ユニクロ「+J」はブランドのジルサンダーとは別物「期待のわりに…」の声も

―[MBのヘビーユース108(心底惚れ込んで愛用しているアイテム)]―

◆83/108 シルクコットンクルーネックセーター(ユニクロ)5990円

 世界的デザイナーであるジル・サンダー氏とユニクロの協業ライン「+J」の春夏がついに発表されました。前回は定価2万円ほどのコートがメルカリで10万円前後の値がつくなど、社会現象となる大騒ぎに。今回はそれを受けてユニクロとメルカリが転売防止の協定を結ぶなど相変わらず人気の過熱ぶりを感じさせます。

 ただし、私のみならず、多くの有識者が「そんなに騒ぐほどじゃないよ」とたしなめているのが今回の「+J」。世間では「あのジルサンダーがこの値段で買える」と騒がれていますが、ユニクロの協業相手はブランドの「ジルサンダー」ではなく、同ブランドの創業者であるジル・サンダー氏。高い人気を誇るブランド「ジルサンダー」は現在、別のデザイナーが手がけており、別物です。

 実際、フタを開けてみると「期待のわりに……」と言っている人も少なくなく、奪い合いでケガ人まで出た前回ほど混乱にはなりませんでした。現在の「+J」人気は一時的な盛り上がりなのかもしれません。

◆「+J」の良品

 さて、そんな「+J」ですが、もちろん良品も存在します。今季の「当たり品」のひとつがシルク混で美しい風合いのハイゲージニット。ユニクロにしては挑戦的な値段ですが、春トップスの中では飛び抜けた品質です。コットンニットとは明らかに違うシルク混の高級感は、他ブランドなら1万5000円は超えてくるでしょう。

 また、リブは従来品よりもかなり甘めになっています。リブはキツくすれば、風の侵入が防げるなど機能性は上がるけど、どこかオジサンくさい「ぽっこりと膨らんだお腹のライン」が出てしまう。そこで、このアイテムはまるでカットソーのようにリブを甘めにして、締めつけを少なくしています。そうすることで裾にシワが出ず、きれいなシルエットをつくることができているのです。

 春が短い日本ではスプリングニットは本当に売れないため、メーカーも敬遠しがち。しかし、その分、周囲との差別化になり、手軽におしゃれに見せることが可能です。在庫があるうちに押さえておくことをおすすめします。間違いなく’21年春夏シーズンのベストバイのひとつとなるでしょう。

商品、衣装/すべて私物 撮影/林 紘輝(商品) 岡戸雅樹(人物)

―[MBのヘビーユース108(心底惚れ込んで愛用しているアイテム)]―

【MB】

ファッションバイヤー。最新刊『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』ほか関連書籍が累計100万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)

2021/4/18 8:54

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