「やすらぎの刻~道」清野菜名と風間俊介がガチで殴り合う。軍国少女・しのは目を覚ますのか?第14週

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倉本聰・脚本「やすらぎの刻~道」(テレビ朝日系・月~金11時30分~)第14週。

徴兵検査が近づきナーバスになっている三平(風間晋之介)の友達たちが集まり、半ば冗談めかして「徴兵逃れ」の方法を語っていたところ、対し「非国民!」と激怒していたしのちゃん(清野菜名)。

相変わらずの軍国少女っぷりに、徴兵や戦争をリアルに感じている男性陣のみならず、視聴者までドン引きさせていた。

今週はそんな、しのちゃんのネトウヨな思想を変えるきっかけになるのでは……というエピソードが繰り返し描かれていた。

恥ずかしいけれど、僕のアソコは……


週の初っぱなからシビれたのは、しのと公平(風間俊介)のケンカ。

「非国民」事件以降、気まずい雰囲気になっていたしのと三平。関係を修復しようと考えた三平は、小枝の文通でしのを呼び出し、仲直りしようとするが、戦争から逃げているように見える三平を許せないしのちゃんは、待ち合わせには行かなかったようだ。

「こういう雰囲気は戦争前夜の我が国と諸外国の関係に似ていて、これをこのまま放置しておくと戦争に発展する恐れがあり……」

これまでの公平(風間俊介)だったら、しのと三平が不仲になったのを喜びそうなものだが、ちょっと大人になった公平はふたりの仲裁を買って出る。

「兄ちゃん、徴兵検査の日が近づいてるから真剣におびえてるんだ」
「しのちゃんは女だから分かんねえだろうが、戦地に言った後はもう殺し合いだ。人を殺すか自分が殺されるか!」

「女だって私、いざとなったら戦うわよ! アンタたちみたいに逃げないわよ!」

公平からしたら、戦争に行かされるわけでもないのに「愛国愛国」言っているしのは無責任に感じるだろうし、なぎなたで数々の猛者を撃退してきたしのちゃんには「男だったら戦争に行きたかった!」という気持ちもあるのだろう。

結局、しのと三平との仲を修復するどころか、しの VS 公平のガチバトルが勃発。

お互いに顔面をフルスイングでビンタ。男が女を本気で殴るという、最近のテレビではなかなかお目にかけない光景に、見ていても冷や汗をかいた。

もみ合った勢いで公平がしのちゃんの乳を揉んでしまい、ひるんだところを押し倒し、こうなるとやはり成人近い男の力に勝てるわけもなく……。

自分より弱いと思っていた男とガチでケンカすることによって性差に気付かされるという、よくありそうなエピソードではあるが、これまで繰り返し描かれてきた公平の情けなさ、しのちゃんの男勝りっぷり。そして押し倒す公平も、押し倒されたしのちゃんも、両方泣きながらの演技に圧倒された。

「恥ずかしいけれど、僕のアソコはあの時、一瞬硬くなったのだ。すぐにたちまちしぼんじゃったけど」

しのが男女の性差に気付くと同時に、公平の性の目覚め(?)まで描いてしまうのが倉本聰のすさまじいところだ。

しかし、公平に倒されたしのが急にしおらしくなり、

「さっきははしたなくてごめんさない。公平チャン、意外に力あるんだね。でも私のおっぱいつかんだでしょ? ギュッとつかんだわ、あれは反則(微笑み)」

なんて言い出してしまうのは、さすがに男に都合のいい女過ぎると思うが。

その歌はやめてくれ!


続いて、海軍に入隊した公次兄ちゃん(宮田俊哉)の帰省。

ゼロ戦乗りとしての訓練を終え、前線に送られることとなり、家族との別れをしにきたようだ。

そんな状況でも自分のことよりも家族のことを心配している公次兄ちゃん。三平と不仲になっているというしのへ、こんなアドバイスを。

「今の日本で戦争は嫌だ、死ぬのは怖いとハッキリ言いきることは、弱い人間のできることじゃない。よっぽど覚悟した強い人間だから言えることだ」

軍国思想に取り憑かれているしのちゃんに、この言葉、届いただろうか!?

公次兄ちゃんが、あの一本道を歩いて去って行くシーンも印象的だった。

例のごとくアホみたいに歌ばっかり歌っている幸子(木下愛華)は「出征兵士を送る歌」や「月月火水木金金」といった軍歌で勇ましく送り出そうとするが、

「その歌はやめてくれ! 歌ってくれるなら別の歌がいい」

珍しく公次兄ちゃんが声を荒げる。幸子からしたら特に考えなしに「そういうもの」くらいの認識で軍歌を歌ったのだろうが、軍のために死んでいこうとしている公次にとっては耐えられない歌だったのだろう。

幸子が「ふるさと」を歌い出すと、「それがいい」とニッコリ。メチャクチャ優しい顔になって去っていったのがかえって切なかった。

家族を守るために国を挙げて戦争してるんじゃねえのか!?


公次のアドバイスもむなしく、「見ているとイライラする」三平と距離を置くため、しのちゃんは根来家から出て、軍関係の仕事に就くつもりだという。軍国少女・しのちゃんにとって「お国のため」に軍の仕事をするというのは本望なのだろう。

その仕事を世話したのが、村に軍のアヤシイ施設を作るために暗躍している荒木(須森隆文)。軍のお偉いさんとの顔つなぎのために、しのは酌婦として宴席に連れて行かれる。

そこにいた軍のお偉いさん・肥田の醜悪っぷりは、しのの思っていた「日本軍」とは大きくイメージが違うものだったと思われる。

大事な軍の計画も自分では把握しておらず、部下に説明させ、酒を飲んではしのちゃんの尻をナデナデ。……こういう人がどうやって軍の中で出世したのかよく分からないが、きっと上にはメチャクチャ媚びるタイプなのだろう。

耐えきれず、酒をぶっかけて逃げ出したしのを追い、根来家に怒鳴り込んできた荒木。

「どうするんだ一体! 小作人の分際で! とにかく明日、しのに先方に謝りに行かせろ」

もともと、小作人の中でも一際貧乏で、村の中でも蔑まれるような存在だった荒木だが、軍のお偉いさんたちに取り入りまくった結果、今ではこんな偉そうな口をきくように。この辺も軍国主義の闇という感じがする。

「荒木さん、あんたいつからそんなに偉くなった? 自分の娘を人買いに売った奴にそんな事だけは言われたくねえな。 しのはうちの家族の一員だ。家族を守るのが家族の務めだ。そのためにわしら国を挙げて戦争してるんじゃねえのか!?」

これまであまり見せ場がなかった公一兄ちゃん(佐藤祐基)が言ってくれたー!

家族を守るための戦争だからこそ、お国のために命を捨てるのが素晴らしいと教えられてきたはずだが、ちょいちょい見えてきた軍国主義の醜悪さ。
(イラストと文/北村ヂン)

どうもこの戦争は、そういうキレイごとではなさそうだぞ……。しのちゃんが気付いてくれるといいけど。
【配信サイト】
・Tver

『やすらぎの刻~道』(テレビ朝日)
作: 倉本聰
演出:藤田明二、阿部雄一、池添博、唐木希浩
主題歌: 中島みゆき「進化樹」「離郷の歌」「慕情」
音楽:島健
チーフプロデューサー:五十嵐文郎(テレビ朝日)
プロデューサー:中込卓也(テレビ朝日)、服部宣之(テレビ朝日)、山形亮介(角川大映スタジオ)
制作協力:角川大映スタジオ
制作著作:テレビ朝日

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