ケイト・ウィンスレットが女性と恋する孤独なキャラを熱演「私とは逆の性格ね」

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 アカデミー賞の常連俳優として知られるイギリスきっての演技派、ケイト・ウィンスレット。彼女の出演作はどれも心打つ良作ばかりで、ハズレがない。そんな彼女が挑んだ新作は、『アンモナイトの目覚め』。

◆オスカー常連の実力派が時代を超えて共鳴する女性同士の愛と絆を表現

 この不思議なタイトルは、彼女が演じる古生物学者メアリー・アニングの研究対象である化石からきている。

「メアリーを知ったのは若い頃。イギリスに暮らしていれば、彼女が何をした人か皆知っている。だけど、彼女の本当の功績や彼女自身のことはほとんど知られていなかった。彼女のことは、男性科学者の成功の陰に隠れてしまっていたのね。だからこそ、この物語は今こそ作られるべきだったし、そこに彼女のラブストーリーを加えることで、人間的な部分を描き出すことにも成功していると思う」

 イギリス南西部のライム・レジス。亡父を継いで化石発掘のスペシャリストになったメアリーは、老いた母と2人でさびれたみやげ用の化石販売店を営んでいた。彼女が発掘・発見したものは大英博物館にも展示されるほどだったが、女性というだけで忘れ去られていたという。そんな彼女は心を閉ざし、つましい生活をしていた。そこに現れるのが、裕福な化石収集家夫妻。やがて、その妻シャーロットとメアリーの間に愛が芽生えていくのだ。

◆「メアリーとは似ても似つかないキャラだから、理解するのが大変だった」

「あくまでフィクションのロマンスだけど、監督がしたためた脚本の筆致は美しかったし、シアーシャ・ローナンがシャーロットを演じるんだったら、この物語は成立すると思った。女性同士が愛し合うことは、昔からあったこと。それは19世紀の女性たちの間で交わされた書簡をリサーチしてみてはっきりわかったのよ。女性同士が密接な友情や絆を持っていて、時には生涯をともにする関係を持つこともあった。それって、男性主体の抑圧の強い時代だからってわけではなく、今にも通じることでしょ。メアリーはシャーロットにいろいろと教え、シャーロットもメアリーから学んだことにインスパイアされるのが素敵よね。だから、私は2人が恋に落ちることも自然に受け止められたし、女性同士の親密な関係を心から祝福したかったの」

 それまで閉塞的な生活を送っていたメアリーは、シャーロットと愛し合うことで自分を愛し、解き放っていく。一方でケイトは、「私はメアリーとは似ても似つかないキャラだから、それを理解するのが大変だった」とも語る。

「私はオープンな性格で、活動的で、いつも子育てに時間を追われているけど、メアリーは常に沈黙し、淡々とした生活。静かな瞬間がない私とは真逆よね。だから、撮影前の平日に、ライム・レジスの浜辺にあるボロ屋で一人暮らしをしてみたの。やってみたら、彼女がずっと笑顔になれない理由はわかったけど、家族と離れて静かに暮らすことが全然好きじゃないこともわかった(笑)。でも、家族の元に戻った瞬間、途端にカオスな生活に戻るのはキツくてね。そのギャップから、メアリーが進んでしていた孤独な生活っていうものの良さを学んだのよ」

◆考えさせられるキャラの掘り下げ

 舞台になった町で学んだのはそれだけではない。地元のスーパースターとなっている彼女についても、その一人暮らしの間に学ぶことができた。

「メアリーの暮らしていたライム・レジスの家は、今でも博物館として残っているの。もちろんそこにも行ったし、地元の学芸員や博物館の人々から彼女のことをたくさん学んだ。彼女は権力を持った裕福な男性に成功を踏みにじられたけど、だからといって文句を言うようなタイプでもなかった。自分の人生を受け入れつつも、同時に不満を抱えていて、なおかつ思いやりに溢れた女性だったんですって。たとえば、彼女自身も貧しかったのに、より貧しかった人たちを助けたりしていた。畏怖の念を感じるほどに傑出した人で、そんな人を演じることに大きな責任を感じざるを得なかったわ」

 生き方がまるで違う時代を描きながらも、実は抑圧があるのは現代も変わらないのでは?と考えさせられるキャラの掘り下げは、歴史劇を見ていることを忘れるほど強烈だ。

「思うに、当時と今の女性の生き方の違いは、服装だけじゃないかな。女性の欲求や仕事の姿勢、考え方はまったく変わってないもの。この作品は、2人のロマンス、互いの仕事や技芸を通して、共鳴し合う女性同士の関係性は正しいと周知していると思う」

◆『タイタニック』以来のJ・キャメロンとタッグ

 ちなみに、彼女の次回作は『アバター2』。『タイタニック』以来、20上ぶりにジェームズ・キャメロンとの仕事に挑んでいる。

「ジムも私も当時とは1、2周回って変わったと思うわ。でも、再び一緒に仕事ができたのは最高の経験だった。たとえば『タイタニック』のとき、巨大水槽の撮影で学んだことが、今も役に立ってるんだけど、『アバター2』にも水槽の撮影があったのよ(笑)。でも、あの時よりもさらに大掛かりで、想像を絶する規模なのに、驚くほど効率的に撮影できるようになっていたの。一瞬一瞬がすべて楽しかった。こちらも楽しみにしていて!」

『アンモナイトの目覚め』
’20年/英/1時間57分 監督/フランシス・リー 出演/ケイト・ウィンスレット、シアーシャ・ローナンほか 配給/ギャガ 全国公開中

◆同性同士のロマンスを描いて新時代を開いた革新作3選

『ブロークバック・マウンテン』(’05年)
’60年代、放牧の季節労働で出会った2人のカウボーイのロマンスを描く。アカデミー賞監督賞ほかを受賞したゲイムービーの金字塔。この作品からLGBTQ+がテーマの作品が大きく変容

『キャロル』(’16年)
’50年代のNYを舞台に、デパート勤めの若い女性と離婚係争中の裕福な女性の恋愛を描く。レズビアンのロマンスを真っ向から描いた革新的作品で、キャロラーと呼ばれるファンを生んだ

『ゴッズ・オウン・カントリー』(’19年)
フランシス・リー監督の長編デビュー作。ヨークシャーの牧場を舞台に、地元にがんじがらめになった青年と季節労働者の交流を描く。日本では限定公開だったが根強いファンを持つ傑作

【ケイト・ウィンスレット】
’75年、イギリス生まれ。’97年に『タイタニック』のローズ役で大ブレイクし、『エターナル・サンシャイン』(’04年)などでオスカー候補の常連に。『愛を読むひと』(’08年)でアカデミー賞主演女優賞を獲得した

<取材・文/よしひろまさみち>


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