ストップウオッチだからこそわかる、あの選手の素質! 実はストップウオッチャーをも唸らせる好記録が連発の甲子園だった!

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 大阪桐蔭が4-3という接戦の末、三重を下して、2年ぶり4度目の優勝を成し遂げ、夏の甲子園は閉幕した。決勝に残った両チームの勝負強さは当然、印象強かったが、健大高崎の平山敦規が8盗塁で大会記録タイを達成し、チームとしても4試合で26盗塁と躍動感ある野球で大いに盛り上げた。そんなスピードや足が注目された甲子園で、野球に直結するスピードの持ち主はどの選手だったのか、雑誌『野球太郎』やスマホサイト『週刊野球太郎』などに寄稿している、炎のストップウオッチャーことキビタキビオ氏に話を聞いてみた。

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 簡単にキビタ氏の方法論について説明しよう。球場観戦でも、テレビ観戦でもストップウオッチを片手に、さまざまなプレー……たとえば、盗塁を警戒した投手が小さなモーション、いわゆる「クイック」で投げた時のタイムや、打者がフライを打った時の滞空時間など……を計測することで、将来有望な選手を発掘したり、新しい野球の見方を探ったりしている。

 今回は、打者が打ってから一塁を駆け抜けるまでのタイムを計測し、野球に「使える」スピードある選手は誰になるのか、甲子園に出場した全校の初戦を調べた(一部の選手は複数試合で計測した)。

 まず、事前情報として、キビタ氏がタイムを計測するプレーにはそれぞれ「聖域」と呼んでいる、プロレベルの基準がある。たとえば、打者が打ったフライの滞空時間の「聖域」は6秒。今大会では(風の影響もあるが)7秒を記録する選手がいたり、「聖域」超えの好記録が連発したという。

 一塁駆け抜けの「聖域」は左打者が4秒、右打者が4.2秒、と長年の計測で導き出されている。一塁に近い左打者は0.2秒有利になるとのことだ。なるほど。ちなみに、イチロー(ヤンキース)なら、マリナーズに移籍してすぐの全盛期で3.7秒台を頻繁に出していた。それでは、今大会の甲子園に出場した選手たちの結果をキビタ氏にまとめて、考察してもらった。

 高校生の場合、例年4秒を切る選手が数名出てくることはあっても、大抵は3.98秒とか、3.9秒台後半が最速になることが多いのだが、1位となった堀口裕真(近江)が3.8秒という破格の記録を叩き出した。これはキビタ氏も測り間違えたのか? と思い、録画した映像で何度も確認したのだが、確かな数字だった。過去に藤村大介(巨人)が熊本工時代に3.7秒台を出したという話を、キビタ氏は巨人のスカウトから聞いたことがあるそうだが、堀口も別格な速さを持つ選手だ。

 また、2位の小太刀緒飛(日本文理)も「聖域」入りした豊かなスピードを持つ選手といえる。3位の逢沢崚介(関西)は、昨春のセンバツで3.98秒のタイムを出して「聖域」入りを果たしている。安定した速さを維持している選手だ。

 その他のランキング選手についても、全員4.1秒を切っており、高校生としてはかなりの好タイムである。この辺りの細かいタイム差はキビタ氏の手押しで測定しているので、それほど気にしないでいただきたいとのこと。4秒05の大西涼太(智辯和歌山)と4秒06の脇本直人(健大高崎)を比較して「だから大西の方が速い!」なんて断言せず、2人とも同程度に速い選手だと思ってほしい。

 年によって4秒台は2~3人しかいない場合もあり、これだけの人数いるのは多い部類である。「ドラフトの目玉として大きく騒がれるような選手が少なく、一見地味な大会に思えたが、ストップウオッチャーとしては、なかなかの強者揃いな大会だった。なかなかレベルが高い甲子園だったのでは」とキビタ氏は語っている。

 右打者を見てみると、1位の太田光(広陵)が4.06秒という左打者の聖域に近づくタイムで駆け抜け、再びキビタ氏は驚いたという。高校生選手を測定する中では、めったに見たことがないほどのスピードだ。

 ちなみに、太田は4番・捕手というスピードがある選手とは思えない打順とポジションを担っている。先入観にとらわれると、こうした隠れた素質に気がつかない。むしろ、ストップウオッチを使わないとわからなかっただろう。簡単に買えるストップウオッチの威力、あなどれない。

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