世田谷一家殺人事件の「呪われた間取り」とは!? ホラー映画監督でマドリストの山本清史が語る、猟奇事件の設計図

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 日本が震撼した歴史的な猟奇事件をまとめたTOCANAの新番組『猟奇事件暴露ファイル』の第5回「世田谷一家殺人事件」と第6回「江東マンション殺人事件」が公開された。メガホンを取ったのは、2003年に『ほんとにあった! 呪いのビデオ』で映画監督としてデビュー以降、大作ホラー『水霊 ミズチ』や日米合作ホラー映画『END CALL』など怪奇作品を次々と世に送り出し、日本を代表するホラー監督としての地位を確立した山本清史監督。近年は『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』で革新的な方法でエオルゼアパートを手掛けたとして注目を浴びている。

●山本清史監督インタビュー

山本清史監督

――世田谷一家殺人事件と江東区マンション神隠し事件を扱いましたね、いかがでしたか。

山本 この企画をいただいてから撮影まで結構時間があったので、個人的にめちゃくちゃ調べましたね。特に、ネットに出ている情報が本当なのか、調べまくりました。コロナの時期だったので、国会図書館から記事を郵送で取り寄せて、雑誌の記事とか全部集めて読んで、どの情報がどこから出たものか、いわゆるソースを確認しました。警察からの情報だったり、単なる噂レベルの話だったり。 “こんな説があるんだなー”とか考えましたね。

――膨大な量だったのではないですか?

山本 超膨大です。でも、全部読ました。責任も感じていましたからね。また、この番組の趣旨はウィキペディアに出ていない情報を伝えるっていうことでしたから、そういう意味でいえば、本当に調べて精査して、いろんな情報を重ね合わせるうちに見えてきた“真実の情報”っていうのはなかなかネットには出てこない。だからこの作業は重要だと思いましたね。

――監督ご自身、かなり事件にのめりこんでいたように見えましたが。

山本 はい、事件を調べるうちに、確実に僕は病んでいったと思います。

 江東マンションに関しては、犯人も捕まっていますし、バックボーンも一応判明していますから構成台本も迷いなく書けたのですが、世田谷一家殺人事件に関しては、どこに着地したらいいのだろうと悩みましたね。

――編集も大変でしたか?

山本 世田谷一家殺人事件に関しては「この説は触れてはいけない」っていう、絶対的な“タブー”もありましたし、大変でしたよ。でも、ギリギリまで踏み込んで、できうる範囲の情報はすべて入れられたと思います。

■間取りでみる「世田谷一家殺人事件」

――山本監督は物件の間取りオタク「マドリスト」としても活動されていますよね。実際に、不動産会社にも頼られるほどのマドリストだとか。世田谷の間取りはいかがでしたか。

山本 マドリストの点から語るということですね。あの家って、外観も少しいびつじゃないですか、一軒家なのに二軒あるように見えて、無理矢理、延床面積を広げた感じがします。間取りをみると、玄関を入って、奥に階段があって、中二階があって、その上に二階があって、そこからはしごを上がるとロフトがある。かなり複雑な構造ですよね。特に、僕は子供部屋の中二階に注目しましたね。

――中二階はダメなのですか?

山本 空気が溜まりますからね。

――空気が溜まるのはマドリスト的にはNG?

山本 良くないですね。中二階に限らず、風通しの悪い所は良くないです。僕らの体って物質なので、エネルギーをいっぱい出してるわけですよ。そういうものが溜まっていくのかもしれないですね。細かいことはわからないですけど。魔(間)が棲むという言い方をします。

――結構オカルト的な話ですね。

山本 そうやって溜まったものを、オカルトの人間は気と言ったり、霊と言ったりするんでしょうけど。まあ、マドリスト的にみても、そういう“何か”が家の中の空間に少しずつ溜まっていく構造はよくないとしているわけですよ。

 窓開けて風を入れ替えるとフワッと消えていく“何か”って必ずある。それができないような奥まった狭い空間は、俗に言うよくない場所。さらに陽の光が入らないとジメジメしたりするから、“我々の精神に作用するような、何かしらの物質”が醸成されていてもおかしくないわけです。嫌な臭いになっていたり、ちょっと眩暈がするようなものになっていたり。推測ではありますが、可能性は排除できません。

――幽霊が出やすい空間、みたいなものがあるんですね?

山本 幽霊というか、ずっと地下に暮らしていたらどうなるかってことです。単純に光を浴びないだけで、人間の精神は病みやすくなるっていうのは、科学的なデータも取れている話ですから。それに似てるのかなとは思いますけどね。

――間取りが悪いと事件も起きやすいのですか?

山本 言い切れないですけど、よくない間取りというものがあるのは確かです。

――ほかの事件で、気になる間取りはありましたか?

山本 それこそ、江東区のマンションも気になりましたよ。僕がこの事件に触れた当時は20代でしたけど、間取りについては知らなくて、勝手にもっと広い部屋かと思っていた。でも、6畳1間のワンルームだった……。

ワンルームに人を連れ込んで、解体して、しかもそこで飲み食いして一カ月以上暮らすって、想像できないでしょ。解体した風呂場もユニットだから狭いわけですよ。想像する絵がもう悲惨で、僕は耐えられなかった。

――『猟奇事件暴露ファイル』本編でも、犯人の精神状態について迫りましたね。

山本 本当にあの人が犯人なのだとしたら、何かに取り憑かれていたと言われても、僕は信じてしまうかもしれない。それくらい凄惨だと思いました。許しがたい事件です。

――本編では、実際に現場マンションに電話をかけてそこに人が住んでいるか確認しましたね。あれは山本監督のアイディアですか?

山本 はい。心霊ドキュメンタリーとか撮った経験からきたものですね。ガチのインタビューって、撮ってる側も、出演者にも緊張が走って、それが、絵に出るんですよ。「コレ、ガチでほんとにやります?」みたいなね。

 しかも、心霊モノって仕込みができないでしょ。先に連絡したら取材を断られるに決まってるから、ガチで電話したり、探偵みたいに嘘の電話して情報を聞き出したりする。だから今回も、ナマで電話して驚きの結果が出ましたよね。

――びっくりしました。

山本 あれは、芝居でやれって言われても結構難しいんで。

――編集で気を付けた点はありますか?

山本 リズムですね。話が複雑だから、ゆっくり見せてしまうと、逆に理解が追い付かない。なるべくスッと入るように会話のリズムに気を付けました。

――どんな人にこの作品を見てもらいたいですか?

山本 うーん、見ない方がいいんじゃないですか? これを見る人ってよっぽどだと思うんです。まず、この映像作品の情報に辿り着くって凄くないですか? もし『猟奇事件暴露ファイル』がアマゾンとかでリコメンドされたら、一度自分が見ているものとか、考えた方がいいと思う。ユーチューブとかで怖いもの見すぎですよってことだから。

 でも、世の中に対して、鬱屈したものをもってたり、絶望してたり……変な言い方ですけど、死にたいと思ったら、見たらいいと思う。悲惨な事件や歴史を顧みることで、今の自分が置かれた境遇を客観視できて、救われることもあると思うんです。
(編集部)

  • 7/2 16:00
  • TOCANA

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