貴方は憶えているだろうか「ライブドア球団名ネット投票事件」を 堀江貴文氏とジェンキンスさんの思い出

写真はイメージです。

平成野球史で印象深かったのは、堀江貴文氏の新球団取得騒動である。ニッポン放送買収計画の1年前にあたる2004年、堀江氏が颯爽と現れ、大阪近鉄バファローズを同氏が経営するライブドアが買収すると宣言したのだ。チーム名は「仙台ライブドアフェニックス」にすると後に発表したが、結局NPBの審査により楽天に敗北。楽天ゴールデンイーグルスが誕生するに至った。

この騒動の渦中で見た珍事件が私個人にとっては非常に印象深く、2009年に『ウェブはバカと暇人のもの』という新書を書くにあたってのヒントとなっている。それは「ライブドア球団名ネット投票事件」である。

ライブドアはITを駆使する会社として、当時話題になりかける直前の「ウェブ2.0」を体現すべく「ネットの集合知」「ネットの民主主義」により球団名のネット投票企画を実施した。

私は当時から「川崎祭」(中日にFA移籍するもケガで登板できず。そんな彼を晒し者にすべくオールスターのファン投票1位にする運動)などのネットのバカ投票事件を見ていたため、このライブドアの球団名公募もロクな結果にはならないと見ていた。だが、予想を上回る大バカ騒動になった。

ランキングは日々発表されていたが、「 /  ●   ● | クマ──!!」や「∩___∩  」などを組み合わせて作る熊のアスキーアート「クマー」を1行ずつ投票してランキングで同アスキーアートを完成させようとする動きもあった。

アスキーアートシリーズでは

_  ∩
( ゜∀゜)彡 おっぱい!おっぱい!
⊂彡

は見事に完成した。つまり、「_  ∩」のように読めないものに投票した人も多数いたということなのである。

さらには「阪神」や「楽天」「浦和レッズ」などライブドアとはまったく関係のないチーム名も登場する。それならばまだしも、「確かに女は金で買えるけどもう少し空気読め」という堀江氏に対するツッコミや「マンコ」なども登場。

他にも印象深かったのは「ホリえもん ふる太と鉄人兵団」「富樫今週も休載かよorz」だ。結果的に暫定一位を走り続けたのは「仙台ジェンキンス」だった。ジェンキンスとは、北朝鮮による拉致被害者・曽我ひとみさんの夫で元米兵のチャールズ・ジェンキンスさんの名前をさす。

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インドネシアで曽我さんとジェンキンスさんが再会した時の濃厚キッスの映像が強烈なインパクトを残したほか、当時曽我さんが2ちゃんねるではバッシングの対象となっていたことが「仙台ジェンキンス」に票が集まったことの理由だと思われる。

なぜ拉致被害者なのにバッシングの対象になるか? 不思議な感覚だろうが、「ディズニーランドに行きたいと言った」や帰国時には痩せていたのにその後ふっくらとしていたことから「いいものばかり食いやがって!」と思われたことが理由だ。本当にどうでもいいことにより、当時の2ちゃんねるでは「叩いていい人」認定されていたのだ。

また、インドネシアに行く際も政府のチャーター機を使ったことなどから「税金で贅沢しやがって!」と叩かれたのである。

だから、ライブドア球団のネーミング騒動にしても、ジェンキンスさん一家へのモヤモヤした感覚が反映されていると見るのが妥当だろう。

2015年、佐渡へ観光に行った。お土産店でジェンキンスさんが働いているということで行ってみたら本当にいた。一緒に記念撮影に応じてくれるなど気さくな人物だった。同僚の日本人女性も「ジェンキンスさーん、一緒に写真撮ってあげてよ!」なんて気軽に声をかけていた。ほとんど喋ることはなかったものの、若干の笑顔で写真に写ってくれた。そしてジェンキンスさんはその2年後に亡くなった。

そして堀江氏は今やツイッターで何かを言えばスポーツ紙の電子版が何でもかんでも記事にするなど、相変わらずの注目度を誇っている。しかし、私にとっては現在の堀江氏よりも球団買収、ニッポン放送買収、「改革」というTシャツを着て2005年の衆院選に出馬した時のことを思い出すのである。そして「仙台ジェンキンス」も同時に思い出すのであった。(文@中川淳一郎 連載「俺の平成史」)

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