅の場合は、水漏れや、ベランダの排水溝に土や葉っぱが詰まらないような工夫など、近所への配慮もお忘れなく。避難器具への動線を塞がないなどのルールは守ろう。

■広い畑で本格的な菜園を

 プランターでの栽培に慣れてきたら、シェア農園などを利用してもいいだろう。本格的に、いろんな野菜を作ることができる。

「貸し農園は都会のど真ん中を含め、日本中どこにでもあります。個人や企業、農協などが運営するものなどさまざまですが、地方自治体が運営する市民農園は、貸し出し面積が広くて利用料が安いのがポイント。貸し農園はアドバイザーがついてくれる場所もありますよ」(農業経営アドバイザー)

 自分で畑を作るのは、さすがにハードルが高いと感じる人もいるだろうが、「農家の人が運営している体験農園なら、野菜の収穫や植えつけなど、いわば”いいとこ取り”で楽しめます」(前同)

 体験農園は種や苗の他、農具なども用意され、毎日、世話をする必要もない。自分のライフスタイルに合わせて農業にトライできる。ちなみに、この体験農園のジャンルには、イチゴ狩りなども含まれるという。

「まず春に入園申し込みをして、種まきや苗植えを体験します。そして、夏には収穫体験。その間の野菜の管理は、プロの農家がやってくれます。同じことを、秋冬野菜でもやっていくんです」(同)

 せっかく農園を借りるなら、庭やベランダなどの空間ではなかなかできない栽培法を試してみよう。たとえば「マルチ」。野菜の根元を黒いシートで覆う方法だ。

「マルチの一番のメリットは、地面に直射日光が当たらないこと。これで雑草が生えなくなる。さらに乾燥も防げるし、病気の予防にもなるから、トライしてもらいたいね」(ユカイ氏)

 プランターと畑では野菜の育ち方も変わってくる。

「プランターは土の量に制約があるので、根が張らず、大きく育ちません。その点、農園だとグングン大きく育ちますよ」(比留川氏)

●コンパニオンプランツも実践

 同時に、何種類もの野菜を育てることで起こる相乗効果もある。

「いろいろな野菜を並行して栽培することで、それぞれの野菜の利点をうまく利用する“コンパニオンプランツ”(文末の表を参照)という栽培法も実践できます。逆に悪い影響を及ぼす組み合わせもあるので、よく確認してから試してみましょう」(前出の農業経営アドバイザー)

 なお、農園を借りれば、何でも作れるわけではないので注意しよう。

「隣の区画の人の迷惑になるので、ツタが伸びる野菜は禁止のところが多いです。また、管理の関係から果樹栽培もできません」(前同)

 最後にユカイ氏が、こうシメてくれた。

「男って細かい作業が好きだよね。さらに力持ちなんだから、農業にはもってこいだよ。自分の生活に密着したモノを作っていくと、日常の楽しみが増すよね」

 自分で育てた採れたて野菜で料理する。これほどのぜいたくはないだろう。

■農薬を使わない栽培法「コンパニオンプランツ」

 コンパニオンプランツとは、2種類以上の植物を組み合わせて植えることで、それぞれの植物の欠点を補ったり、生育を促進する農法だ。農薬などを使わない自然農法として注目を集めている。たとえば、ニラやニンニク、ネギは、トマトやナスなどと一緒に植えることで、苗が腐敗する「立枯病」の予防やアブラムシなどの害虫が寄ってこなくなる効果がある。

ナス・ピーマン+インゲン 互いの生育を促進

エダマメ+サツマイモ・ニンジン サツマイモ・ニンジンの生育を促進

エダマメ+トウモロコシ 害虫を防ぎ、互いの生育を促進

ウリ科(キュウリなど)+長ネギ 病害、害虫を防ぐ

タマネギ+カモミール 害虫を防ぐ

トマト・ナス+ニラ 病害を防ぎ、生育を促進

トマト・ナス・ピーマン+バジル 互いの生育を促進

ブロッコリー+サルビア 害虫を防ぐ

レタス+アブラナ科(ブロッコリーなど)互いの害虫を防ぐ

●ダイアモンドユカイ 1962年、埼玉県出身。ロックバンド『RED WARRIORS』のボーカル。NHKEテレ『趣味の園芸 やさいの時間』に不定期で出演している。

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  • 4/21 18:30
  • 日刊大衆

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