【W杯詳細分析・ドイツ-ガーナ】両国に見られたチャレンジの姿勢 “パスミス”の軌跡が示す日本代表へのヒント

ポゼッション率で下回りながらシュート数でドイツを上回ったガーナ



 ワールドカップの本大会が始まる前は誰もが初戦の重要さを説く。初戦で勝ち点3を加えることが出来れば、1次リーグ突破の確率が格段に高まるからだ。そして何よりもプレッシャーからの解放という心理的な要因が大きい。

 ドイツはポルトガル相手に4-0とこれ以上ないスタートを切った。
 http://www.soccermagazine-zone.com/archives/1384

 一方のガーナは開始1分にアメリカに先制点を許したものの82分に同点に追いついた。しかしその4分後再び勝ち越しを許し、そのまま試合終了のホイッスルを聞くことになった。

 ドイツとガーナの2チームの初戦のデータは傾向が似ているものの結果が大きく異なったという意味でとても興味深い。

 ドイツ対ポルトガルのポゼッション率は56.5%対43.5%、パスの成功率は88.9%対87.8%、Duals(フィフティ・フィフティの状況でどちらがボールを奪ったかを示すデータ)はドイツの53勝39敗だった。両チームとも13本ずつ放ったシュート数と8本対15本というクロスの数以外は全てドイツのデータが相手を上回り、データの優位性通りに試合も圧勝を収めた。

 一方、ガーナの初戦のデータを見てみよう。ポゼッション率はガーナ61.7%対アメリカ38.3%、パスの成功率82.7%対73.5%、流れからのクロス30本対4本、Dualsはガーナが65勝59敗、シュート数に至っては21本対8本とことごとくガーナがアメリカを上回っていた。しかし結果はアメリカが大事な初戦で勝ち点3を加えることに成功した。

 データ通り試合でも勝利を収めたドイツに対し、かたやデータで圧倒しながら敗戦を喫することになってしまったガーナ。この2チームにとって初戦の結果を踏まえて戦う第2戦は非常に重要な一戦だ。ドイツはガーナ戦に勝利して決勝トーナメント進出を決め、3戦目は多少メンバーを変更して次のステージに備えたいところ。初戦に負けてしまったガーナは後がない。何が何でも勝ち点を取るしかない。

 試合はドイツが51分にミュラーからのアーリークロスにゲッツェが飛び込んで先取点を挙げたが、54分にアンドレ・アイエウに同点ゴール決められてしまう。そして63分にドイツ陣内からのビルドアップのボールをミランでプレーするムンタリに奪われてしまう。ムンタリは素早く前線のジャンにパス、ジャンがそれを豪快に決めガーナが逆転することになった。

 この試合を絶対に落とせないドイツはこれまでワールドカップ通算14得点と歴代2位の記録を持つエースFWクローゼを投入。期待に応えたクローゼは71分にコーナーキックのこぼれ球に飛び込みブラジルのエースロナウドに並ぶ歴代1位の通算15得点目を挙げた。

 試合はこのまま2対2の引き分けに終わり、両者勝ち点1ずつを分け合った形になったが、ガーナの迫力が凄まじく、データ的には劣勢だったものの押していた感すらある。

 それではそのデータを見てみよう。ドイツ対ガーナのポゼッション率は62.2%対37.8%、パスの成功率は86.2%対78.2%、Dualsはドイツの52勝47敗、流れからのクロス数はほぼイーブンの13本対14本、シュートは12本対18本だった。アメリカ戦よりもポゼッション率を20%以上落としたガーナがシュート数ではドイツを圧倒し、皮肉にも優勝候補相手に善戦する結果となった。

両チームに見られたリスクを負ったチャレンジ



 通常、データの優位性はパスで言えば成功率の高さやポゼッション率の高さで評価されることが多い。ボールを持っている限り相手に攻撃されることはないという理論だ。しかしポゼッション率も成功率も100%ということはあり得ない。ボールを保持するのは相手に攻撃させないためでなく自分たちが得点するためだ。そこを間違えると失わないことが目的化してしまい、リスクを負ったチャレンジが出来なくなる。


 イラストを見てほしい。これは失敗したパスの軌跡だ。敢えて失敗したパスを抽出したのは理由がある。パスミスを悪いデータの指標としない見方をするためだ。

 世界レベルの大会に参加するチームは攻守においてバランスが取れているチームが多い。特にこの大会では南米、北中米カリブ、アフリカのチームの組織だった守備が目立つ。一度ポジションがセットされた状態を崩すのは簡単ではない。それを崩すためには、守備の組織が整う前に攻めるしかない。この失敗したパスの軌跡がほとんど縦パスであることに気が付くと思う。つまりこの赤いラインは点を取るためのチャレンジの軌跡でもある。両チームとも何本か自陣での「横パス」のミスがあるがこれは致命傷だ。実際ガーナの2点目は横パスを奪った後の縦へのパスからだ。

 ボールを保持している時、多くの選手は自分がパスを受けることを考える。そういう状況でボールを失った時、あるいは競り合った結果ボールがこぼれた時には、次のプレーが非常に重要だ。そこでチャレンジし、相手に奪われても奪い返すことでまた次の攻撃が始まる。

 もちろん無闇に縦に蹴ることがチャレンジングでアグレッシブなプレーというわけではない。繋ぐべき時はしっかりと繋ぐスキルをしっかり持つことは最低条件だ。この大会では、ポゼッションする意味を理解し、実践しながらも恐れず、積極的なミス=チャレンジを続けるチームに結果が伴っていることが多い。

 日本代表の3戦目まであと2日だ。リフレッシュしたことでもう一度チャレンジする気持ちを呼び起こしてもらいたいと切に願う。

analyzed by ZONE World Cup Analyzing Team
その他の分析記事: http://soccermagazine-zone.com/archives/category/analyze
データ提供元: opta

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