沖縄旅行をお得にする、ダイナミックツアーと日程ずらし

◆沖縄は世界、日本の一流ホテルの開業ラッシュ

 コロナによって海外への渡航が大きく制限されてしまったことにより、海外のリゾート旅のニーズが沖縄に向かっているという。加えてコロナ前から始まっていたインバウンドの増加を見越したホテルの開業ラッシュと航空路線の充実で手配が容易となったこともその人気を後押ししているようだ。

 沖縄は離島を含め、ホテルの新規開業ラッシュが訪れている。2020年には20軒近く、2021年も15軒ほどの開業が続く。また、ハレクラニ、ザ・リッツカールトン、マリオット、ヒルトン、シェラトンなど海外の一流ホテルも数多く進出。負けじと日本のリゾートホテルもニューオータニを始め、星のや、ひらまつ、ザ・シギラ、HIYORIなど、水準の高いホテルがずらりと並ぶ。これだけ揃った場所は世界でも珍しい。

◆航空路線で静かな競争開始

 移動の手段となる航空路線をみてみよう。もともと東京(羽田)ー沖縄(那覇)の航空路線は幹線であり、2019年の旅客数比較では羽田ー新千歳、羽田ー福岡に次いで国内第3位のおよそ600万人に利用されている。また、同年の空港利用者数比較では那覇空港は国内第5位の2100万人を超える乗客を迎えている。

 2021年、沖縄路線ではいい意味での異変が起きた。羽田ー那覇線は国内第3位の多客路線でありながら、ANA、JAL、スカイマークと長らく3社の航空会社しか就航していなかった。ここに第4のエアラインとなるソラシドエアが新規就航。同社は九州・沖縄の翼と訴求するが、那覇線は中部、神戸、福岡、宮崎、鹿児島、石垣としか結ばれていなかった。そこに満を持して羽田ー那覇線が2021年3月28日から就航を開始した。

 ANAは「私とANAと沖縄と」のキャッチフレーズでキャンペーンを行い、航空路線はゴールデンウィークの多客期で羽田ー那覇線19往復と最多となっている。続いてJAL14往復、スカイマーク6往復と続く。更にANAは今回のソラシドエアの新規就航で、通常期3往復、多客期で4往復を共同運航する。更に関東圏まで広げると、LCC 2社が路線を持っている。成田ー那覇線でPeach Aviationが4往復、ジェットスタージャパンが4往復を運航する。

◆出発日を変えてダイナミックパッケージでお得にGO!

 それでは実際にゴールデンウィークと夏休みに沖縄へ行くのにどのくらいの費用で行くことが出来るのか調べてみた。今回、ツアーの形態では、航空券とホテルの付いたダイナミックパッケージで調査してみた。ダイナミックパッケージを選んだ理由は、これからの旅の手配はこの形態が独占すると言われているからだ。

 今までのフリーツアーは、現地滞在が自由なだけで、往復の航空便とホテルは決まっていることがほとんどだった。しかし、ダイナミックパッケージは、利用するエアラインや飛行機の出発時間、ホテルも多くの中から選ぶことのできる自由度の高さが魅力となっている。ゴールデンウィークと夏休みそれぞれ、最繁忙期とそこから少し時期をずらした3泊4日の日程で、出発時間はAM09:00まで、帰着時間は夜間とした。ホテルは公平性を期すために各サイトの最低料金のもので料金を算出し、各エアライン独自のパッケージサイトから4月上旬に検索をした。

◆少し日程をずらせばかなりお得に沖縄へ

 検索結果をみると、それぞれの時期で日程をずらせばかなりの料金格差の出ることがわかる。ゴールデンウィークでは41,190円から82,200円もの差が出ており、夏休みでは9,600円から48,800円の差となっている。明確にゴールデンウィークの格差は大きいが、これは出発まで1か月を切った時期の調査であり、予約の偏りが明確になっていることによる。4月28日出発は2日有給休暇を取得すれば大幅に費用が抑えられることがわかる。同様に、夏休みも日程が近付けば差は広がる可能性が高い。

 このツアーの価格帯を見て傾向がわかる。ツアー費比較のフルサービスエアラインで行くのであれば、「ANA>JAL」の順であり、LCCであれば「ジェットスター>Peach Aviation」の順となる。スカイマークは中間帯を行くのは普段の運賃設定と同じだ。

 JALはJALPAKの商品であり期間限定で最大30,000円までの割引クーポンやレンタカー500円、オプション100円などの用意があり、お得になる。ANAは組織改編した「ANA X」で手配し、最大30,000円の割引クーポン発行で追随した。ANA系はフルサービスエアラインで高く設定し、LCC(ピーチ)で安くするメリハリのある設定は評価されるだろう。

◆感染症対策を徹底し、なおかつ現地の状況をしっかりと理解して……

 とは言え、沖縄は他の都道府県以上に感染者は増えている。NHKの集計による4月11日段階での全都道府県別感染者数では10位となる10,704人となっている。その点を充分に理解した上で出掛けるべきだ。

 また、沖縄県本島と離島の感染者数を県のホームページから知ることが出来る。沖縄であっても場所によって感染者数は低い場所があるということだ。4月11日現在で、沖縄県の感染者合計は10,565人となる。那覇市では3,226人でおよそ31%を占める。県中部の名護市では430人で4%、離島の宮古島市では473人で4%、石垣市では264人で2%と違いがある。この数字を念頭に目的地を決めるという方法もある。ただし、離島の場合は医療体制のひっ迫が考えられるので、自身がPCR検査を実施してから出かけるのはもちろんのこと、現地でもより慎重な行動が求められるのは当然の事だろう。

◆旅のバリエーションも増える

 単純な観光以外にも、分散型というテーマを入れた商品も出てきている。ANAの旅行事業を行うANA Xでは旅先でのワーケーションを推進し、オンラインツアーも手掛ける。JALの旅行事業部門JALPAKでもワーケーション、地域貢献でSDGsを進める。JALPAKは感染者数の低い地域へのツアーとして「星付きシェフが織りなすグルメコラボ企画in高知」を発売した。工夫をこらした旅の形がこれからも増えるだろう。

〈取材・文/北島幸司〉

【北島幸司】

航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「あびあんうぃんぐ」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。

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2021/4/17 8:51

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