デフレの次はインフレ?止まらないエネルギー価格の上昇に“日本発”の円安が追い打ちか
長年デフレに苦しんできた日本。次はインフレに喘ぐ日が訪れるかもしれない――。
◆原材料価格の高騰で物価が上がる「悪いインフレ」
10月22日、総務省が発表した9月の消費者物価指数は、小幅ながら’20年3月以来のプラスに転じた。7年ぶりに1バレル=80ドルを突破した原油価格の高騰が大きく寄与した結果だ。
ただ、日本が待ち望んでいた個人消費の伸びによる「良いインフレ」ではなく、原材料価格の高騰で物価が上がる「悪いインフレ」のようだ。経済評論家の近藤駿介氏は次のように話す。
「コロナ禍で供給や物流網の混乱から、コスト高やモノ不足のために値上げを余儀なくされる商品が広がっていた。そこにエネルギー価格が高騰。原油だけでなく、火力発電に使われるLNG(液化天然ガス)も、二酸化炭素の排出量を減らそうと各国が石炭からシフトし、争奪戦となっている。昨年のような寒波に見舞われれば、今年の冬も電力・ガス料金の急騰は起こりえます」
◆なんともタイミングが悪い……
一時、LNGのスポット価格は10倍を超え、過去最高を記録している。さらに追い打ちをかけるように円安が忍び寄る。10月21日時点で、1ドル=114円台前半と、3年ぶりの「円安ドル高」水準にあるのだ。
「ここ最近の円安は、皮肉にも“日本発”。下半期に向け、10月に発表された金融機関の新たな運用計画を見ると、円を売ってドルを買う動きが目立つ。来年以降の、米国の政策金利引き上げを見越しているのことですが、なんともタイミングが悪い……。エネルギーや原材料の輸入価格がさらに上がってしまう可能性がある」
◆景気は停滞しているのに物価上昇が続く?
インフレ圧力は欧米も同じだ。ただ欧米では賃金が上昇傾向にある一方、日本は30年間にわたり変わらず、物価上昇は家計を直撃する。
「コロナ収束が見えてきても、金融緩和の出口戦略は見えないまま。もし政策を誤れば、日本は景気が停滞しているのに物価上昇が続くスタグフレーションに陥ってしまうかもしれない」
どうやら厳しい冬になりそうだ。
◆「分配と成長」は財務省にも求められる
矢野康治財務次官が『文藝春秋』に寄稿した「財政破綻論」が話題だ。
近藤氏は「財務省は歳出と税収の差を“ワニの口”にたとえて説明するが、税収を増やすのは増税だけではない。『分配と成長の好循環』は財務省にも当てはまる。限られた予算を乗数効果の高い少子化対策に重点的に回し、成長による税収増を目指すべき」と話す。
取材・文/週刊SPA!編集部 写真/朝日新聞社
※週刊SPA!10月26日発売号より
観音寺六角
10/27 21:09
石油は増産予定無いし😶要の物が下がらなければインフレ不況だな😩