壮絶な人種差別を乗り越えたジャッキー・ロビンソンを知っているか?

 現地時間4月15日に田中将大(ヤンキース)が背番号42をつけて先発……となるはずだったが、雨天中止になってしまった。しかし、他の試合では全選手が背番号42をつけてプレーしている。「いったい、これはどうしたことか?」と思った人もいるだろう。

 実はこの背番号42はメジャーリーグ初の黒人選手であるジャッキー・ロビンソン(元ドジャース)がつけていた背番号で、4月15日はロビンソンが初めてメジャーでプレーした日だ。ロビンソンにとっても、メジャーリーグにとっても新たなスタートとなったこの日を「ジャッキー・ロビンソン・デー」として、メジャー全選手が背番号42を身に着けてプレーすることになっている。NPBにもMLBにも詳しい『週刊野球太郎』編集部に、ジャッキー・ロビンソンについて聞いてみた。

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◎近代メジャーリーグ初の黒人選手

 ロビンソンは1947(昭和22)年から1956(昭和31)年まで、10年間に渡ってメジャーで活躍した俊足巧打の内野手。1年目から151試合に出場して打率.297、12本塁打と好成績をマーク。チームをリーグ優勝に導く活躍をみせ、同年から制定された新人王を受賞した。その後、1949(昭和24)年には2年ぶりのリーグ優勝に貢献し、MVP受賞と首位打者、盗塁王のタイトルを獲得。1955(昭和30)年にはワールドチャンピオンにも輝き、1957(昭和32)年に現役引退となった。1962(昭和37)年にはその功績を讃えられてMLB殿堂入りを果たしたレジェンドプレーヤーだ。

 優秀な選手だから、というだけの理由で殿堂入りしたわけではない。ロビンソンは、近代メジャーリーグ初の黒人選手だったからだ。今でこそメジャーリーグには多くの黒人選手が活躍しているが、ロビンソンが登場するまでは、誰一人黒人選手はいなかった。当時のアメリカ社会は人種差別主義により、メジャーリーグも黒人を一切受け入れなかったという。

 その慣例を打破したのが、当時のブルックリン・ドジャースのブランチ・リッキー会長だった。リッキーは独自の野球組織であるニグロ・リーグ(メジャーリーグから排斥されたアフリカ系アメリカ人など有色人選手が所属していた)で活躍していたロビンソンをチームに誘い、1946(昭和21)年のシーズンからドジャース傘下の3Aに入団。ロビンソンは打ちまくり、チーム新記録となる打率.349、113打点を記録。翌年にメジャー昇格となり、待望のデビューを果たした。

◎リーグを揺るがす大混乱も! 今では考えられない人種差別

 実力は申し分なく、結果も残したロビンソン。しかし、それでも黒人選手であるが故の人種差別は長らく続いた。試合中の過激なプレーだけではなく、数人の白人選手はチームを去ったり、ファンから生卵を投げつけられたり、自宅の窓ガラスは何度も割られたそうだ。

 さらに、メジャーリーグのオーナー会議ではドジャースを除く当時の全15球団が、ロビンソンがメジャーでプレーすることに反対、特にフィラデルフィア・フィリーズやセントルイス・カージナルスは、ロビンソンが出場するならドジャースとの対戦を拒否すると通告するなど、球界全体を巻き込む大騒動に発展した(すぐに当時のMLBコミッショナーはドジャースを支持し、対戦拒否をしたチームは出場停止処分を課すと発表して事態を沈静化させた)。

◎チームメイトも感服した差別に耐えた強い精神力

 ロビンソンは、これらの差別行為に対して必死に耐えた。会長・リッキーとの「黒人選手がプレーした前例のない環境の中で、偉大なプレーヤーであり、かつ立派な紳士でなければならない、差別に対して仕返しをしない勇気を持つんだ」という入団時の約束の言葉を胸に刻み、どんなことも紳士的に対応し、成績を残すことで周囲を納得させていった。ロビンソンの人柄と実力が次第に認められ始めた。

 チームメイトたちも、助けるために団結するようになる。一緒にプレーするうちに、黒人も同じ人間であると当たり前のことを知った。そして人種差別の壁を壊したのだった。

 ロビンソンは現役を引退した後、1972(昭和47)年に交通事故でその波乱の生涯を閉じた。現在のメジャーリーグは様々な国籍、人種の選手たちが活躍している。それはロビンソンがメジャーリーグに渦巻く人種差別に対して、勇気と信念をもって立ち向かった事から始まったのは間違いない。

 このようなロビンソンの功績に敬意を示して、ロビンソンが背負った背番号42をメジャーの全選手が身につけてプレーをしたり、偉業を讃える式典が催されたりする。また、1997(平成9)年から、背番号42はメジャー全球団の永久欠番となっている。こうして差別と戦った偉大な選手を後世の選手やファンに伝え続けているのだ。

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