映画『キャプテンハーロック』公開記念 松本零士先生インタビュー 前篇

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 『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』をはじめ、数々の名作を世に送り出してきた漫画家・松本零士先生。7日には代表作『キャプテンハーロック』が3Dアニメーションとして映画公開されます。画業60周年を迎えたいま、作品に込めた思いについて語ってくれました。

――よろしくお願いします。今回『キャプテンハーロック』が映画化されましたが、この作品にはどのような思い入れがありますか?

 『キャプテンハーロック』の原型は中学3年生の時には出来上がっていたので、本当に昔からの付き合いですね。ハーロックのモデル自体も中学時代の友人です。そのため、作品、キャラクターともに親友のような存在ですね。

――孤高の存在であるハーロックのキャラクターは非常に人気が高いですよね。今回、映画の脚本を手がけられた福井晴敏さんは「松本先生はハーロックに父親の姿を重ねているのでは」と語っていますが。

 それはあると思いますね。父は戦争に行った本当の軍人です。弱音を吐くということを絶対に許さない、サムライのような男でした。小さな頃に、父と一緒に買い出しに行くことがよくありました。そこで僕が「ふう」とため息をつこうものなら「ため息をつくな、2度と連れて行かんぞ!」と言われたものです。ハーロックのドクロマークは「俺の旗のもとに自由に生きる、骨になっても戦い抜く」という決意を示したものです。自分の意志で物事を決め、最後まで戦い抜く姿は、父と重なるところがありますね。

――作中では、ハーロックとトチローの「男の友情」も印象的です。

 男同士の友情に関して言えば、少年の日から目覚めていましたね。ある日、お互い柿の木によじ登って遊んでいた親友が突然こう言ったんです。「おい松本、10年たっても俺を忘れるなよ」って。「誰が忘れるかこのやろう」って返したんですが、そんな会話を小学1年生の頃からしていました。彼の言葉は生涯胸に響いています。こういう経験が作品に表れているんですね。その時、登っていた柿の枝から二人とも落ちてしまったことも良い思い出です(笑)

――松本作品では、強さと優しさを兼ね備えた女性キャラクターも魅力的ですね。

 これは、母親や祖母の影響が大きいと思いますね。彼女たちもまた父親と同じで、いざとなったら刀を抜く、そういう強い女性です。僕のキャラクターも気が強い恐ろしい女性ばかりでしょ(笑)。これは周囲の環境があるんじゃないですかね。僕が一目ぼれするような女性は美しいけれど気が強い、怒ると怖いのばっかりですから。それがまた魅力的なんです。友人もそんな子ばかりでした。この年になっても、ちょっとしたことで同級生から電話がかかってきますよ。「松本くーん大丈夫?なんかあったら言いなさいよ!」って。「困ったことがあったら私が助けてあげる」という感じですね。ですから、どうしてもそういう女性に心が惹かれ、作品でも描いてしまうんです。僕の理想の女性ですね。

――今回の映画ではハーロックのキャラクターなどにアレンジが加えられているとのことですが、その点についてはいかがですか?

 そうですね。キャラクターや設定については作り手に自由がないと面白くないでしょうし、その点は自由に楽しんでもらいたいと思いました。僕としては、物語の核心を大切にして頂ければ問題ありません。

 ただ、修正を加えた箇所もあります。今回の映画では事前に一言一句チェックしたうえで製作しているんです。衣装に関する絵コンテについても徹底的に直したところがあります。アニメーションの世界には国境がありません。ですから世界中の人々が見ることを覚悟して作らなければいけないのです。各国それぞれの風俗、習慣を考えたうえで、万全の配慮が必要になります。無意識で誰かを傷つけるような作品を作ってはいけません。そこに関しては、僕の思いを伝えました。

――『キャプテンハーロック』の原作はまだ未完ですが、結末は決まっているのですか?

 ハーロックの世界はこれからも僕の作品群の中で広がっていきます。今回、映画公開記念で出版した『松本零士の大宇宙』(小学館クリエイティブ発行)でも触れていますが、僕の作品はやがて一つの壮大な物語として完成するんです。それにはまだまだですね(笑)。でも、僕の中で『キャプテンハーロック』の結末は決まっていますよ。

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