坂本龍一、Perfume…さまざまなコラボで話題のRhizomatiks・真鍋大度が語る15年の歩み

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの新番組「DIGITAL VORN Future Pix」。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。4月17日(土)の放送は、Rhizomatiks(ライゾマティクス)代表の真鍋大度(まなべ・だいと)さんをゲストに迎え、お届けしました。

(左から)笹川友里、真鍋大度さん

◆クリエイティブ集団、Rhizomatiks とは?

真鍋さんは、アーティスト、インタラクションデザイナー、プログラマー、さらにはDJとして東京を拠点に活動。2006年に、デザイン、建築、数学、工学などの多才なバックグラウンドを持つメンバーからなるクリエイティブ集団、Rhizomatiksを設立。プログラミングやコンピュータそのものが持つ本質的な面白さや、アナログとデジタル、リアルとバーチャルの関係性や境界線に着目し、デザイン、アート、エンターテインメントの領域で、マルチに活動しています。

Rhizomatiksの設立から15年という年月が経ちましたが、「立ち上げ当初は、とにかくツールがなかった」と真鍋さん。現在であれば、映像や音楽のソフトとロボットのコントロールシステムと通信し、音を解析してロボットを動かすことは1日あれば容易だそうですが、「当時はその仕組み自体がないし、映像、音楽、ロボットのそれぞれも洗練されていなかったので、いまと比べると開発に10倍以上時間がかかった」と言います。

そして、この15年でテクノロジーが進化したことで、「(そうしたことが)簡単になり、ビジネスにもなったし、市民権を得たなという感じ」と実感を語ります。

立ち上げ当初は、オープンソースのフリーソフトやフリーのプログラムを活用して開発していたそうですが、「最近は有料のソフトがけっこうあるので、自分で1から(ソースコードを)書かなくても、それを買えばある程度のことができるようになった」と変化を説明。

現在は大所帯となったRhizomatiksですが、最初は数人でのスタートでした。CG(コンピュータ・グラフィクス)では、絵で言うところのスケッチのような「モデリング」と呼ばれる工程がありますが、「僕らはモデリングの作業ではなくて、データを入力し、それを映像や音に変換するということをやっていたんです。2000年代初めの頃は、お客さんの人の動きを解析して映像に変換していたけど、入力するデータのクオリティが“もっと高いほうがいいんじゃないか”ということで、ダンサーやアスリートとのプロジェクトをやり始めた」と振り返ります。

以降、Perfumeをはじめ、笹川の夫で元フェンシング選手の太田雄貴さん、ミュージシャンの坂本龍一さん、狂言師の野村萬斎さんなど、さまざまなジャンルのプロフェッショナルとコラボレーションしてきたRhizomatiks。真鍋さんは、「だんだんとデータのクオリティを求めていったのが、この15年間ではありましたね」と回顧します。

◆真鍋大度にとってのターニングポイント

真鍋さんが、自身のターニングポイントとして挙げたのは、「プラットフォームやインターネットのサービスなどの変化によって、自分たちの活動が評価されたこと」。とりわけ、YouTubeの誕生が「一番大きかった」と言います。

というのも、彼の名を広く知らしめたのは、2008年にYouTubeに投稿した動画「electric stimulus to face」でした。ですが、2006年に動画投稿を始めるまでは「自分たちの活動を知ってもらおうと思っても、なかなか知ってもらえなかった。だけど、YouTubeが僕らにとって有利に働いて、すごくいいマッチングをした。もちろん、いろいろな人との出会いもありますね。一つひとつのコラボレーションすべてがそうですね」と語ります。

Rhizomatiks がPerfumeのステージ演出技術を手がけるようになったのは、2010年の東京ドーム公演から。それ以前に、U2やMassive Attackなど世界的なアーティストの演出を手がけるUVA(United Visual Artists)と仕事をする機会があったそうで、そのときの経験から学んだのは「そのアーティストが持っている世界観と合わないと、どんなに面白い映像を作ってもうまく世に出ていかないし、いい作品にならない」ということ。

そして、Rhizomatiksと一緒に表現できる日本のアーティストは誰か、と考えたときに「僕はPerfumeしかいないと思った」と真鍋さん。当時、Rhizomatiksがシアターでやっていたことを「Perfumeのライブと融合させたらすごいんじゃないかと思って、いろいろとプレゼンしましたね」と話します。

◆今後表現していきたいこと

今後、一番表現したいものを問われた真鍋さんは「僕はもともと音楽が好きでこういう活動を始めたこともあって、音楽が中心にあるというか、モチベーションの1つになっています。音と映像の関係について、そして、音と(ダンスなどの)身体表現との関係性に興味があるので、リアルタイムで音を解析して映像を生成したり、AI(人工知能)が自動で音楽を作ったり、そうした進化を見続けてキャッチアップしていきたい」と声を大にします。

また、コロナ禍でさまざまなことがオンライン化を余儀なくされていますが、「絶対にリアルがいい」と真鍋さん。「そもそも音楽は体で感じるもの。ヘッドフォンで聴くようになると、鼓膜だけでしか(感じられない)。体で感じる機会が全然なくなったのは悲しいので、早く戻ってほしい」と収束を願っていました。

次回4月24日(土)の放送も、引き続き真鍋さんをゲストに迎え、お届けします。どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2021年4月25日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:DIGITAL VORN Future Pix

放送日時:毎週土曜 20:00~20:30

パーソナリティ:笹川友里

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

2021/4/21 18:00

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