昔は甲子園優勝のご褒美に海外遠征!!貴重な機会にハプニング続出!最後に待ち受けていたオチとは!?

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 たくさんのドラマをみせてくれた甲子園大会も無事に終了。初出場ながら初優勝を決めた前橋育英ナインをはじめ、思い出に残る激闘を幾度となく演出してくれた甲子園球児たちには改めて、「ありがとう! そして、お疲れ様!!」と感謝を込めて伝えたい。

 地元に戻れば、甲子園球児に手厚いおもてなしが待っているだろうし、優勝となると、お祝い行事で大変なことになるかもしれない。これは内輪の話で、甲子園優勝で公式的に授与されるのは、チームに優勝旗と個人にメダルといったものくらいだろう。アマチュアスポーツであるし、日本学生野球憲章を考えると当然といえば当然の話だ。

 しかし、遡ること約90年前の昭和初期、優勝チームにはその健闘と栄誉を称え、なんと「海外旅行」がプレゼントされていた時代があったという。正確にいうと春のセンバツ大会優勝チームに、夏期休暇を利用して、アメリカ見学させるという、当時としては誰もが想像しなかったような企画が打ち出されたのだった。

 見事にそのプレゼントをゲットしたのは当時、無敵を誇っていた和歌山中(現和歌山県立桐蔭高等学校)ナイン。当時のエース・小川正太郎投手は「試合中はアメリカ行きを忘れていたが、優勝して宿舎に帰るとアメリカに行けるぞ! と喜びが湧いてきて、全員がうれし泣きに泣いたものだ」とコメントしている。そのあたりのあまり知られていない話を、スマホサイト『週刊野球太郎』編集部に聞いてみた。

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【海外旅行は高嶺の花! 興奮と感動のアメリカ遠征】

 何と言っても当時は昭和の初めで、日本国民全員にとって海外旅行など高嶺の花。外交を担当する政府関係者くらいしか海外に行く機会はない時代だったのだから、和歌山中ナインの狂喜乱舞ぶりは想像に難くない。

 一行は7月6日に横浜を出港し、約2週間の航海を経てバンクーバーに到着。日系人の多いアメリカ西海岸方面で試合をするなど各地で親交を深め、また大歓迎を受けたという。とにかく観るモノ全てが珍しく、珍談も数多く生まれたという記録が残っている。

【ハプニングの連続! 球児たちのアメリカ珍道中!】

 例えば、和歌山中には稲田金太郎という選手がいた。シアトルからバスで山岳地帯に移動する最中に道路に大きな熊が現れた。一同が驚いていると、あるメンバーが「稲田、おまえは金太郎という名前だから、あの熊と勝負してこい」と冷やかされ、バスのなかで稲田選手は大きな体を小さくしていたそうだ。

 また、「山下行方不明事件」もあった。とある夜、選手はみなパーティーに参加し、ホテルに戻ってくると、山下好一選手だけが行方不明になってしまった。どこに行ったかわからず、もちろん大騒ぎに。しかし、実はパーティーの前にホテルの風呂場に入ったが、カギの開閉操作がわからず、カギが自動的にかかってしまい、閉じ込められていたという。パーティーに参加できず、1時間以上も一人で閉じ込められてしまった山下選手は、しょんぼりしていた。

 このような「事件」をはじめとする数々のエピソードを残して、和歌山県の球児たちは約2カ月に渡る珍道中を終え、9月3日に帰国したのだった。

【最大のオチ! 2軍チームが優勝して甲子園大会に出場!!】

 そんな夢のような時間を過ごした和歌山中ナインだが、最大のオチは日本で起こっていた。アメリカ遠征に行ったメンバーは和歌山中野球部のレギュラーメンバー。このレギュラーメンバーが日本を留守にしている間、当たり前だが甲子園を目指して地方大会が行われていた。和歌山中は留守番組の2軍メンバーで大会に出場。そして見事、和歌山大会を勝ち抜いて優勝してしまった。

 遠征組はサンフランシスコでこのニュースを聞いて驚き、和歌山県の他校の野球部は「俺たちは2軍のメンバーにすら、勝てなかったのか...」と大きなショックを受けたそうだ。いずれにせよ、当時の和歌山中の選手層の厚さ、チームの強さを物語るエピソードである。

 1932(昭和7)年の第9回大会から、日本政府が外国チームとの試合を禁止する野球統制令を出したことにより、それ以降のアメリカ遠征は中止になった。

 ちなみに春のセンバツ大会優勝校がアメリカ遠征するのは、春の大会を主催していた毎日新聞社が、夏の大会を主催していた朝日新聞社に対して、「夏の甲子園大会」の注目を逸らし、興味をそぐ目的があったのでは? という陰謀説も存在するという...。

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