安住紳一郎アナ秒の凄み検証。TBS上半期を執拗に振り返り、Eテレでも見せたスーパーテクニックをご報告


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平成最後の夜のことである。

2019年4月30日。平成から令和へと元号が変わるその夜。みんな何をどうやって過ごしたら良いかわからなかった。なんか年越しみたいだけど、「あけましておめでとう」でもないし、でも0時の瞬間までは起きてるか、みたいな空気だった。

そしてテレビ各局も、何をどうしたらいいか手探りだった。かつてない「元号またぎ」。初詣でもないし除夜の鐘が鳴るわけでもない。結局、中継先はジュリアナだったり、盆踊り会場だったりとバラバラ。大変ふんわりした時間を過ごしたのを思い出す。

そのなかで、古舘伊知郎と安住紳一郎アナがタッグを組んだのが、TBS『生放送!平成最後の夜』だった。平成の30年を1年ずつVTRで振り返る2時間の生放送特番。国分太一の「マハラジャ六本木」中継を挟みながら、番組はエンディングを迎える。

そのラスト24秒、誰も知らなかった「スーパーテクニック」を、安住アナ本人が2ヶ月近く経って今さら振り返ったのだ。7月5日放送の『安住紳一郎と2019年上半期のTBS』のことである。

「ラスト24秒」を執拗に振り返る安住アナ


『安住紳一郎と2019年上半期のTBS』は、そのタイトル通り、安住アナが2019年上半期のTBSを振り返る「自己批評風バラエティ」。演出は『水曜日のダウンタウン』の藤井健太郎であり、『サンデーモーニング』の“バーチャル張さん”のクオリティや、納期に追われておかしくなったニュース番組の再現CGベスト3など、独自の目線でTBSをイジり倒していく。

そのVTRに負けず劣らず、安住アナは若手女子アナ3人を前にガンガンしゃべり倒していくのだ。「『令和』アクセント」問題」では、「今夜お時間少しお借りできますか?12分くらいかかるんだけど」と前置きし、ホワイトボードを使いながら8パターンの「令和」を解説。戸惑う女子アナたちにアナウンス講義を繰り広げた。

(「令和」アクセント問題の詳細は、TBSラジオクラウド「安住紳一郎の日曜天国」新元号との向き合い方 完全版で聞けます)

「生放送のエンディング珍プレー好プレー集」で各番組の珍プレーをひとしきり鑑賞し、さて好プレーというところで、安住アナは「手前味噌で恐縮ですが」と自分のVTRを振り返る。それが『生放送!平成最後の夜』のエンディングである。

『生放送!平成最後の夜』のスタジオは、中央のステージに安住アナ、古舘伊知郎、藤田ニコルが立ち、周囲の客席に平成生まれの若者たちが座っている。エンディングは45秒。古舘伊知郎が感想をしゃべり、残り24秒で安住アナにわたり、安住アナが尺ぴったりに納めて番組は終わる。なんてことはない、特番の終わりかた。

この流れを「細かく検証していきましょう」と、安住アナは手元のタブレットを操作してVTRを再生。再びエンディングがはじまり、「古舘さんが何秒しゃべるかわからないから、自分たちに残される秒数もわからない」と添える。ドキドキしながら待っていると、古舘伊知郎が感想を終えて安住アナに軽くアイコンタクト。VTRを止め、「これ『もう俺には振らないでくれ』という目ね」と古舘伊知郎の表情を読み取る。

VTR再生。番組終了まで残り24秒。安住アナが「いよいよ平成から令和へ〜」と、ゆっくりと滑り出す。藤田ニコルの方を向き「テレビもオワコンと言われ続けておりますが〜」と切り出して、藤田ニコルが「いやいや」と首を振る。正面に向き直る安住アナ。

VTRストップ。この場面「せっかく横に並んでいるのだから、藤田ニコルにもエンディングに参加してもらおう」と意識したという。ただ、時間がないなかコメントを振るのは怖い。そこでわざと「オワコン」という言葉を使い、リアクションだけを引き出した。正面に向き直ったのは、藤田ニコルに「いまので終わりです」と態度で伝えるため。

再びVTR再生。安住アナが「最後までお付き合いありがとうございました」と締める。しかし、ADが出したカンペの行き違いから、7秒余ってしまった。まったく予定にない残り7秒。咄嗟に、客席に向かい「今日はありがとうございました」と挨拶する“低姿勢プレイ”を入れた。スタジオが拍手に包まれ、7秒を使ってカメラもゆっくりと引き、しっとりと番組が終わった。

たった24秒のあいだに、これだけの思惑が詰まっていたのだ。あまりに上手くいったので、安住アナは「家の洗面所の鏡の前でもう一度再現した」「交感神経が高ぶったのでアロマを強烈に吸った」と余韻に浸ったという。

さて、こんな話を聞くと、安住アナが出演する生放送をじっくりチェックしたくなるというもの。

その機会は意外と早く訪れた。7月8日放送のEテレ『沼にハマってきいてみた』だ。この日、NHKの生放送にTBSの安住アナが出る。


NHKで見せつけた「スーパーテクニック」


この回の『沼にハマってきいてみた』のテーマは「“合唱”沼」。NHK全国学校音楽コンクール「Nコン」とのコラボ回で、安住アナは大の合唱好きということでキャスティングされたのだった。

番組冒頭。高校生の合唱をバックに、マイクを持った安住アナが「こんばんは、安住紳一郎です」とフレームイン。「歌は世につれ世は歌につれ、今宵は若人の歌声と共に合唱の魅力を大いに語り尽くしましょう」と挨拶。MCのサバンナ高橋に「『音楽の日』か!」とツッコまれる。

その後、安住アナは合唱にハマったきっかけを話し、浦和高校へロケに行き、指揮棒を持って「合唱の先生プレイ」を披露。30分の番組は滞りなく進行し、いよいよ終盤へ。

この日、もうひと組のゲストは「Nコン」の課題曲を作詞作曲したSHISHAMOだった。最後のコーナーとして、SHISHAMOと高校生が課題曲「君の隣にいたいから」を一緒に合唱する。歌い終わったのは番組終了の1分10秒前。

MCのサバンナ高橋がSHISHAMOに感想を振る。SHISHAMOのコメントが何秒で終わるのかわからない。視線がカンペを追っている安住アナ。残り40秒で安住アナに感想が振られた。「夢のような時間でした。ご尽力いただいた皆さんに心から御礼申し上げます」と早口でまくしたて、正面に向き直り「今週土曜日、『音楽の日』もぜひご覧下さい」とカメラに一礼。NHKでTBSの番宣を突っ込む。

残り25秒。まだ終わらない。ここでMCの桜井日奈子が「せっかくなのでハモって終わりにしましょう」と安住アナに振る。安住アナ、横目で残り秒数を把握しつつ「いいですね!」と前に出て、スタジオ後方に並ぶ高校生へ向き直る。

残り18秒。安住アナ「『バイバ〜イ』でいきましょうね、せーの!」と両手を振り、「♪バイバ〜〜イ」とハモる高校生に「伸ばして〜伸ばして〜ハイOK!」と締めたのが、番組終了のピッタリ10秒前! 拍手のなか、サバンナ高橋が「安住さん、SHISHAMOありがとうございました〜!」と締めて、しっとりと番組は終わった。

高校生を指揮するため、スタッフに背中を向けた安住アナは、残り時間を確認することができなかったはず。指揮の前に残り秒数を把握し、体内時計をもとに高校生へ「伸ばして〜」と時間調整し、ぴったり10秒を残したのだ。……いや、10秒は偶然かもしれないが、一度あの解説を聞くと、全てが安住アナの計算のもと進んでいるように見えてしまう。

そして今日、TBSは14時から『音楽の日』が、22時から『新・情報7daysニュースキャスター』がある。足かけ10時間、生放送を仕切ることになる安住アナ。今夜も交感神経が高ぶって眠れないかもしれない。十分にアロマを吸ってほしい。

(井上マサキ タイトルデザイン/まつもとりえこ)

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