コギャル時代を知る元担任が、娘の部活顧問に。黒歴史をバラされて赤っ恥

 90年代中盤~後半にかけて日本中を席巻したコギャルブール。ルーズソックスをはじめ、当時のファッションリーダーだった安室奈美恵を意識した細眉・ストレートのロングヘア姿の女子中高生たちが全国に大繁殖していました。

 当時、青春を謳歌した女子たちも30代後半~40代。現在は中高生の娘を持つ母親となっている人もいるはずです。しかし、昔とは立場も違います。自分が元コギャルでも我が子にはその過去を隠している人も多いのではないでしょうか?

◆中学時代には深夜遊び歩き、補導された

「毎日夜遅くまで遊び歩いていたし、それでいて両親には謝るどころか口汚い言葉で罵って逆ギレ。正直、すごく迷惑をかけたと思います。もちろん、楽しい思い出もたくさんありましたが、それでも娘に自分がコギャルだったなんて口が裂けても言えませんでした」

 そう振り返るのは、2人の子供を持つ田辺唯さん(仮名・39歳)。落ち着いた品の良さそうなママさんといった感じで、ハジけまくったギャルっぽさからは程遠いですが、実は深夜徘徊の常習者でお巡りさんに補導された経験もある元問題児。確かに、母親としての立場を考えると秘密にしたい気持ちもわかります。

「けど、上の娘はそんな私から生まれたとは思えないほど素直でいい子に育ってくれました。もし私みたいにギャルの道を歩んだらどうしようと思っていたため、母親としては正直ホッとしました。ところが、まったく予想してなかったところから自分の過去が娘に知られてしまったんです」

◆娘のクラブ顧問は自分の元担任

 そのきっかけは娘が中学時代に所属していた学校の女子バスケット部。そこの顧問というのが唯さんの中学3年のときの担任だったのです。

「先生は当時30代になったばかり。いわゆる熱血系で爽やかそうな見た目に反して生徒に対してはかなり厳しく、私は毎日のように注意を受けていました」

 娘が2年生になって初めてレギュラーになったと聞き、その翌週に学校の体育館で予定されていた練習試合の応援に行くことに。その際、顧問の先生に挨拶しようと思ったそうですが、遠目からでも元担任だと気がついたとか。

 そのため、やっぱり挨拶をやめようかと思いましたが周りにはほかの父兄たちもいて、先生のほうから挨拶してきたそうです。

◆教え子だと先生に告白

「先生はウチの娘が練習熱心でチームメイトや後輩からもすごく慕われていると褒めてくれ、母親として本当に誇らしかったです。私の母が学校に行くのは、自分が問題を起こして呼び出されるときで、いつも先生に頭を下げてばかり。

 先生は私が元教え子だと気づいてない様子だったのでそのままやり過ごすこともできましたが、それは失礼にあたるような気がして、自分の旧姓を告げて教え子であることを明かしたんです」

 その告白に先生はすごく驚いたそうですが試合前だったことあり、少し言葉を交わしただけで生徒たちの元へ戻っていきました。そして、試合後に再び来てくれて、5分ほど立ち話をしたといいます。

◆恩師が娘を褒めてくれて、思わずウルッ

「私は中学時代、校則を無視して茶髪ピアスで学校に通っていて、教師相手にもタメ口。『変わって当然なんだけど、敬語で話されると背中がカユくなるよ』って昔とのギャップをイジられました。娘についても母親と真逆だとからかわれましたが、『芯の強いところが似ているのはやっぱり母娘なのかな』って言ってくれて。その一言にウルウルしちゃって涙をこらえるのに必死でした」

 迷惑をかけた恩師との感動の再会になったのはよかったですが、娘には顧問の先生の昔の教え子だと知られてしまうことに。

 唯さんも昔のことは秘密にしてほしいと頼んでいたわけではなく、娘は先生にしつこく質問攻め。最終的にはコギャルだったことを言ってしまったそうです。

◆母親の昔の写真を見て、娘は「ヤバい!」を連発

「補導の件はさすがに伏せてくれましたが、先生からは電話で『本当にスマン!』と謝られました(笑)。こちらも先生に教え子だと告げた時点でこうなるのは覚悟していたため、帰宅するなり『ママって昔コギャルだったの?』と聞いてくる娘に押し入れから引っ張り出した中学と高校の卒業アルバム、そのころ撮ったプリクラを貼っていた手帳を渡しました。

 娘は『ヤバい!』を連発しながら何度も爆笑。今思い出しても恥ずかしい瞬間ですが、『このころのママ、かわいいよね』と言ってくれたのはちょっとうれしかったです」

 これを機に娘さんがギャルに目覚めたらどうしようとの不安はあったそうですが、高校生となった今も真面目な学校生活を送っているとのこと。どうやら不安は杞憂に終わったようです。

「何か注意した際、『元コギャルのくせに』って反抗されたらどうしようかと思っていましたがそれもなかった。親バカと言われそうですが、私が考えている以上にちゃんと育ってくれて安心しました」

 自分の過去を知る人物を通じて黒歴史がバレてしまうのはよくある話。絶対にバラされたくない人は、しっかり口止めをお願いしたほうがいいかもしれませんね。

―赤っ恥をかいた話―

<文/トシタカマサ イラスト/zzz>

【トシタカマサ】

一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

2021/4/17 8:47

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